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「あなたはカレーを作れますか?」

「カレー作れる?」ってのは僕が新人を迎えたときに質問するお決まりの台詞。

 よほどの偏屈か、料理に自信無し子ちゃん以外は大体の人が「カレーくらいなら」と言ってくれます。

「どうやって作る?材料は何も無い前提で」とすかさず返すと

「スーパーでカレールー買って、人参買って、じゃがいも買って...」とそんな感じ。

 購買調達業務の役割って、このお買い物なんですよね。そう言ってもらえると、だいたいの人は理解してくれます。車を例えにすると、有名なT社も当然「全ての部品を内製しているわけではない」のです。餅は餅屋とはよく言ったものでして、ものづくりの業界も、ネジはネジ屋なのです。当然、ネジだけではありませんが。

 そしてカレールーという存在も特異です。本格派の人はスパイスを調合するでしょうが、大半の人は誰でもそこそこ美味しく作れるルーを使います。これって、外注委託なんですよね。サブアッセンとか、半完成品とか、完全に食品メーカーのレシピなので購入品というカテゴライズが適切かもしれません。(たとえ話なのでツッコミ無用です)

 ではなぜカレールーを使うのかというと...

・そこそこ美味しくできる ⇒ 品質の安定

・スパイスを買い集めなくてよいし、調合もしなくていい⇒リードタイムの短縮

と、まあ数多のメリットがあり、便利だから使うのです。

 車だとトランスミッションやブレーキなどはそれぞれ専門メーカーが設計、製造したものを購入していますよね。

 ただし、ただ家計(会社)の金を使って買って来るならアホでもできます。金をかけて超美味しくて高い肉を買ったり、高級なルーを買ったり、はたまたシェフを雇ったり、コストを度外視すれば誰でも美味しく作れます。

 でもそんなことしてたら仕事になりませんよね?我ら購買調達業務への従事者は限られた予算で、要求された仕様のものを、安定的に調達しなければなりません。これが、意外と難しいのです。

 どこから買うか?どのように買うか?いくらで買うか?いくつ買うか?いつまでに買うか...etc いろいろ検討しなければならない事はたくさんありますし、よく誤解されがちなのですが「買ってくださいー。お願いしますー」なんて言われるのは在庫処理や、不景気のとき(つまりいらない時)だけで、たいていろくでもない状態です。逆に必要な時にビシバシのタイミングで物を調達してくるのは結構難しいのです。相手も我々と取引したいとは限りません。

 この難しい商談をまとめ、自社で美味しくて売れたら利益になるカレーをつくれるかどうかは「君次第だよ。さぁまずは納期督促だ!」というのが僕が購買調達業務を新人に説明するときのネタです。駄文失礼しました。

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