GODZILLA ゴジラ(2014) 感想

#映画

言わずと知れた日本の怪獣映画「ゴジラ」のハリウッドリブート版。
監督は『モンスターズ/地球外生命体』のギャレス・エドワーズ。

あらすじ

過去の核実験の映像の断片に、ゴジラらしき生物の背びれが映るところからストーリーは始まる。
実はアメリカの核開発に関連する形で、「モナーク計画」という計画が進められていたのだ。

時は流れて1999年、フィリピンで炭鉱を調査していた芹沢(渡辺謙)らは、巨大な恐竜のような化石を発見する。化石には別種の生物の繭が寄生しており、付近には巨大な何かが這い出たような痕跡が残っていた。
同年、日本の雀路羅(じゃんじら)市にある原子力発電所に勤務するジョー(ブライアン・クランストン)とサンドラ(ジュリエット・ビノシュ)のブロディ夫妻は、突如起こった地震による原子炉の暴走に遭い原発は倒壊、ジョーの目の前でサンドラは死亡する。

さらに時は流れて2014年、ブロディ夫妻の息子で海兵隊の爆弾処理班で働くフォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)はある日、父のジョーが原発事故の真相を探るべく立入禁止区域となった原発跡地に侵入し逮捕されたことを知り、日本へ。

フォードはジョーに、カリフォルニアで一緒に暮らそうと言うが、ジョーは妻を亡くした原発事故の真相究明のためにも立入禁止地区内の元自宅にあるデーターが必要だと言い、フォードは渋々、父と共に立入禁止地区へ侵入するも、パトロール中の武装集団に見つかり、原発跡地内の研究施設へ連行される。

研究施設で二人は巨大な繭を発見する。この繭こそが1999年の原発事故の原因である怪獣ムートーの繭で、研究機関「モナーク」は秘密裏にムートーの研究をしていたのだ。そして奇しくも二人が研究施設に連行されたその時、ムートーは羽化し、研究所を破壊して、東に飛び去る。

この事故でジョーは死亡。ムートーを追うため米原子力空母に乗り込んだフォードは、情報提供と引き換えに事態の説明を芹沢に求め、芹沢は「モナーク」の活動目的と巨大生物の秘密を語り始める。
『約2億7000万年前、現在より高濃度の放射能に覆われていた地球では巨大生物たちが激しい生存競争を繰り広げていたが、ペルム紀末の大量絶滅と放射能濃度の低下により彼らは地底深くへと追いやられた。しかし第二次世界大戦後、世界各地で核開発・実験が相次ぎ地表の放射能濃度が上昇、地表は再び巨大生物が生存可能な環境になった。
そして1954年に原子力潜水艦「ノーチラス」が巨大生物を発見。米軍はこれを核実験に偽装して核攻撃したが倒す事は出来なかった。
「モナーク」の目的はこの巨大生物「ゴジラ」を研究し、その存在を一般市民から隠蔽する事だった。芹沢はムートー排除のためゴジラも再び現れる、と推測する。』(ウィキペディアよりまるっと抜粋)

そして、ハワイオワフ島にムートーが上陸。
米軍と交戦するも、ムートーの電磁波攻撃で、オワフ島全土が停電状態に。
そこにムートーを追って60年ぶりに姿を現したゴジラも上陸。
ホノルル空港で二体は対峙するがムートーは飛行して逃亡、それを追うゴジラも海へ消える。

一方、アメリカのユッカマウンテン放射性廃棄物処分場に保管されていたフィリピンの?繭から新たなムートーが羽化、ラスベガスを襲撃する。
ジョーの遺したデータを分析した芹沢は、日本に現れたムートーがオス、ユッカマウンテンから現れた個体がメスであり、2体のムートーは繁殖のために同じ場所を目指していると断定。
ゴジラの後を追う米海軍はサンフランシスコ湾で3体の怪獣が衝突すると推測する。

指揮官のステンツは、芹沢の反対を押し切って戦略核兵器の使用許可を得る。そして、電磁パルスの影響を受けないアナログ式の時限装置を使用し、戦略核弾頭で3匹の怪獣を太平洋上へ誘引、殲滅する作戦が実行される事になるが……。


ハワイでのゴジラ登場のシーン。
女の子から大人、犬、ニュース映像などなど、視点を次々と変え、観客の視線を誘導することで、ゴジラの巨大さを立体的に際立たせるニクい演出がされている。
そしてカリフォルニアでの対決シーン。
尻尾の先から上に向かって背びれが青く光っていって、そこで一拍置いてから放射熱線を一気に発射するというシークエンスは実に痺れる。超カッコイイ。

ムートーとの対決も、出来るだけ直接見せないで、カメラ映像だったり、ガラスの反射だったりと、何か『フィルター』を通して観せる演出も気が利いているし、グイっと息を吸い込んだあと必ず一拍溜めてから体中の空気を一気に吐き出すようなゴジラの咆哮とか、この監督は(怪獣映画が)分かってるなーと思った。
なので、こと怪獣シーンの演出については、ほとんど文句のつけどころがない。マジカッコイイし超上がる。

なのに、人間の方の演出というか脚本?があまりにも杜撰すぎてビックリする。

過去の核実験が秘密裏に怪獣(ゴジラ)を倒すために行われていたとか、原発事故は実は怪獣(ムートー)の仕業だったとか、かなり飲み込み辛い設定。

そもそも芹沢は、何の研究をしている学者なのか最後までよく分からない。
ただ、ゴジラの説明するためだけにいる人。っつーか、なんなら「ゴジラ教」の教祖みたいになってる。
余談だけど、ここでの芹沢の、ゴジラという存在についての説明は、「ゴジラ」っていうより「平成ガメラ」なんだよね。
「破壊者」ではなく「地球のバランサー」的存在っていう。

そもそもムートーと因縁があって、ずっと一人で調べてたジョーが途中であっさり死んじゃうのもなんだかなーだし、「核ミサイルで怪獣どもを皆殺しだぜヒャッハー」って言ってる米軍は、ムートーにあっさり核ミサイル取られちゃうマヌケっぷりだし(ムートーは放射能を食べる怪獣だって分かってるのに近くに核ミサイル持っていくんだもん)、フォードはカリフォルニアの妻と子供が心配だから帰るって言いながら、核弾頭の作戦に自ら志願したり、起爆装置解除するって意気込んで出撃した割には、起爆装置のカバーが外れないだけであっさり諦めるし、結局怪獣関係なく核ミサイルは爆発しちゃうし。(ボートに乗せて自動運転で湾外へ走らせて爆発させるんだけど、爆発の規模とか考えたらカリフォルニア絶対巻き込まれるだろうって思うんだけど)
もうね、人間パートはツッコミどころが多くて物語に集中できないほど残念な出来栄えだった。
多分何回観ても、内容が完全には把握できないと思う。
誰かが言ってたけど、色々と大人の都合が入ってるのかもね。

とはいえ、日本版、エメリッヒ版を含めた、過去のゴジラ作品の中でも、こと『ゴジラの観せ方』だけならかなり上位にくる素晴らしい出来なので、その部分だけでも観る価値は十分にあると思う。

 


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