「話がわかりづらい」と言われるんです…
以前、研修で受講生だったルーキーさんから、こんな↑相談を受けました。
ご自身でも本を買って、わかりやすく話すために努力しているとのこと。偉い!!そうそう、学びは自分から取りに行くものですよっ。
「でもたくさん読みすぎてしまったせいか、ちょっと混乱気味で」ということで、「話をわかりやすくするTips」を紹介しました。
話をわかりやすくするたった一つのコツ
Tipsと言いましたが、紹介したコツは一つだけ。この一つだけをまず試してみることを勧めました。これだけでだいぶ手応えを感じている様子。いいですねぇ…。たくさん手をつけるより、一つをやり続ける方が長い目では効果的。これが定着したら、次にいきましょうね。
…ということで、もし同じような課題感をお持ちの方がいれば、参考にしてみて下さい。
【このnoteのサマリー】
伝えたいことの目次をつくってわかりやすくしましょう。目次づくりは2ステップ。サクッと書き出すサマリーと、サマリーの再構成です。再構成には少し手間がかかりますが、すぐに慣れます。その時に重要なのはメッセージを伝えたい相手の目線です。
「話がわかりづらい」と言われる人は、実は優れた能力の持ち主であることが多いと思っています。(1)一つのことからあれこれと発想が拡がる、(2)自分が言いたいことをできるだけ正確かつ忠実に伝えようとする、(3)メッセージをよくしようと何度も考え直す、などです。実はその優れた面が、往々にして話をわかりづらくしてしまっている、ということに気づけるといいですね。
目次をつくろう
自分が伝えたいことの目次づくりをする。これが【わかりづらい】話を【わかりやすく】するコツです。どんな本にもありますよね、目次。目次は、伝えたいことのサマリーであり、伝えたいことの構成です。
ですから、自分が伝えたいことも、I. 伝えたいことのサマリーと、II. 伝わりやすい構成を書き出してしまえば、それだけでもグッと伝わりやすくなります。
もちろん、他にも必要なコツはあります。ありますが、まずは目次づくりができるようになりましょう。
I. サマリーづくり:思うがままにサクッと書きましょう
①サクッと書き出す
テキストエディタを使って、サクッと書き出しましょう。もちろん手書きでもいいですが、ほぼ間違いなく修正することになるので、そこだけご注意を。
ポイントはサマリーづくりにかける時間です。しっかりしたプレゼンテーションをするなら別ですが、報告程度ならMAXでも10分目安でいきましょう。そう、スピード感が大切なのです。話が伝わりづらい人には、「あれを伝えるなら、これも言っておかないと」というように関連概念が出過ぎてしまう傾向があると思います。それ自体はいいことなのです。深い考え、広い考えができるということですから。
しかし伝えるときに外せないのはシンプルさ。ですので関連概念がザクザクと出てくる前に、短い時間で思いつくことを書き出してしまいましょう。
「重要なことが漏れたりしないんですか?」
大丈夫、漏れても書き出せば気づきます。だから安心して、そのかわり集中して10分で書きあげてしまって下さい。
10分で書き上げるサマリーの例
II. 構成づくり:階層間の概念レベルを揃えましょう
次に、自分がいいたいことを括り直して、括り直したものの概念レベルを揃えます。
「その”括り直し”の意味がよくわからない…」「概念レベルって何?」「概念レベルを揃えるってどうやるんですか?」
無理もないです。言うのは簡単ですが、やるとなると難しいのが「構成づくり」や「括り」、「概念レベルの統一」です。何故かと言うと脳みその自然な働きに逆らっているから。だからまず難しくて当たり前、と思って下さい。少しは気が楽になります。
脳はネットワーク型です。色々なことがネットワークのように繋がっています。面もしくは球の中に拡がる点と線なんです。
言いたいことを構成する、あるいは構造化するために階層間の概念レベルを揃える、というのは、そのネットワークからある部分を【言語として】切り出して、Aはa1, a2, a3、Bはb1, b2, b3…というようにくくり直すことです。
このように切り出した時点で、頭の中にあることとは別物になっています。頭にあることを拾い出して言語化した段階で、その言葉と頭の中にある考えとは、違うものだと割り切りましょう。言葉にするというのは、頭の中にある複雑な考えや想いをデフォルメすることです。部分、部分が捨て去られている。似て非なるものになっている。残念ですが仕方ありません。そうならざるを得ないのです。それが言葉の限界であり、それが言葉というものです。
話がわかりづらいと言われる人のなかには、この点に違和感を感じる方が多いように思います。「自分が表現したいのはこうじゃない…」「私の考えがうまく言葉にできていない」…。熟考者特有の健全な違和感です。しかし、その違和感にこだわり過ぎることが、自分の話をわかりづらくしている、ということに気づいて下さい。相手はあなたの脳の中がどうなっているのか、知る由もありません。ご自身でも完全に説明することは不可能ですよね?だから割り切ってしまいましょう、ということです。
②言いたいことを括る
言いたいことを括るには、括る軸が必要です。どういう基準で括るか?と言い換えてもいいでしょう。
前述のサマリーは、単純に【調べたデータ】と【気づいた課題仮説】で括ってありました。さて、これはどういう軸で括られていますか?
「軸?軸も何も、単に”こういうデータを調べましたよ”、と”そこからこんな課題を思いつきましたよ”ってことで…。軸って言われてもなぁ」
「サクッと書け、というからそうしただけで…。それを”どんな軸?”と問われても…」
そうですよね。無理やり”軸”というなら、「サマリーを書く時に思いついた順」ですね。その通りです。
③聞き手目線を起動させる
では、次に聞く相手、この場合なら報告する相手の立場になってみましょう。その立場になって、「サマリーを書く時に思いついた順」でOKか?それで伝わるか?相手の要望を満たしているか?を考えてみて下さい。
それでOKな場合もあるでしょう。それなら目次づくりは完了です。
「いや、このまま話しても伝わらない…というか、「”そうじゃないんだよなぁ”と言われそう…」
そう思うのならサマリーを括り直しましょう。
「???…どうやって括り直すんですか?」
”相手が知りたがっているだろう”とあなたが思う軸で、です。それが聞き手目線を起動させることの意味です。話がわかりづらいと言われる人は、何度も考え直しているうちに、自分のあたまの中では当たり前になっていることを、伝えるメッセージから省いてしまうことがあります。ですので、一旦、自分を客観視する、相手目線になってみることが重要です。
例えば「データと課題仮説を別々に示しても、”繋がりがわからない”って言われそうだなぁ…」と思うなら、データと課題仮説をセットにして括り直しましょう。
その軸で先ほどのサマリーを括り直すと、こんな感じになります。
括り直すことで、新しい課題仮説が出てきましたし、未収集のデータがあることもわかりました。どうです?だいぶ「わかりやすく」なってきたと思いませんか?
サマリーし直すことで自然に階層レベルも合ってくる
しかも階層レベルも合ってきました。課題仮説があり、それを示すデータがある、という具合に。軸が定まったことで構成も大筋固まり、その結果、階層レベルも合ってきました。軸を定めてサマリーし直す。こうすれば大雑把でも構造化できるものなのです。
さて、ここ例では、サマリーを作った【後で】相手目線に立ち、軸を探しました。でももっと良いのは、【最初から】相手目線を確認しておくことですね。この例で言えば、タスクを受けた時にサクッと聞いておく。「どんな視点から纏めるのが良さそうですか?」とか、「何を目的としたタスクですか?」とか。仕事も効率的になるはずです。
困ったときのWWH
今回は、まず言いたいことの目次づくりに絞って書きました。先ほども言いましたが、これ以外にも「わかりやすくするコツ」はあります。追々、書いていきます。
一つだけお伝えしておきますね。それは「困ったときのWWH」。WWHとは、Why、What、Howの略です。Why=目的(なぜこれに取り組むのか)、What=やること(何をすればいいのか)、How=手段(どのようにすればいいのか)。困ったときはWWHを思い起こし、今自分が書いていることはどれに当たるのか?抜けているのは何か?などの検証に使ってみて下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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