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効果的なパテラセッティングに必要な足部・下腿・股関節の位置

どーも、安藤です。

先日は楽しい夢を見ましたww


私は理学療法士になって10年ちょい経ってるんですけど、膝において内側広筋って大事だよね!!って学生の頃から言われてます。

まぁ、大事なのは分かるけどそれだけじゃないよね?!って思い、細かいところにアプローチしてみたりしていましたが最近は「なんやかんや言うても内側広筋が大事だ!!」って思います(笑)

ってことで本日は内側広筋について書いていきます(о´∀`о)


膝に関わる筋肉は、その多くが股関節または足関節もまたぐ二関節筋であり、機能的に膝関節と上下の関節との関わりが深いのは間違いないことです。

そんな中でなぜ内側広筋か?

内側広筋をしっかりと考えてみましょう(о´∀`о)

内側広筋(VM)の重要性

・Smillieは、内側広筋が大腿四頭筋の中で、膝関節の安定性と保護に関与する最も重要な筋肉であるとしている。(1)
・Basmajianらは、内側広筋が膝蓋骨を内側に牽引して膝伸展時の膝蓋骨外側偏位を抑制し、膝蓋大腿関節の適合性と安定性を保つという特異的な役割を果たすことを明らかにした。(2)
・Foxは、内側広筋が大腿四頭筋のなかで最も早く廃用性萎縮を生じやすく、しかも萎縮が回復しにくい筋肉であると指摘した。(3)
・MarianiとCarusoは、膝蓋骨不安定症の患者では、健常者に比べて膝伸展位での内側広筋の筋活動が著しく減少していることを筋電図で示した。(4)

まとめますと内側広筋が膝の安定性を保つために重要であるが、筋力低下を起こしやすく、回復しにくい筋肉だってことになるでしょう。

ってことは、内側広筋を優先的に鍛えられるすべがあるのであれば自主トレーニングとしても運動療法としてもオススメできるってもんです!!


内側広筋(VM)/外側広筋(VL)比

膝OAの人ってO脚(内反膝)の方が多いですよね。
つまり、膝は外方偏移しやすいわけです。んで、上述しておりますがBasmajianは膝蓋骨の外方偏移を抑止する機能が内側広筋にあると述べております。(2)

そして、これを考えていくときに外側広筋と内側広筋の比率を考えていきます。
外側広筋を抑制しつつ、内側広筋を促通できると膝蓋骨への外方牽引力は抑制しつつ、安定化作用を持つ内側広筋を鍛えることができます。

つまり、内側広筋と外側広筋の筋力不均衡が膝蓋骨の外側偏移を引き起こし、膝蓋大腿関節の機能障害を引き起こすってことです。


内側広筋の選択的収縮

結論から言います。
「これが良いぜ!!」的な統一見解がありません(笑)

おそらく個別性が強いところなんでしょう・・・。
色んなパターンを試してみて、本人にとって最も効果的と思われるものを指導するのが望ましいと考えられます。

ただ、いくつかの法則性はあるように感じます。

それでは、その法則を紐解いていきましょう。


解剖学的解釈ー内側広筋斜頭(VMO)についてー

内側広筋の中でも長頭と斜頭に別れると言われております。
そして、この斜頭が膝蓋骨の安定化に重要であると言われておるのですが、実はこの斜頭にも色々な意見があります^^;

・線維の方向が他の部と違い膝蓋骨に横から付着するもの (LiebandPerry,1968)
・線維方向だけで斜頭を決定している報告(Peeleretal.,2005)
・大内転筋腱から起こる部分が斜頭であるとする説(Williams, 2005)
・解剖学的に分けられないという報告(Hubbard, 1997)

つまり、統一見解がないよいう・・・どうすりゃええねん!!状態ww

んまぁ、でも1つの見解をお伝えしようと思います。

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内側広筋の斜頭を「広筋内転筋板に付着している線維」と定義します。
広筋内転筋板ってのは、内転筋管の前壁にある腱膜構造のことを言います。

大内転筋の一部の筋束が広筋内転筋板を介して内側広筋と連続すると考えていくと、大内転筋や長内転筋の収縮があって初めて内側広筋の斜頭は起始・停止が固定されて、収縮を得やすくなるんじゃないかと考えております。

これを支持するような論文もあります。

・Hantenらは、膝伸展時に股関節内転筋を収縮させることで、内側広筋を促通することができると述べています。(5)
・Hoddgesらは、股関節内転動作により大内転筋の収縮によってVMOの筋活動が高まると報告している。(6)

しかし、こんな報告もあります。

・Karstらは、下肢伸展挙上 (SLR)時に股関節内転運動を加えても、内側広筋の筋活動量は変化しなかったと報告している。(7)
・Earlらは、 股関節内転運動を組み合わせた膝伸展運動で内側広筋斜頭の選択的な活動は認められず外側広筋の活動の減少を認めたと報告している。(8)

・・・(⌒-⌒; )

でも、まぁ、内側広筋と大内転筋は関わりがありそうだし、同時収縮によって内側広筋/外側広筋比として内側広筋の方を鍛えらるように感じます。(やや主観w

足部の底背屈による内側広筋の収縮の違い

・ Goughは、足部を中間位・背屈・底屈・内がえし・外がえしでセッティングを行ったときの筋活動量を分析し、背屈位でセッティングを行ったときが内側広筋の筋活動量は最も高い値を示したと報告している。(9)
 ・Teppermanは、足部中間位より背屈あるいは底屈させた方が大腿四頭筋全体の筋活動量は増加したが、内側広筋および外側広筋の筋活動量は足部の肢位による変化はみられなかったと報告している。(10)
・Cernyは、足底背屈しながらセッティングをしても、内側広筋や外側広筋および 内側広筋/外側広筋比には変化が認められなかったと報告している。(11)

まぁー!!!
これはなんとも言えませんね(⌒-⌒; )

個人的な感覚で言えば、ただの背屈よりも踵を遠位に飛ばすような意識を持ってもらって背屈してもらうと内側広筋にも収縮が入りやすい印象を持っています。

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青い矢印の背屈イメージよりも赤い矢印の(結果的に)背屈イメージの方がいいかなって。踵を遠位に、踵を押し付けるようなイメージね。


まとめ

・内側広筋を鍛えるなら内転筋も一緒に収縮入れたほうが良さそう!
・内側広筋を鍛えるなら踵を遠くに飛ばす(踵で踏みつけるような)イメージで背屈しながらやったら良さそう!


ライタープロフィール

安藤司(理学療法士/JAFT認定スポーツシューフィッター)

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最近の趣味はTwitterですw
無駄なことから真面目なことまで呟いております(*´꒳`*)


参考・引用文献

(1)Smillie IS: The quadriceps in relation to recovery from injuries of the knee-joint. Physiotherapy 1949; 35: 53-57
(2)Basmajian J: Re-education of vastus medialis: A misconception. Arch Phys Med Rehabil 1970; 51:245-247
(3)Fox TA: Dysplasia of the quadriceps mechanism ; Hypoplasia of the vastus medialis muscle as related to the hypermobile patella syndrome. Surg Clin North Am 1975; 55: 199-265
(4)Mariani PP, Caruso I: An electromyographic investigation of subluxation of the patella. J Bone Joint Surg 1979; 61-B: 169-171
(5))Hanten W P,SchulthiesSS:Exercise efecton electromyographic activlty Of the vastus medialisoblique and vastuslatelalismuscles. PhyTher190;70:561-56
(6)Hoddges PW, Richardson CA: The influence of isometric hip adduction on quadriceps femoris activity. Scand J Rehabil Med. 1993; 25(2): 57-62.
(7)Karst GM, Jewet PD:Electromyographic analysisofexercisesproposed fordiferential activation ofmedialand lateralquadriceps fem oris m uscle com ponents.Phys Ther 19 93; 73:286-29
(8)Earl JE, Schmitz RJ, et al: Activation of the VMO and VL during dynamic minisquat exercises with and without isometric hip adduction. J Electromyogr Kinesiol. 2001; 11(6): 381-386.
(9)CoughJV,LadleyG:An investigation into the efectivenes of variosu forms of quadriceps exercises.Physiother57:356-361,1971
(10))Tepperman PS,Mazliah J,Naumann S,Delmore T :Effect of ankle position on isometric quadriceps strengthening.Am J Phys Med 1986;65:69-74
(11)Cemy K :Vastus medialis oblique/vastus lateralis muscle activity ratios for selected exercises in persons with and without patelofemoral pain syndrome.PhysTher195;75:672-683


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