千葉雅也インタビュー「書くためのツールと書くこと、考えること」前編
制限が、書くことの支援になる
書くためのツール選びに積極的になったのは、ここ数年なんです。それまではむしろ、ワープロやエディタの欠点の方が目についていました。僕は、実家がデザイン会社を経営していたこともあり、中学生の頃からDTPソフトで遊んでいたので、ついフォントや字詰めが気になってしまうんです。たとえば、ワープロの横幅ぴったりの長さで一文が終わると気持ちが悪いので、次の行にまたぐように字数を増やすなど、見た目の気持ちよさを優先して内容を変えることがあるほどでした。しかし、