71.重心と体重移動と浮力 平泳ぎ


平泳ぎにおいての重心はみぞおちにあり、体重移動は進行方向、つまり前と呼吸動作においては少し上となる。クロール、背泳ぎと異なり水面に浮いた状態を維持して泳ぐというよりかは、浮く・潜るの力を使って波に乗りながら前進する種目だ。腰を曲げたり背中を伸ばしたりの繰り返しから、体重移動により推進力を得ている。それはスカーリングで前に体重をかけるのだが、背筋で姿勢を保持する点は共通で、手の形が違うと理解すれば泳ぎやすくなるだろうか。

平泳ぎ・バタフライ共通であるのは、腰を丸めたり、背筋をのばしたりを交互に行う点で、水面に浮き上がるや、沈むを主に腰のバランス保持で賄っている。そのため手でバランスをとるなど、推進力とバランスのように、手に2つ仕事をさせないよう、体幹で保持することを最大の練習課題とすると良い。

平泳ぎのストローク動作においては、水面と平行に、つまり肩甲骨の上げ下げ動作におまけで肩が回るような動作だ。この動作自体で大きな推進力を得ているわけではない。ではどこか?と言われれば先程から出てきている体重移動だ。

整形外科の先生方のご意見として、平泳ぎやバタフライは背中を反らせるからダメ!をよく耳にする。うーん…そら無いんだけどなぁ…いや、反らないんだけどなぁー。

この体重移動、皆さんの体がシーソーのように(頭が下がればお尻が浮く)動いているのだが、腰が沈むと浮いてこないと感じてしまうのか、そもそもの、体重が前に乗せられないからそう感じるのか、話をしていても、なかなか理解していただけないし、価値観が共有されない点だ。

多くの一般的な方の思い描く平泳ぎというのは、平坦な床に腹這いとなり、頭を持ち上げている…と感じているようだ。
水泳において水面は固定できる物体ではなく、自由気ままに、好き勝手にあちこち行くので頭を上げれば腰や足が沈むのは当然だ。
それが自然な姿で、あるべき姿なのだから、逆らわずに沈めてあげればいいのに…どうも泳ぐ方の中で、足を沈めてはならぬ!という呪縛があるようだ。

そこは、あえて腰が沈んだところからスタートして泳ぐ練習でカバーし、納得し、お尻重心でこれでいいんだ!と体感して頂くしか、納得の方法はない。

また、水面などのように床面が固定されずに、腰をそることは事実上不可能だ。
反っているのだとしたら、大半は首を持ち上げようとする。
それをダメだと言っても、ではどこを使うのか?が分からないと練習のしようもない。

ポイントとなるのは背筋トレーニングのように、お腹を固めて上体を引き上げるような動作だ。背筋トレーニングで、どこに力を入れて体を持ち上げているか?例えば背中、脇腹、お腹、お尻、内股…これら全部だ。

体幹部が固められているのに、反れるわけもなく、反ってしまう感覚があるかたは、これらの姿勢維持筋力がないと言わざるを得ない。

通常の生活においても姿勢保持のために使う筋力なので、是非落ちないように頑張って欲しいところだ。

下半身による体重移動としては、骨盤後傾の仙腸関節に力を入れてフラットに浮いている(蹴伸びの姿勢)いるところから、一気に前傾に移動し、上体を起こす(呼吸のために上がってくる)。
お尻を絞め(お尻・お腹・内股はセット)腰を突き出す。その力によって前進するパワーが生み出され、水面に浮上してくるので、波に乗れ手をかく余裕がうまれる。
背を持ち上げようとしてしまうと、時間もかかるし重くて上体が上がらないし…

もっと腰のパワーを信じてほしい。

その後はキック動作に移るのだが、上体は重力とともに落下してくるので、腰を緩めまた骨盤後傾の姿勢を取ろう。ここで腰が曲げられないと蹴る動作でお腹や背中、お尻に力を加えられないので、膝下蹴りもしくは足蹴りとなる。

平泳ぎにおいてもバタフライにおいても、足がお腹側にあるから、蹴れるのであって、お尻側(背中側)では頑張れない。両足で蹴る種目なので1回で強いキックが出せるにはどうすればよいのか?を水の感覚とともに理解を深めていたければと思う。

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