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【ニッカ】ボトルに印字されている製造固有記号でウイスキーの製造日が分かる!【豆知識】

国内におけるウイスキーブームは冷めることなく、続いています。
ひょっとしたら自宅に国産ウイスキーの1本や2本程度、所持されている方も少なくないと思います。
でも、ウイスキーに賞味期限や製造日の記載が無いことにお気づきでしょうか?
賞味期限や製造日の記載がどこにもされていない理由、それはウィスキーが「悪くなる(劣化する)商品」ではないからです。
瓶詰め後のウイスキーは一般的な保存環境下であれば変質しないので、賞味期限や製造日を記載する意味がないので、賞味期限は存在せず、製造日に関しても特別な場合(限定品・記念品など)や一部の例外を除いて、製造(瓶詰め)年月日は記載されないことが一般的です。

しかし、実はニッカの製品においてボトルに刻印されている製造固有記号を解読すれば製造時期が分かります。
今回はNIKKAことニッカウヰスキーのボトルにまつわる豆知識として製造固有記号の判読方法を解説したいと思います。

一般的なニッカの製品には製造時に刻印される「製造固有記号」がボトルのどこかにうっすらと印字してあります。
(※2009年以前のボトルではラベルに印字されていた様です。)
その製造固有記号によってニッカのボトルの場合、どの時代の、いつ頃製造されたウイスキーであるのかが確認できます。
なお、今回は一例として数あるニッカの製品の中からブラックニッカの限定ボトル「ブレンダーズ スピリット 」(冒頭画像のボトル)に刻印されている製造固有記号を使って説明させていただきます。

では、早速ですが製造固有記号の解読について説明したいと思います。
今回の当該ボトルには下記の「製造固有記号」が印字してあります。

【6/06G28 1403】(※冒頭画像参照)

先ず、冒頭部分の数字「6/」ですが、この部分は製造工場番号を指し示しています。
所謂、ニッカウイスキーにおけるボトリングされた工場の場所を表記しています。
なお、ニッカウヰスキーにおける工場の番号は下記の通りになります。

1)北海道工場(余市蒸留所):北海道余市郡余市町黒川町七丁目6番地
2)仙台工場(宮城峡蒸留所):宮城県仙台市青葉区ニッカ1番地
3)西宮工場:兵庫県西宮市津門飯田町2番118号
4)弘前工場:青森県弘前市栄町二丁目1番1号
5)栃木工場:栃木県さくら市早乙女1765番地
6)柏工場:千葉県柏市増尾字松山967番地
7)門司工場:福岡県北九州市門司区大里元町2番1号

つまり、6は柏工場となり、ボトリング(瓶詰め作業)が柏工場と推測できます。
なお、1990年頃までは、余市、西宮、栃木、門司などで主にボトリングしていた様ですが、現在では合理化と設備集約で、殆どのボトリング(瓶詰め)工程が柏工場に一本化されています。
その結果、現在の製造固有記号の冒頭部分の数字は概ね「6」の柏工場製を示す数字となっています。

次に6/の後の「06」について説明します。
この6/の後の最初の2桁は出荷月の2倍を指し示していて、表記されている数字を半分(÷2)にすると製造月となります。
番号の対応表は下記の通りになります。

02=1月
04=2月
06=3月
08=4月
10=5月
12=6月
14=7月
16=8月
18=9月
20=10月
22=11月
24=12月

つまり冒頭の画像にある例の場合は”06”の半分の数字が製造月=3月となります。

そして最も分かりにくい6/から3桁目のG「アルファベット部分」について説明します。
アルファベットの部分は一見すると何を指し示しているのか全く分からない部分と言えるでしょう。
この3桁目のアルファベット、実は出荷年を表していて、西暦の下一桁を指し示しています。
対応表は下記の通りになります。

A=1/2021,2011,2001,1991,1981,1971年
B=2/2022,2012,2002,1992,1982,1972年
C=3/2023,2013,2003,1993,1983,1973年
D=4/2014,2004,1994,1984,1974年
E=5/2015,2005,1995,1985,1975年
F=6/2016,2006,1996,1986,1976年
G=7/2017,2007,1997,1987,1977年
H=8/2018,2008,1998,1988,1978年
I=9/2019,2009,1999,1989,1979年
J=0/2020,2010,2000,1990,1970年

冒頭の画像にある例で表記されている”G”の場合はAから数えて7番目になることから、製造した西暦の下1桁=2017,2007,1997,1987,1977年の何れかを示しています。
今回、一例として使用しているブラックニッカの限定ボトル「ブレンダーズ スピリット 」は、かなり最近の限定ボトルになりますから、当然2017年製造ということが記号から読み取ることが出来ます。
ある程度ニッカのウイスキーに関する商品知識さえあれば、アルファベット表記が10年周期ということも含め、大体どの年代に製造されたものであるかは比較的容易に判別が可能です。

最後にアルファベットの後に記載がある「28」の部分について説明します。
アルファベット表記の後ろにある2桁は出荷日の2倍を指し示していて、表記されている数字を半分(÷2)にすると製造日が割り出せます。
今回の冒頭の画像にある例の場合「28」を半分にすると14になるので、製造日=14日となります。

ここまでの流れを総合すると以下の通りになります。

【6/06G28 1403】の場合、
冒頭の”6”は柏工場となり、製造工場は柏工場。
”06”の半分の数字が製造月=3月
”G”はAから数えて7番目、西暦の下1桁と生産時期を考慮=2017年
”28”の半分の数字が製造日=14日

…ということで2017年3月14日に柏工場で瓶詰したボトルとなります。

再度、確認します。

6/:製造工場を表記しています。
06:ボトリングした月を2倍した数字が表記されています。
G:西暦の下一桁を判別出来る様、A~Jで表記されています。
28:ボトリングした日付を2倍した数字が表記されています。

なお、後半の4桁1403部分の詳細は不明で「製造ライン説」や「より詳細な製造時間(何時何分)説」など諸説ありますが、ニッカ社内において商品トラブル発生時に容易に製造ロットを抑えるための補助番号と考えられます。

ということで、製造固有記号の後半部分4桁を除いた前半部分の数字と記号を解読することで、比較的簡単にニッカのウイスキーボトルの製造時期が分かります。

今回の豆知識を参考にして、自宅に所蔵してあるニッカのウイスキーがいつ製造されたボトルであるのかを確認してみるのも面白いかもしれません。
ひょっとしたら同じ製品・同じラベルでも全く違う時期に製造されたボトルかもしれませんよ?

一度、お試しあれ♪