見出し画像

住友優子「イギリスひとり旅⑥」

「チャリス ウェル」で身を清め、Booking.comで予約したグラストンベリーのB&B「Bell-Vue」へ。ママさんが部屋の案内をしてくれて、最後に玄関の鍵の開け方を説明してくれた。「もう、明日の朝まで会えないから、質問するなら、今が最後よーー」と言われ少々不安になったが、「お薦めのレストランはありますか?」と英会話で練習したフレーズを使い、教えてもらったイタリアンレストランへ向かった。マッシュルームのたっぷりのったピザを食べながら、「明日は、雷マークがついてたわよ」というママさんの言葉を思い出し、かなり疲れてはいたけど、思いきって、そのままもうひとつのパワースポット「グラストンベリー・トー」へ行くことにした。

前方に見える小高い丘にそびえる旧聖ミカエル教会。「サンセットは綺麗よ、見てらっしゃい」とママさんにいわれたが、サンセットしてしまったら、、、真っ暗闇。

急に怖くなって、足を速める。19:30、サマータイムのイギリスはまだ明るいけど、あの遠くに小さく見える頂上まで、どれくらいかかるのか、、、、。

途中、犬の糞のような、くろっぽいものを、不規則に避けながら、道を進む。

カップル、ファミリーを、何組か追い越し、バクバクする心臓をおさえながら、汗ばむ体にヒンヤリした風が通り抜けるのを感じながら、、、、登る。

はあーーー!これかーー。

ミカエルーーー!

丘じゃなくて、山だよねーーー!

伽藍とした旧聖ミカエル教会に、声が響く。

しまった。こういう時は、感謝の気持ちを伝えるのでは!?

帰り道は、サンセットとの闘い、転げるように、車道に降りてきた。

20:40、、、B&Bの玄関の鍵を鍵穴に入れ、言われたように左に回す。

開かない。

落ち着いて、もう一度。

開かない。

開かない。開かない。開かない。

お向かいのお宅に怪しまれないか気にしながら、じたばた、格闘。

10分は戦った、、「朝まで会えないから、、」ママさんの言葉が頭に浮かぶ、、

がっくりと力を抜いたら、カチッと、開いた。









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?