スパイダーバース

知っておくと「スパダーマン:スパイダーバース」がさらに楽しい基礎知識【解説】

ぷらすです。
もう観ましたか? 「スパイダーマン:スパイダーバース
まだ観てない人の中には、「アメコミ映画って難しそう」と敬遠されてる方もいるんじゃないでしょうか。

というわけで今回は「スパイダーマン:スパイダーバース」を楽しむためのちょっとした基礎知識をご紹介したいと思いますよー!

スパイダーバースの「バース」って何?

「バース」とはザックリ言えば、宇宙、世界のことです。
ユニバース”を辞書で引くと、宇宙、世界・全人類って意味で、僕らが住む“ひとつの世界”を指します。
対して、“マルチユニバース”は多元宇宙を意味するんですね。

多元宇宙とは、複数の宇宙の存在を仮定した理論物理学による論説で、ざっくり言えば、可能性の分だけ複数の宇宙がある。みたいな感じ。
地球で言えば、僕らの住む地球の他に、例えば人類ではなく別の種(例えば魚類や爬虫類)が進化した地球があったり、もっと細かいところで言えば、僕が女性だった地球や、noteをやってない地球とか。

あらゆる可能性の分だけ宇宙はあって、それらは別次元なので基本、交じり合うことはない。みたいな?(僕もイマイチピンと来ていない)

僕ら日本人的にとっては「パラレルワールド」みたいなものって理解するのが一番しっくりくるかもしれませんね。

で、本作「スパイダーマン:スパイダーバース」は、そんないくつもの“バース”からやってきた色んなスパイダーマンが集合するという物語なんですが、実は本作に限らずアメコミヒーローもののコミックは全て、この”マルチバース“設定が使われています。

何故なら、アメコミヒーローコミックってずっと終わらないから。
スパイダーマンはコミック初登場から58年の間(世界初のスーパーヒーロー スーパーマンに至っては80年以上)、描き手を変えながら今も続いています。
しかし、そうすると設定がだんだん時代と合わなくなったり、ストーリーやキャラクターの関係性が複雑になって新規読者が入れなくなったりしますよね?
そこで、定期的に時代に合わせて設定がリニューアルされるんですが、その時に使われるのが、この“マルチバース”なのです。
つまり、「これから始まるスパイダーマンと、今までのスパイダーマンは(よく似た)別次元のストーリーですよ」ってやるわけですね。
同時にアメコミヒーローコミックでは、この“マルチバース”設定を使って、また本編とは別に「もしも(別次元で)〇〇がスパイダーマンだったら」という別シリーズも始まったりします。
日本と違って、作品の著作権を出版社が有しているアメコミだから出来ることですね。

主人公は13歳の黒人少年

本作「スパイダーマン:スパイダーバース」の主人公は、13歳の黒人少年マイルス:モラレス
ヒップホップカルチャーが好きで、グラフティーを描くのが好きで、ナイキのエアジョーダンを履き、彼のヘッドフォンからはヒップホップが流れている生粋のブルックリン子。

しかし、彼のお父さんは警官でお母さんは看護師とお堅い職業。
お父さんも昔はヤンチャだったようですが、マイルスの将来を考えて、彼を寮つきの進学校に転入させ、週末だけブルックリンに帰ってくる生活。

進学校はブルックリン育ちのマイルスには少々息苦しく、自分の意見を聞いてくれないお父さんにも不満を持つマイルスが大好きなのが、アーロンおじさん

市長が代わり、壁にスプレーで絵を書くストリートアートが中々出来ないので、パソコンで書いたグラフティーをステッカーに印刷して通学中などに街中に貼り付ける「ステッカーボム」をするマイルス(そしてお父さんに怒られる)を駅の地下道に連れて行って、壁にグラフティーを思い切り描かせてくれる。いわばマイルスにとってヒップホップの師匠でもあります。

で、地下道でグラフティーを思い切り描いたとき、マイルスは遺伝子を操作されたクモに噛まれてスパイダー能力を得てしまうんですね。

劇中に使われる音楽

そんな本作では、新旧ヒップホップアーティストの楽曲が随所に使われています。

マイルスが聴いているポスト・マローン&スワエ・リーの「Sunflower」や、ブラックウェイ&ブラック・キャビアの「What’s Up Danger」などは、白人層にも人気のヒップホップの中でもわりとポップな位置づけらしく、逆にアーロン叔父さんのシーンで流れるノートリアス・B.I.G.の「Hypnotize」や、DJシャドウの「The Number Song (Cut Chemist Remix)」などは、90年代以前のまだ、NYがヒップホップカルチャーの中心だった頃の曲で、楽曲によって二人のジェネレーションの違いやキャラクター性を表現してるらしいです。(音楽に詳しくないので間違ってるかもですが)

僕らの知っているスパイダーマンは、ピーター・B・パーカー

映画序盤、NYを裏で牛耳る悪役キングピンによってスパイダーマンことピーター・パーカーが殺されてしまうというショッキングな展開から物語が動き出す本作。

それを目撃したマイルスは、ピーター・パーカーの意思を継ぎスパイダーマンになってキングピンの野望を阻止することを決意するものの、まだ能力を扱いきれず、一人ではどうにも出来ないんですね。

そんな彼の元に現れ導くのが、別の次元から吸い込まれてやってきた、中年のピーター・“B”・パーカー

実はこのピーター・B・パーカーこそが、“僕らの世界”のスパイダーマンなんですね。
実はピーター・パーカーには、“ベンジャミン”というミドルネームがあり、フルネームはピーター・ベンジャミン・パーカー、つまりピーター・B・パーカーなのです。

それを示すように、彼の回想シーンではサム・ライミ版「スパイダーマン」の名シーンが盛り込まれているし、ヒロインのメリー・ジェーンとの関係も、「スパイダーマン」三部作を引き継ぐ形になっています。

あと、コカ・コーラなどのロゴも、ピーター・B・パーカーの世界のだけが、僕らの知るロゴマークと同じになってるらしいので、背景美術にも注目して観ると面白いかもですね。

もちろん、こんな話は知らずに観ても超面白いし楽しめますが、「海外アニメ」「アメコミヒーロー」ということで観るのを躊躇している人がこの解説を補助線にして興味を持ち、映画館に足を運んで貰えたら嬉しいです。
ではではー(´∀`)ノシ

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