映画の話

黒澤明の入口

ぷらすです、こんばんは。

みなさんは、黒澤明さんてご存知でしょうか?
そう、「七人の侍」や「羅生門」「影武者」「乱」など、数々の名作映画を作り出し、世界の名だたる映画監督に影響を与えて、『世界のクロサワ』と呼ばれている名監督ですから、特別映画好きではなくても、その名を知らない人は少ないんじゃないでしょうか。

では、「みなさんは黒澤監督の映画を観たことはありますか?」

というのが、今回の本題です。
「もちろんあるよ! 当然だろ」という人から「いや、名前は知ってるけど映画は観たことない」という人までいらっしゃるんじゃないかと思うんですね。

僕は恥ずかしながら数年前まで後者でした。
いや、正確に言うともっと以前。
小学生のときと20歳を過ぎたあたりで何度かチャレンジしたことはあります。
小学校低学年の時に観たのは、大晦日の午前中にNHKでやってた「どですかでん」を途中から。
もちろん内容はまったく理解できず、ただ六ちゃん役の頭師佳孝さんが荒れ果てたバラックで「どてすかでん」と言いながら一人で電車ごっこしている姿が、子供心に怖かったのを覚えています。

で、2回目は20歳前後。ある日偶然レンタルビデオ屋で黒澤明コーナーを見つけまして。
で、一回くらいは「クロサワ映画」を観てみようと思い立ったんですが、なにせ知識がないので何を観たらいいかよく分からず、そんな僕でも名前を知っている『七人の侍』をレンタルしました。
黒澤監督の代表作で、後にアメリカで『荒野の七人』としてリメイクもされた名作です。

ちなみにこの映画、上映時間は3時間27分。
公開当時は、間に一回トイレ休憩が挟まれたという伝説の作品でもあります。
ところが、僕はこの作品がイマイチ合わなかったんですね。
というのも、時代劇は好きだったんですが、観ているのが座頭市や暴れん坊将軍や水戸黄門ですからね。
基本的に派手なチャンバラでスカっとするような作品ばっかりです。
対して『七人の侍』はリアル路線で、僕がイメージしていたチャンバラではなく、どちらかといえば合戦に近い泥臭いチャンバラ。
画面は白黒だし、時間は長いし、最後はなんか寂しいしで、なんかこう合わなかったんですよね。(それでも最後まで観たんだからきっとそれなりに楽しんだんだとは思います)

3回目が20代前半、4回目が20代後半で、『乱』という作品。
シェイクスピアの悲劇悲劇『リア王』を毛利元就の「三本の矢」の話も取り入れた時代劇です。
これはですね、二回とも開始20分くらいで眠っちゃって、目が覚めると廃城でピーターが踊ってるんですよね。
なので、僕の中で『乱』は仲代達矢が怒ってピーターが踊る映画です。

で、この『乱』で黒澤明は自分には合わない。っていうより分からない。
とう結論に達し、それ以来クロサワ映画に近づかなかったんですね。

そんな話を知り合いの方にしたところ、その方は、
「あー、そこから入っちゃうと、分からないかもねー」
と。
つまり僕が観た三本は、クロサワ映画の中でも玄人好みというか、クロサワ映画に対してある程度慣れ親しんだ人が観ると面白いけど、なんの準備も予備知識もない人がイキナリ観ても、面白くないんじゃないかというような話でした。

そして、その人が『黒澤明の入口』として勧めてくれたのが、『用心棒』と『椿三十郎』だったんです。
正直、クロサワ映画にトラウマ的な感情を持っていた当時の僕は、「どうせ観てもなぁ……」という気持ちだったんですが、せっかく勧めてもらったので、取り敢えず『用心棒』の方をレンタルして観てみたんです。

そしたら、超面白いじゃないですか!

いや、チャンバラは中々始まらないし、三船敏郎演じる「用心棒」は口八丁手八丁で、斬り合いを逃げ回る。結果、彼が刀を振るうのはラストシーンの一回だけ。(うろ覚えなので他にもあったかもですが)
しかし、超面白いわけです。
というのも、三船敏郎は直接対決を避けながらも、敵も味方も良いように言いくるめて、最初の状況をひっくり返してしまう。策士なんですね。今風に言うなら詐欺師に近いかも。
なので、観ているこっちも、いつ用心棒が刀を抜くのかと思いながら見ているうちに、ストーリーや用心棒の手際の良さの面白さに引き込まれいくという娯楽映画でした。そして満を持して彼が刀を抜いたあとの表情は、何とも言えない悲哀に満ちていて、強く印象に残っています。

そして、『椿三十郎』はその続編にあたる作品で、前作よりも少しだけ三船敏郎演じる用心棒(椿三十郎)に近づいているのが印象的でした。もちろんこちらも面白いわけですよ。

僕は、最初入口を間違えてしまったので、黒澤明監督を「芸術映画」の人だと思ってしまったんですが、(もちろん芸術的側面も強い人でしょうけど)基本的に黒澤監督は、「娯楽映画」の人なんですね。
実際、このあと『七人の侍』に再度チャレンジしたところ、最初に観たときには分からなかった部分が見えてきて、非常に面白く観ることができました。
まぁ、『乱』の方はまだ観てないし、その後に観たのは『羅生門』『夢』くらいなもので、他の名作と言われている作品はまだ観てないんですけどね。

もちろん年齢を重ねて『クロサワ映画』を受け入れられるだけの容量が自分の中に出来たというのもあるとは思いますが、やっぱり一人の監督の作品を観るときって、『入口』になる作品選びも重要なんじゃないかなって思った次第です。

というわけで、これから「クロサワ映画」を観てみたいという方への僕のオススメは、
『用心棒』
『椿三十郎』
『羅生門』
『夢』

の4本です。
機会があれば是非!

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https://note.mu/purasu/n/nb98c1c6ade27?magazine_key=m0b08a7d5752d

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