ジャージー・ボーイズ(2014) 感想

#映画

トニー賞など数々の賞に輝いた同名のミュージカルをクリント・イーストウッドが映画化。
実在のバンド「フォー・シーズンズ」のバンド結成前から解散、ロックの殿堂入りのステージで再開するまでを数々の名曲に乗せて、ドキュメンタリースタイル?で描いている。

最初は、「クリント・イーストウッド監督作品」ということで身構えてしまった。「硫黄島からの手紙」とか「許されざる者」(どっちも観てないけど)なんかの「重厚な作品」っていうイメージが強すぎてちょっと腰が引けてしまうんだよねw

でもそんなのは、映画が始まるまでの話。
開始早々、バスから降りてきたバンドリーダーのトミー・デヴィート(ヴィンセント・ピアッツァ/スピードワゴン井戸田に似てる)がカメラに向かって独白するところから始まる。

以降、映画の要所要所で、バンドメンバーによるカメラ目線での独白が出てくるんだけど、そのメタな感じが、当時の映像を見ながら本人が解説するみたいな、ドキュメンタリーっぽい感じで新鮮。(スコセッシっぽいってレビューで書いてる人もいて、なるほどと思った)

彼がボーカルのフランキー・ヴァリ (ジョン・ロイド・ヤング)と幼馴染であることや、バンドを組んでいること、マフィアのボス、ジップ・デカルロ(クリストファー・ウォーケン)がフランキーを可愛がっていること、ベースとボーカルのニック・マッシ(マイケル・ロメンダ)と三人で悪さをしていて、トミーとニックは交互に逮捕されていること、フランキーの結婚、そして作曲、キーボード、ボーカルのボブ・ゴーディオ (エリック・バーゲン)の加入までを、テンポよく見せていく。

そして、このボブの加入によって、トミーとフランキーの兄弟のような力関係が微妙にズレ始める。
実力はあるものの中々メジャーデビュー出来ない彼らだったが、ボブの作った「シェリー」という曲が大ヒットして、一気にスターの階段を駆け上がっていく。
それからは、出す曲が次々とヒット、スターになりライブにレコーディングにと引っ張りだこの彼らだったけれど、人気が出れば出るほどバンド内の力関係のズレは大きくなり……。
という内容。

スコセッシっぽいでいうと、この映画の基本的な構造は「グッドフェローズ」によく似てるかも。(若き日のジョー・ペシも出てくるし)

個人的には、四人のバンドメンバーの中では、ニックに一番感情移入してしまった。
フランキーは「天使の声」と周りに言われる美声を、ボブは作曲の才能を、トミーはリーダー的資質と行動力をそれぞれ持ってるけど、ニックだけは何もない。一人だけ「普通の人」なのだ。
フランキー&ボブとトミーが揉めた時も、ニックだけは蚊帳の外で話も聞いてもらえない。
映画後半、ついにキレたニックが今までの鬱憤をぶちまけるシーンでは、「そうだそうだ、言ってやれニック!」と応援してしまう。

ほかのメンバーと比較して、ニックだけが何も持ってなかったけど、だからこそ、「夢」の持つ呪いに囚われずに済んだのかもしれない。

逆に、フランキーは手にしたものを捨てることが出来なかった結果、一番大事なものを指の隙間から取りこぼしてしまう。
傷つき、憔悴した彼を最後に支えたのは歌だったっていう。

クリント・イーストウッド監督が凄いのは、彼らの物語を必要以上にドラマチックにしなかったことで、これだけの素材なんだから、いくらでも「泣かせる」演出が出来たと思うんだけど、先述した通り、あくまでもドキュメント的な、ある種ちょっと突き放したようなドライな撮り方をしている。
といって完全に彼らに距離を置いてるというわけでもなく、そこが絶妙な距離感で、なんというか四人に「寄り添う」ように撮っていて、だから観ているコッチが受ける感動は一段深い感じがした。

僕は、「フォーシーズンズ」って言われても、世代が違うからピンとは来ないけど、フランキー・ヴァリの歌声や、「シェリー」を始めとした何曲かはどっかで聞いた覚えがあって、まぁ、その程度の知識でも十分に楽しめる映画だった。多分、彼らを全く知らなくても同じくらい楽しめるんじゃないかな。

あと、ちょっとネタバレになるかもしれないけど、この映画のラストは、映画のキャストが全員登場して歌い踊る、いわゆるカーテンコールで幕を閉める。

これが、実にいい。
映画史に残る名シーンだと思う。
このシーンだけでも、十分に観る価値はあるので、機会があれば是非たくさんの人に見て欲しいと思う。







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青空ぷらす

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