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マンガのミライ の巻

ぷらすです。

先日2月2日(土)、ニコニコ生放送で放送された「山田玲司のヤングサンデー」は、『連載第一回にハマる鉄板の構成とは?〜これから漫画で食っていくための2つの生存戦略!』とというタイトルで、今後、日本の漫画がどうなっていくのか、そして漫画家は厳しい状況を生き抜くためにどうすればいいのかを、漫画家の山田玲司先生が語るという内容でした。

玲司先生の言説をざっくり要約すると、

・少子化や人口減少、若者の漫画離れなどで今後紙の漫画雑誌の需要は減り廃刊していくだろう。そして一部の漫画家を除き、漫画で食っていくのはますます難しい時代になるだろう。

・そんな中、漫画を読んでもらう(買ってもらう)方法は大筋で2つ。

①漫画を1タイトル1冊完結の大判アートブックとして売る。(アメコミのトレード・ペーパー・バック形式や画集的な感じ)

②スマホで読みやすいよう、フルカラー、縦スクロール形式にしていく。

というものでした。

①は、現在一線で活躍している人気漫画家の人などに向いていて、要するに雑誌に連載するドラマ形式ではなく、小説や映画のように1冊で物語を終わらせるという方式。

②は、これから漫画家を目指す人がどのような形式・メディアで漫画を発表すれば読者を増やせるのかという話で、実際、今韓国などでは縦スクロール形式のマンガが主流のようですし、「東京タラレバ娘」などの東村アキコ先生も、この方式でマンガ連載をされているようで、また一部の漫画雑誌社も実験的にこの方式でのマンガを募集しているようです。

玲司先生は同時に「漫画を世界基準に合わせる」。つまり、フルカラー、セリフなどを横書きでレイアウトすることで海外の需要も見込めるのではないか。また、縦スクロールならではの表現方法が漫画の新たな可能性を開くのではないかということも合わせて語られていましたねー。(もちろんデメリットについても語られていましたが)

ちなみに現在、漫画が海外で翻訳されるときは、原稿を左右反転し吹き出しは横書きに直されているハズです。

漫画からMANGAへ

で、この玲司先生の案に僕もほぼ同意見で、素人目に見ても、将来的に雑誌形式の漫画産業はどんどん衰退していくだろうと思うし、今までのように出版社が雑誌で漫画を売る→人気作は単行本に――という商業モデルは一部の人気作を除いて成立しない時代になるだろうと思います。

また、日本の漫画は世界的に人気があるというのも嘘で、そもそも次々にビックバジェットで実写映画化され大ヒットしているアメコミだって、原作漫画を読んでいる人の数はファン全体のわずか数パーセント。その中で日本の漫画を読んでいる人の数はさらに少ないわけです。

日本の漫画が海外で有名なのは、どちらかといえば(海外で放映された)日本アニメのファン(の一部)が、原作も読んでいるに過ぎないんですよね。(もちろん、それでも分母がでかいので市場としては魅力的ですが)

さらに言うと、アメコミやバンドデシネなどの海外コミックも、今や電子書籍がメインで、紙の本はあくまでコレクターズアイテム的な立ち位置らしいし、アジア圏では前述したように、スマホで読める縦スクロール(横スクロールもあるらしいけど)のマンガが主流になりつつあるとのこと。

これらの事を踏まえて考えれば、これから漫画家を目指す人が目指すべき道は一つで、世界中の約70%の人が所有しているスマホ端末でストレスなく読める「MANGA」を制作・発表していくしかないのではないかと思うんですよね。

縦スクロールのデメリット

ただ、縦スクロール漫画のデメリットとして、スマホの画面で読みやすい漫画を描こうとすると、背景やキャラの動き、セリフの量などに制限が出るというデメリットはあります。

背景を描き込んだり、セリフが多かったり、例えばアクションシーンなどで複数のキャラを動かそうとしれば、小さなスマホの画面では読みづらくなるのかなと。
東村アキコ先生も、縦スクロール漫画では「出来るだけ背景は描かないでください」と編集さんに言われているようです。

ちなみに東村先生は、普通に漫画原稿を描いて、PCに取り込んだあとに縦スクロール様にレイアウトし直すんだそうですね。
確かに、アートブック的な紙の本として売る事が最終的なゴールであれば、最低限ストーリーを追える縦スクロール→普通に読める紙の本という発表の仕方はベストなのかもしれません。

インディー化

という事を踏まえて今後のことを考えると、漫画家を目指す人はこれまでの様に大きな出版社でデビューを目指すのではなく、少人数がチームを組み、独立したインディー体制で漫画を制作、Webで発表していくようになっていく事になるんだろうと。

例えばアメコミは、作品全体は出版社が取り仕切るけど、作品ごとに

原作・脚本担当のライター。
鉛筆での下書きを担当するペンシラー。
ペン入れ担当のインカー。
原稿に色を塗るカラリスト。(アメコミは基本カラーなので)
吹き出しやト書きの文字を書くレタラー。
(最近はPCのフォントで文字を入れるらしいです)
編集やシリーズ構成担当のエディター。

というチームの分業で作品を作り上げていきます。

もし今後、日本の漫画家を目指す人がWeb媒体で作品を発表するようになるとしたら、
制作を担当する描き手。
描き手のサポートや宣伝などを担当する編集。
各Web媒体に作品をアップしていくエンジニア。など、
数人がチームを組んで“小さな出版社”として一つの作品を作り上げていくのかなー。なんて思います。

関わる人数が少ない分、作品の自由度は高く、クリフハンガー(物語の気になるところで終わる→続編に繋ぐやり方)的に作品を引き伸ばさなくて済むので、より描き手の作家性が出しやすくなる=世界に通じるメガヒット作品が生まれるかもしれない。
一方で、描き手に求められる部分もこれまでより大きくなっていくのかもしれません。

“漫画”の優位性

黒澤明の「七人の侍」や、押井守の「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」が海外で評価された理由を物凄く乱暴に言うなら「海外にはないカッコイイ映画」だったからです。

「七人の侍」は、ざっくり言えば百姓に雇われた7人の侍が、村を襲う野武士たちと戦う作品で、物語の原型はハリウッドの西部劇です。
「7人のアウトローが悪漢から弱き人々を守る」という物語の骨格自体は、世界基準なので海外の人にも受け入れやすく、その一方で「侍」「チャンバラ」など、その精神性も含めた日本独自の文化は海外の人にとって、(例えば日本人にとってのブルース・リーやジャッキー・チェンのような)それまで海外にはないカッコイイものとしてカルチャーショックを受けたハズです。(もちろん他の要素もあるけど)

また、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」は、キャラクターや絵面的にも物語的にもアメコミに近くてとっつきやすい一方で、今では多くのアメコミヒーローがパクっている素子の“ヒーロー着地”など、今まで見たことのないカッコイイシーンに海外のファンは痺れたのです。

それは漫画で言えば、「NARUTO」や、「ワンピース」「ドラゴンボール」に通じるし、一部の海外ファンが日本のアニメや漫画を支持する大きな理由は「セーラー服の美少女が武器を持って闘う」みたいな、ある意味で日本の文化の中でしか生まれなかったであろう独自の設定や物語の部分なんですね。

つまり、世界中で通じる普遍的な物語の骨格と、「日本刀」「侍」「忍者」「Kawaii」などなど、(もちろん絵柄も含めた)日本独自のガジェットや設定の組み合わせが、日本の“漫画の優位性”であり、今後漫画家を目指す人が海外で闘う武器になっていくんじゃないかと思います。

縦スクロール「MANGA」のプラットフォーム

とは言っても、せっかく縦スクロールのマンガを描いても、発表するためのプラットフォームはまだまだ少ない状況。

で、ふと考えたんですが、noteって縦スクロールのマンガに向いてるんじゃないですかね?

僕は縦スクロールのマンガの描き方ってよく分からないんですけど、縦にコマを配置して描くなら、noteの表示はスマホで読むにはかなり向いている気がするんですよね。

誰でも簡単に有料にも出来るし、マガジン機能や複数人で編集出来る機能も確かありましたよね?
縦スクロールマンガを発表・販売する色んな条件が揃っている気が……。

まぁ、僕が知らないだけで、すでに活用してる人はいるのかもですが。

というわけで、マンガの未来を考えてみましたー!
ではではー(´∀`)ノ

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