西遊記~はじまりのはじまり~(2014) 感想

日本でも何度もアニメ化、漫画化、ドラマ化、映画化された、中国の物語「西遊記」の前日譚の映画化。
監督は「少林サッカー」のチャウ・シンチー、主人公の妖怪ハンター玄奘(後の三蔵法師)役はウェン・ジャン。


あらすじ

妖怪ハンターを生業とするもののちっとも妖怪が退治できない青年・玄奘は、水妖(後の沙悟浄/リー・ションチン)によって窮地に陥っていたところを、美人の同業者・段(スー・チー)に救われる。
自分の無力さから、幼い子供を助けられなかった玄奘は自分を責める。

後日、今度は豚の妖怪(後の猪八戒)相手に悪戦苦闘していたところ再び段に救われ、何とか妖怪を生け捕りにするも、あまりの強さに逃がしてしまう。
このままではまた多くの犠牲者が出ると、玄奘が師匠(程思寒)に相談すると、師匠は「五指山の麓に封印されている孫悟空がその妖怪を倒せるが、陰湿で狡猾で根に持つタイプだから扱いには気をつけるよう」と助言。玄奘は五指山に向かって旅立つが……。

結論から先に言うと、この映画超面白いです。

チャウ・シンチー監督の印象は、(僕は「少林サッカー」しかまともに見たことがないんですが)カンフーを下敷きにしたアクション+やたらド派手なCGを使った笑いと、少年漫画のような熱血展開が大好きな人。
日本で言えば漫画家の島本和彦先生が近いかな。

その独特な作風から好みは分かれる監督ですが、香港映画に本格的?にCGを持ち込んだ先駆者的な人でもあります。
ただ、CGの使い方がハリウッド的なリアル方向とは真逆のベクトルで、非常にアニメ的というか、非現実的な方向にベクトルが向いている人です。(上手く説明できない)

本作では、そんなチャウ・シンチー特有のCGががっちりハマってます。
西遊記という物語が持つ荒唐無稽さと、チャウ・シンチーの(いい意味で)小学校五年生的な嗜好の相性が非常にいいんだと思います。

また、原色というわけではないけど画面のアチコチに配置されたクッキリした色味が、画面全体の非現実感をより際立たせているし、随所に入るイマドキ感溢れるギャグもオンとオフ(はずし)を上手く組み合わせて、突き抜けた世界観の、今までにない「西遊記」を作り出してるように感じました。

敢えて言うなら、全体的に若干のダイジェストっぽさを感じますが、これは玄奘が三蔵になるまでの成長物語だからで、あくまで物語の中心が玄奘と段の恋に絞られているからなんじゃないかなと思うんですよね。

とはいえ、沙悟浄、猪八戒、悟空はみんな見事にキャラが立ってます。
絵的なインパクトはもちろん、彼らの特性や怖さもちゃんと表現されてるんですね。
個人的には、猪八戒が印象的でした。
不自然なくらい美男子で、でも顔が脂でテカテカなんですよねw
あと、何といっても孫悟空のキャラクターデザインは秀逸で、五指山に閉じ込められて人間の姿の情けない感じと、解き放たれて斉天大聖孫悟空になった時の凶暴性のバランスが素晴らしい。なんかこう本物感っていうかね。これが孫悟空だよなっていう妙な説得力がありました。
逆に沙悟浄は玄奘と段のキャラ説明に使われて、ちょっとワリを食っちゃった感じでしたけど。

そういうキャラクターの立体的な描写がしっかりしてるからこそ、観終わったあと心に残るものがあるんだと思います。
バカでコーティングされたその奥に、きっちり仏教の教えを入れ込んでたり、一見ストーリーと無関係なギャグシーンが、実はその後の展開に効いていたりと、二時間弱の物語にほとんど無駄がないんですよね。

そのへん、方向は違うけどタランティーノに近いものを感じました。

本作は中国でも大当たりしてるみたいなので、続編も作られるのかな?
もし続編が作られたら、今度は映画館に観に行こうと思います。

興味のある方は是非!

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