R-1から見えるお客さんの反応についての考察。

ダウンタウンの松本さんが「R-1の客。。」とツイートしたことが話題になってる。(と思ってる。)
簡単に言うと、過剰な反応をし過ぎじゃないかというところなんだと思う。
ただしこれはR-1にはじまったことではない。
例えば「ネタパレ」など、全国区のネタ番組には非常によく見られると個人的には思っている。
ここでは、「なぜ過剰な反応をするのか」を考えたい。

ネタというのは芸人さんが考えた「脚本」である。
なので、ネタの都合上どうしてもキャラクターが気持ち悪いとか、言動が非常識であったりする。
そもそも普段の生活の中に突如現れる非日常だから面白いところでもある。
(小林賢太郎さんみたいに「非日常の中の日常」を描く人もいるので、そこらへんは様々ですが)
だが、それはあくまで「ネタ」。
本気でそう言ってるわけではない。
だけど、ネタ上どうしてもそれをそのキャラクターが本気で言っているっぽくみせる必要があるので、芸人さんたちは前ふりとして「このキャラがどんなキャラなのか」を客にわからせたり演技力をもってして、言葉や言動、思想をそれっぽくみせるのである。

また、アキラ100%さんのようにどちらかと言えば「エンターテイメント」感の強い芸もある。
わかりやすく言うとマジックみたいな。
「じゃーん!」
「おぉー!」
みたいな。
個人的にはそれは「お笑いなのか?」と思うところはあるが、それは置いておくとしても過剰反応するようなモノの1つである。

さてここで問題なのが。
凄いことに「おぉー!」と言い、気持ち悪いことに「きゃー」と悲鳴をあげることに何が悪いのか。
いや、正確には悪いわけではない。
が、関西と関東の違いがそれを批判めからしている。

まず関西はそもそもお笑いに非常に厳しい。
お笑いが日常の生活に非常に深い関係にあります、ズブズブです。
毎週土曜は新喜劇でフリからオチまでを反復学習し、深夜は若手お笑い芸人を観て現在の最新のお笑いトレンドを学ぶ。
「スベらない話」などを観ただけで「お笑い好き。」「小籔好き」みたいな、浅い知識+芸人に「さん」をつけないような輩を非難する。
日常会話でボケをスルーすること(反応できないことも含む)は親殺しよりも罪深い(あえてなら良いが)。
結婚の挨拶には娘の父親に自身の渾身の1発ギャグを披露しなければならず、「お前のようなスベるやつにはウチの娘はやれん!」なんてこともしばしば。
就職面接で質問に全然答えられなくても、最後の定番の質問「最期に何か聞きたいことはありますか?」の大喜利にうまく答えることが出来れば大逆転。
もう関西人は常にお笑いであり、お笑いに依存しており、「クスリ」のそれとは比較にはならないぐらい深刻。
お笑いが無い生活は考えられないのである。
お笑いが無い生活1日目はまだ余裕だが、2日目となると手が震えだし、3日目には言動がおかしくなり、そこで息絶えてしまい4日目にはどうなるかは現在も不明のままである。

そうなると非常に目が厳しい。
関西ではネタ番組で面白くなければ芸人さんが可哀想なくらいに笑わないことなんて別に特別ではない。
ただ面白いかどうかである。
いちいちキモさや凄さに反応している暇なんてないのである。
お客を装いつつ全員が「審査員」なのである。
絶対に審査員なのである。
お前らに1票も1点も与えられていないのにもかかわらず誰かに投票、採点しようとするのである。
「はっはーん、こーゆーキャラなんだね、ふむふむ。で、どう展開するのかな?」なのである。

次に関西人は素直ではない。
非常にねじまがっている。
「キレイ」や「かっこいい」と言われると「そんなことない」と面白さのカケラもない返しになるが、「ブス」と言われると瞬時に「ノリツッコミか自虐に入るか」の判断が行われ饒舌に返答できるようにプログラミングされている。
また、綺麗な可愛いアイドルや女優を観ると「整形している」と確信し、イケメンなアイドルや俳優を観ると「遊んでいる」と信じて疑わない。
阪神がただただ純粋に弱いだけなのに勝手に「カーネルサンダースの呪い」と言い、おっさんに罪をなすりつける。
純粋な反応をすることが出来ず、純粋な心は幼少のころに捨てられるのである。
それは前述することと関係あるが、きっと小さい時に何かをして褒められることよりもボケて笑われることに快感を得てしまっているからである。

しかし関東の人はどうだろうか。
特に東京の人なんてそんなわけがない。
まず恐ろしく上品で高貴でエレガンスなのである。
・・・、この文章でさえきっと関西人は「上品で高貴でエレガンスって同じ(おんなじ)ことしか言うてまへんがな!」とこれみよがしにつっこんでくるだろう。
しかし、東京の方々は「いえいえ、そんなことございませんよ。」と微笑みながら謙虚に返してくるだろう。

まず幼少の頃から上品なのである。
小さい時はピアノを習うことが義務化されており、小学校の授業に「美学」というものがあり美しい所作について学ぶ。
ご飯を食べ終わると爪楊枝片手に「ごっそさん」ではなく、両手を揃えて「ごちそうさま」なんて当たり前。
高級フレンチのフルコースのの所作なんて小2でマスターしており、たこ焼きを熱いまま丸ごと頬張り口の中で冷まそうとして大きく口を開けて「ほがほが」している関西人とは大違い。
正しいものは正しいと素直に称賛し、悲しい出来事には心を痛ませ、褒められると素直に「ありがとう」と言える高等教育を施されている。
関西で言うところの「お笑い」にあてはまる文化は皆無であり、お芝居やミュージカルをたしなんでいる。
劇団四季やシェイクスピアカンパニーなどなどを高貴な方々は好んでいる。
また、美術館にも頻繁に足を運び感性を幼少の頃から身に付けているのだ。
さすがは花の都東京に住む都民なのである。
そう、いわばニューヨーカーなのである。
所作の1つ1つが絵になり、感性が豊かでスマート。
そして、コメディよりもエンターテイメントを楽しんでいるのである。

さて、ここまでで関西と関東、もっと言うと関西と東京との違いが分かっていただけただろう。
そして全国区番組のテレビ収録。
多くは東京で収録される。
となると、必然的に東京都民の皆様方が観ることになる。
普段からスタンディングオベーションを行うことも多々あるエンターテイメントを楽しんでいる彼ら彼女らにとって。
目の前で繰り広げられている様子を素直に感受しているだけのことである。
ニューヨーカーなら当たり前のことなのである。
海外のコメディドラマを思いだして頂きたい。
面白いところには笑い声が、悲しい場面には「Oh~」と感嘆の声が入っている。
普通のバラエティ番組でも思い出してもらいたい。
モノによっては「この後信じられない出来事が!(お客さんの声:えぇ~!)」ってなことがやっぱりある。
モノの考えが国際的な彼らはそれがスタンダードなのである。

なので、普通にリアクションをしてエンターテイメントを楽しんでいるだけなのだ。
しかし、こちとら関西人はそんな生半可な気持ちでお笑いに接していない。
「楽しむ?バカを言え、お笑い賞レースとは生死かけた戦いなのだ」ぐらいの気負いがある。
実際に優勝者がふさわしいかどうかで殴り合いのけんかなんて日常茶飯事なのだ。
そんな関西人に東京の人のリアクションは極めてふざけてるように見えてしまう。
大げさなリアクションが逆に冷めてしまうのだ。
考え方がまるで違う。

そしてもう一つ。
関西人は「芸人のやり辛さ」を考えてしまうのだ。
お客さんの反応が良いことは素晴らしいが、過剰すぎると狙った展開にならないことがある。
例えば「スベリ芸」という概念がある。
関西でデビュー当時から一貫してスベリ芸をやり続けスターダムにのし上がった芸人といえば「たむけん」こと「たむらけんじ」である。
あの人のピンネタはとてつもなく面白くない。
しかし、それが面白い。
スベってる様が面白いのである。
お客さんが笑ってたらどうだろうか。
たむけん本人も「笑われないことを前提にネタを書いている」ので、まさかの展開になってしまうので次のボケが入れないこともある。
ギャグ芸人ことギャガーの人によくあるのがウケないとわかっているギャグをした後に「どうしたんですか?」的な一言を入れて笑いを取るが、ウケてしまうとそれができなくなってしまう。
それを関西人は熟知しているので「あ、このボケは笑ってはいけないんだ」と察するのである。

展開を察して、より芸人が描く通りの展開でネタをやれるようにしている。
この「察する」能力が前述したようにお笑いにズブズブにつかっているので長けている。
が、東京の方々は感性が豊かすぎる余り「察しない」のだ。
観ているモノに対して素直に受け止めるので美術の作品などのように作り手側の気持ちだけが正解ではない世界に住んでおり、それぞれの受け止め方を楽しみ、それを話のネタにアフタヌーンティーに洒落込んでいる。
ともすれば、関西人は「なんで察してあげないんだ」「ここでそんな過剰な反応したらおかしいだろ」となるのだ。

どちらが正解とも不正解ともない。
これは教育環境の違いによるものなのだ。
個人的な主観で言うと、アキラ100%さんは芸人と呼ぶよりエンターテイナーと呼ぶ方がしっくりくると思っている。
なんとなく芸人は言葉や動きで笑わせているが、この方の場合特技で沸かせている感じなのでそれこそ海外でショーをやった方がウケるのではと思う。
ウエスPさんが海外で盛り上がったように。
そんなことを関西人の僕は思うが、おそらく東京の方々は違う。
「まぁ!なんてすばらしい特技なの!」と。

育ってきた環境が違うのだ。
セロリが好きだったりするよね。

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