身体の中で弾ける炭酸

能は手強い。

階段の最初の一段が、えらい高いの。

でも、先生が なかなか覚えられない私達に

「最初が大変です」
「だけど、ここを乗り越えると
『あ、この動き前にやった事があるぞ』
『この節回し知ってるぞ』ってなりますから」

嫌な顔せずに、何回も何回も同じ事を教えてくださるから

やっと能の所作が、私の日常生活でしている動きとは質の異なるものを要求しているんだって
おぼろげながら わかってきた。


(なんで こんな構えさせられるんだろう?)

わけわからないよって思ってたんだけど

昨日のお稽古では

(はいはい。絶対盆踊りとかパラパラみたいな
末端が分離した動きさせたくないのね)

しょうがないなあ。言う事聞いてやるかってなった。


能は、「身体で観ろ」「身体で指せ」と言っている。
「小手先では絶対動かさせないからな」って言っている。

そのための養成ギプスみたいなものが あの構えだわ。


あとね、昨日のお稽古(謡)では
自分が声?息?を押しきれていない事がわかった。

途中で押すのやめちゃうから、どんどん苦しくなるんだ。

最後まで押しきると、身体の中で炭酸が弾けるみたいな感覚がある。
弾けると新しい息が勝手に入ってくる。

何か言って→息吸って→何か言って

じゃなくて

何か言うと自動的に息入ってくる→何か言う

になる。

一工程減るんだ。


なんでかわからないけど、昨日先生の真似をしていたら

(あ、押しきらなきゃ)(吐ききらなきゃ)って

なった。


きっと、私は一段目の階段を ようやく上がりつつ
あるのだろう。



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