映画の話

「ヘルボーイ」「ヘルボーイゴールデンアーミー」

#映画

ぷらすです。

先日「パシフィックリム」の話を書いたら、気分が乗ってきて久しぶりに、ギレルモ監督の「ヘルボーイ」(レンタル落ちのDVDを購入)を再鑑賞しまして。そしたらすっかりギレルモ熱が高まってしまい、つい、続編「ヘルボーイ2 ゴールデンアーミー」のブルーレイを購入してしまいました。

「ヘルボーイ」って何? という方の為に説明しますと、マーベルコミックとDCコミックに次ぐ大きさのアメリカン・コミックス出版社、ダークホースコミックスから刊行されたヒーロー漫画「ヘルボーイ」の実写映画です。

一作目では、第二次世界大戦末期、ヒトラーの要請で怪僧ラスプーチンが地獄(魔界?)の門を開こうとするも、アメリカ軍コマンドー部隊の攻撃により失敗。しかし、その時に地獄(魔界?)から出てきたのが主人公「ヘルボーイ」で、ブルッテンホルム教授に育てられた彼はその後、オカルト絡みの事件を調査、解決する超常現象捜査局(B.P.R.D.)で、異能の仲間と共にエージェントとして活躍する。そしてラスプーチンが現れて…。

続編の「~ゴールデンアーミー」では、古代の超兵器「ゴールデンアーミー」を復活させ、人間を滅亡させようとするエルフの王子と、超常現象捜査局のメンバーが戦うというストーリー。

スーパーマンやスパイダーマン、バッドマンなど、多くのヒーロー物がSF寄りな設定なのに対して、この物語は妖精やゴブリンなどが登場するファンタジー寄りな設定の異色のヒーロー物で、独特の画風で人気のマイク・ミニョーラ作品という事もあって話題を呼び、2004年にギレルモ監督の手によって映画化されたわけです。

原作が知られていないこともあって、日本ではヒットしませんでしたが、アメリカでは結構ヒットしたようで、続編「~ゴールデンアーミー」は2008年(日本では2009年)に公開されています。

「パシフィック・リム」ではSF的な世界を描いたギレルモ監督ですが、本来この人が好むのはファンタジー&スチームパンク的な世界観で、本作二本では、まさに水を得た魚という感じで、これでもかと自分の好きなものを映画の中に詰め込んでいった結果、とんでもない名作になっています。

まず、キャラクターは素晴らしい。

主人公のヘルボーイは身長は205cm、体重159kg、体色は深紅。頭には、目立たぬように削った角の付け根が切り株状に残っていて髪型はチョンマゲ。岩石状の物質で出来た巨大な右腕を持ち、皮肉屋で嫉妬深く、おまけに短気で気難しいという、とてもヒーローとは思えないキャラですが、弱いものには優しくネコが大好きで、恋に奥手な一面もあったりしてなんとも憎めないヤツです。

相棒のエイブ・サピエンは博識でサイコメトリー能力を持つ半魚人。超常現象捜査局では鑑識的な立ち位置。温厚な性格で、粗暴なヘルボーイとは対照的なキャラクター。

紅一点のエリザベス・シャーマンは、念動発火能力を持つが、自分の「体質」にコンプレックスがあり、「普通」と違う超常現象捜査局を何度も辞めては戻ってを繰り返す女性エージェント。

二作目で登場するヨハン・クラウスは、規則にうるさいドイツ人?のガス人間で三人の上司として超常現象捜査局に赴任してきます。

敵役には、超ドMだけどナチス随一の殺し屋クロエネン(一作目)や、ヘルボーイよりも大きなトロールのMrウインク(昔の戦いで片目が潰れてる)、トロールの名鍛冶が作り上げた機械仕掛けの兵隊ゴールデンアーミー、「もののけ姫」のダイダラボッチを思わせる森の精霊、その他にもカルシュウム大好物の歯の妖精やら、羽に目がついている死神やら、そのビジュアルデザインだけでもため息が出るほど素敵です。

でも見た目だけじゃなく、例えば一作目では、ヘルボーイはエリザベス(以降リズ)に恋心を抱いていて、リズと新米局員が出かけるとヤキモチを焼いて二人の後をつけていったり、二人がいい雰囲気になると新米局員に小石を投げて邪魔したり。

二作目ではカップルになった二人ですが部屋を散らかし放題のヘルボーイとリズが喧嘩したり(結果、部屋が爆発)、規則にうるさい上司ヨハンとヘルボーイが喧嘩したり、事件の捜査で出会ったエルフの王女に恋したエイブと、リズと上手くいかないヘルボーイがビールを飲みながら恋愛話で盛り上がったりします。

お前ら思春期の中学生かとw

ただ、そういう本筋とは関係ない、ちょっとした日常も描いていく事で、彼らはただ役割を熟すだけの「キャラクター」ではなく、僕ら観客と地続きの場所に居るような現実感が出てくるのです。

この物語やキャラの設定、日常パートでキャラクター性を際立たせていく感じ、僕は日本のアニメの手法、特に宮崎駿監督に近いなぁって思うし、ゆえにジブリ作品や日本のアニメに慣れ親しんでいる日本の観客には受け入れやすい映画だと思うんですけどね。

あと、パシフィック・リムの時も書きましたが、この二作でもギレルモ監督のフェティシズムは遺憾無く発揮されています。特に、「~ゴールデンアーミー」に登場するトロールの市場のセットは圧巻で、画面には映らない部分のディテールまで作り込んでて、このシーンだけでも観る価値ありです。

いや、ほんとマジで感動しますよ。

他にも、小道具の一つ一つのギミックに至るまで、ギルレモ監督の変態性(褒め言葉)が浸透していて、これぞ、ギレルモ・デル・トロの真骨頂と言っても過言ではないと思います。

こんな名作が知られてないのは本当にもったいないので、機会があれば是非是非、ご覧ください!(懇願)






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