外套

ウィリアム・バトラー・イェイツ

私の詩のために外套を作った
つま先から喉元まで
古い神話の刺繍で覆われた外套
愚かな人々がそれを盗んで
目立つところで身につけた
自分たちで作ったような顔をして
私の歌よ、彼らには好きなようにさせておこう
素っ裸で歩きながら
私にはまだやるべきことがある

ノーベル文学賞受賞者のイエーツの転換点となった詩です。イエーツは初期の頃は主にケルト神話を題材とした美しく感傷的な詩を書いていました。ところが、この詩を書いた頃から心の深みを覗き込むような深みのある詩を書くようになります。表現も簡潔で引き締まったものとなり、容易に解釈を許さないような内容になりました。この詩では「素っ裸で歩きながら」という部分が好きです。詩人として自分をさらけ出して生きる覚悟を感じます。同時に突きぬけたユーモアもあって、その点も気に入っています


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