日本の原風景 名前

大和魂の解釈問題で、仏教伝来以前の日本のふんだらーがそれやと言う訳だが……逆にいうと「仏教伝来以前の日本の姿」というのは、びっくりするほど知られていない。いや、日本人自身ですら。日本人が知らないのだから当然海外の方は知らんだろうし、日本人は知らないながらも日本のアトモスフィアで生きてて「なんとなく」知ってたりするからタチが悪い。

そこで、私も専門的に学んだり調べたりした訳では無いが、ちょこっとふっるーい日本の話をしてみたいと思う。初回は名前について、だ。

上記は日本の神話に出て来る「最初期の神々の名前」である。アメノミナカヌシとカタカナで書かれているのは、当時は日本書紀と古事記で漢字表記が異なるとか良くある(万葉仮名みたいに漢字を表音文字として使い、漢字自体の表意部分を使わなかった)ので、音だけ取り出した結果である。
所謂皇孫とか皇祖神、所謂「天皇家」には苗字が無い。何故かというと、ウルトラスーパー最初期の日本に於いて、苗字は血統を示すもので天皇家から賜るものだった。

こっから現代日本に無い概念だからすっすげえ難しいぞ。

で、この血統を示すナニかの他に、地方統治を許された豪族には地名が苗字的な何かになる事もあり、これは先の血統表記と重なる事があった。そしてこれらはその血族の持つ職能とか権威をも表していて、この何かが低いと出世出来なかったりした。この辺が「氏・姓(うじ・かばね)の概略」であり、天皇家に苗字が無い理由である。苗字は天皇が血統に与えるものであり、官位であり、与えられた職能を示すものだ。何故古代日本のパンピーに苗字が無いかと言うと、天皇から与えられて無いし、官位もなければ職能も決められてないから。ゴンゾーやらマタザで良いのだ。別にどっかの寒村の農民を区別する必要はない。政治システムに絡む連中以外に氏・姓は要らんのじゃ。

実際、皇祖神の皆様も名前というのは雑に「何した神」ってエピソードで名付けられる事が多い。というか、成立過程で複数の人物のエピソードを組み合わせて1人に仕上げたりした結果、なんか「名称」が複数あるパターンもある。

また、この「名が沢山ある」システムはモノにも適用され、三種の神器の一つである「草薙剣」は天叢雲剣とも称される。

例えば草薙剣は、まず最初に素戔嗚尊がクシナダヒメを娶るエピソードの中で悪竜である八岐大蛇を倒した際のドロップ品である。これを素戔嗚尊が天照大神に奉納して、後の「天孫降臨」で日本に向かった皇孫に与えている。そしてヤマトタケルの東征の際に野火に巻かれたヤマトタケルが草を薙ぎ払って命が助かったエピソードが追加されて「草薙の剣」と呼ばれる様になったのだ。だからヤマトタケルが草薙ぎ払う前はクサナギとは呼べず、八岐大蛇の上にはいつも雲がかかってたという話から「天叢雲剣」と名付けられた訳で。

この様に、古代日本においては名前という「識別子」は「やった事」に直結している。この概念が根底にあったから、氏・姓も「やったこと、やること、期待される事」と繋がっており、国家運営システムに関与する人々の識別子として機能した。(また、血統に職能や権能を世襲させて貴族化を促した)
何故徳川家康は将軍で豊臣秀吉は太閤だったか……徳川家は源氏一門の末裔だからだ。そも将軍というのは未開地開拓軍の大将の「格」で基本皇孫しか成れない。桃太郎として有名な吉備津彦も皇孫である(桃から生まれた伝説でえらい事になってるが、元々皇孫として吉備地方を平定した将軍なんよ)

このシステムは貴族社会の中で当たり前のように「明治初期まで存続した」 
しかしすごーく重層的で分かりにくく、管理も面倒くさいのと「明治政府内部から貴族が減っていった」(薩長土肥の採用が増えた)事から、現在の「姓・名」方式へと転換されて行ったのだ。

方針変えて、noteでの収益は我が家の愛犬「ジンくんさん」の牛乳代やオヤツ代にする事にしました! ジンくんさんが太り過ぎない様に節度あるドネートをお願いしたいっ!