愛じゃなくて、恋じゃなくて、夢を歌え

≒JOY 2nd ANNIVERSARY PREMIUM CONCERT 昼公演を配信で見た。

このグループが向こう何年かのアイドル界の覇権を獲る。そう確信させられた。それぐらいに、圧巻の完成度と充実感。
なんなら自分がこれまで見てきたアイドルライブ・公演の中で最上位クラスの評価をあげてもいい。そんな代物を二周年時点で供給してきたニアジョイがあまりに末恐ろしい。

なぜか。
≒JOYには、女性アイドルの楽しさが、極めて高次元に詰まっているからだ。

クラシカルで正統派なアイドルに一度は酔いしれたことのある人間なら、まず間違いなくハマる。日本全国の地下に巣くう名もなきアイドル達、そのファンたちを全部喰ってかかる勢いとポテンシャルが、今のニアジョイにはある。

長女グループの=LOVEが、品格高い女性に成熟し、大人女子の心を鷲掴みにした。
次女グループの≠MEが、微炭酸のような爽やかさで見る者を魅了した。

≒JOYは、とにかく原点に立ち返ってアイドルの楽しさ・眩さを再認識させてくれる。

"愛じゃなくて、恋じゃなくて、夢を歌え"

彼女たちは、自分たちのグループ名を冠した楽曲で、こう叫ぶ。
夢を追いかける過程を共有し、ファンと支え、支え合い…。2010年台のアイドルブーム全盛、全国各地でそれぞれの夢を追っていたドルヲタたちがもう一度、集える旗。あの頃に戻って、全身全霊で刹那の夢に誘ってくれる存在。ニアジョイの魅力を表現するなら、こんな言葉が適切だろう。

今回の二周年ライブは、まさにそのコンセプトを体現したようなライブであったのだ。

中盤のメドレーブロック。
ももクロに始まり、松浦亜弥、FRUITS ZIPPER、坂道3グループに48も忘れず。高嶺のなでしこ、おまけにBiSHやまねきケチャの伝説の曲まで。

ドルヲタには細胞レベルで深く刻まれ、イントロを聞いただけで全身の血液が沸騰し、脳みそにそれぞれの『あの頃』が押し寄せてくる国家の応酬。

正直、ズルいなと思った。素人がカラオケボックスで盛り上がるような、あるいは大学のアイドルサークルがコピーするような、『絶対に外さない』択の連打。

ユニバがハリウッド映画のテーマパークというコンセプトを無くし、全世界のエンタメの集合基地に舵を切った時のような。
あるいは、コース料理でカレーや揚げ物、スイーツを羅列しているような。

まず間違いなく楽しいんだけれど、人の褌で相撲を取るような狡猾さを感じたのは私だけじゃないはず。

だが、実際のパフォーマンスを見た瞬間、そんな負の感情は一秒にして消え失せた。

ニアジョイメンバーたちの究極とも言えるパフォーマンスの仕上げ方、そして先輩方や楽曲に対する深いリスペクト。そんな気持ちが滲んでいたからだ。

そうなってしまえば、後はもう突き抜けるだけ。『え、この曲も抑えてくるの?』とセットリストが進むごとに高笑いが漏れてしまい、ドルヲタとしての大好物が最高速で流れてくる夢のような時間に、興奮せずにはいられない。端的に言うと、とんでもない物を見た。あの30分弱で我々が見ていたものは、女性アイドルが歩んできた歴史だ。我々が幾度となく魅せられてきた、甘美な夢だ。

また、彼女たちの持ち曲があまりに良い……きっと何年後かに、アイドルの歴史として振り返られるに足る地盤があるからこそ、他グループの甘い蜜だけを吸って増長しようという風には見えなかったのも大きい。

今回の大胆すぎるカバーメドレーは、まだデビューして2年の彼女たちに持ち曲が少ないという要因もあろう。自分たちの曲だけで、2時間弱の公演時間を充足させることが物理上不可能。

ただ、楽しければオールOK…そんなニアジョイのコンセプトを体現するには十分すぎるほどの破壊力。そんな道しるべになった本公演。

世界中のアイドルヲタク…アイドルたちとともに刹那の輝きを享受し、共に夢を追いかける少し不思議な旅人たちが、金の王冠の旗の下に集う日は近い。


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