「脳に直接語りかけてくる」考察

ここ数年現れたノリというかなんというか。
「皆さん聞こえますか、脳に直接語りかけています…」みたいなやつ。
Twitterとか(特に企業アカウントで)散見するようになった気がする。
まぁ、そもそも漫画などの世界では今に始まったモノではないですけど。

皆さんが街中を歩いているとします。
すると急に突然予告なく見知らぬ人から話しかけられたとしましょう。
「は?」でしょう。
いや「え?」かもしれない。
あるいは「自分に話しかけられてるとは思わずにスルー」かもしれない。
なんなら、話しかけられる内容や相手によっては「きゃー!変態ー!」かもしれない。

ここで本題。
なぜ脳に直接語りかけられるときだけ「う…頭が…!」みたいな頭痛を感じた後、語りかけられる言葉に耳を傾け(いや?耳で聞いてないな?何を傾けるんだ?)、それに対応できているのだろうか。
この、適応力の高さたるやなんだろうか。
実は脳に直接語りかける人よりも、受け手側の方が能力は高いのではないかと思ってる。
高校生活スタート早々に友達が出来始める女子のそれを凌駕するほどの適応力があると思う。

「は!これは○○さんが□□目的で俺に話しかけてきてるんだ!」と瞬時に理解できるその能力。
見知らぬ人の見知らぬ力に適応できるその能力。
書いてて気づいたが、適応力だけではなく判断力や理解力やら、僕の頭からは出てこないだろう様々な○○力があるはずに違いない。
一般社会として確実に能力が高い人なんだと思う。

「脳に直接語りかけられることの出来る能力」を持っている人が一般社会の日常生活でどれだけ重宝されるだろうか。
飲食店で店員から脳に直接「ご注文はお決まりでしょうか?」と問われればどうなる。
確実に店側は楽だし動き回る手間が省ける分、生産性も高まるだろうけど、この不寛容社会のことだから「伺いに来ずに、能に直接語りかけるだなんて失礼」と炎上するだろう。
服屋の店員に「何をおさがしですか?」と直接語りかけられるとしよう。
もう、悪夢でしか無い。
消費者は服屋の店員からのマーキングをストーカー以上に嫌っているので、なるべく店員に見つからないようにするか、イヤホンをつけて「音楽聞いてますから話しかけられても聞こえませんよ。」感を出している。
が、イヤホンつけてても直接脳に話しかけられたらどうしようもない。
これも炎上は目に見えている。
ペットとか動物に語りかけても、結局人間のことだから、なんのこっちゃわからにゃい。

唯一の有用性が高いのは耳が聞こえない障がい者に対してなんだろう。
これはとても社会に役立つ、いや、本来ここに使うべき能力として神様は与えたのかもしれない。
それをあろうことか、企業の宣伝や仲間のピンチの時の助言(もしくは自分がピンチの時のヘルプ)なんぞに使うだなんて。
神様は違いない。

これからは「お前、脳に直接語りかけることができんのかよ!すげーな!」ではなく「それに適切に対応できた俺すげーな!」となるべきである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?