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最悪の爬虫類飼育のスタート

ニックをお迎えしてからというもの

仕事が終わって家に帰るのが楽しみになった

夜寝る前、朝起きた時、夜中にしょんべんで起きた時、ニックの様子を見るのが日課になった

1匹の小さな亀のおかげで、くすんでいた俺の人生は数倍にもキラキラ輝き出したのだ。

泳いでも可愛い、陸地で寝てても可愛い

ずっと見てられる

実際家にいる時はずっと見てた

すやすや眠る小さなニックを見て

ニックを立派に育てるんだと心に誓った

しかし俺の爬虫類飼育は、順風満帆どころか

出鼻から問題にぶち当たった

エサを食わないのだ

お店で食べていた亀のエサをいっさい食わない

いろいろ調べて温度なども見直したが改善しない

亀類飼育初心者の俺はもはやにっちもさっちもいかなくなった

俺は師匠に相談した

師匠とは先輩のお客さんで

生き物の飼育用品の会社に勤めていて、自分でもワニガメはじめ、何種類かの亀を飼っていた

当時の俺にとって、唯一頼れる先輩だった

その先輩にニックの話をすると、ベビーでエサを食べないとなると、ちょっと難しいかもと言われた

選んだ個体がたまたま状態が良くなかったのかもと…

とりあえず飼育環境を整えて、自発的に食べるのを待つしかないようだ

今思えば、ニックを購入したショップに相談したり、病院に行ったりすれば良かったのかもしれない

しかしそこまで頭が回らなかった

もっともっとやれることがあったと思う

もしかしたら現在のようなSNSで情報を集められる時代ならニックを救えたかもしれない

そして3週間後

ニックは一度もエサを食べないまま息を引き取った

動かなくなった小さな小さなニックの姿は一生忘れない

カメの飼育を舐めていた、全て俺の責任だ

俺の爬虫類飼育はこの上なく最悪なスタートだったのだ


続く

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