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雨の十二夜祭⑫ 相合い傘

こんばんは
夜です

十二夜最後のお話は
甘い恋の始まりに
しましょうか…


༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶


あーぁ
降ってきちゃった
ギリギリ降らないうちに
家に着けそうだった帰り道
電車を降りたら
雨…

しかも長い踏切に引っかかった

回送電車
どうして踏切で止まりますか?
早く通過してください
なんて思いながら
お店の軒先でこっそり雨宿り

やっと踏切が上がって
歩き出した時

どこまでですか?

振り向くと
仕事帰りっぽい男性が
傘をさしかけてくれていた

あ、ありがとうございます
あっちの方です

じゃ、一緒ですね
よければどうぞ

でも、自分は途中で右に曲がるので…

え、そうなんですか?
一緒ですよ

と、彼は笑った

話していると
なかなか家が近いみたい
他愛もない話をしながら
相合い傘で歩いていた

たとえ他人でも
異性との相合い傘は
ドキドキするな

なんて思いながら歩いた
ほんの15分くらいの
相合い傘


本当の本当の分かれ道

じゃあ、私はこっちなので
助かりました
ありがとうございました

いえいえ
同じ方向なので
気にしないで下さいね

にっこり微笑む彼に

それじゃあ

と、小さく手を振り
私は小走りに家へ向かった

༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶ ༶

結局、彼とは別れてしまったけど
そのあと、また駅で会い
なんとなく付き合う事になった

あんな出会いもあるんだな…
久しぶりに実家に帰り
雨の中
あの道を通って思い出した
甘い記憶



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