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ガンジュ再生への道のり

第1話 ガンジュ経営危機! 敏腕コンサルと社長の大決断!!



プロレスリングガンジュ本社事務所にて

事務:
「宮沢社長! もうほんとにウチの資金繰りヤバいですよ! この間の『Estadio de Polan』の突然の会場変更もあって、支払いギリギリですよ。2会場分の料金取られたようなもんなんですから! 選手の給料もあるし、どうするつもりなんですか!」

宮沢社長:
「会場変えたからってそんなお金とられるもんかなぁ……ポスターデザイン変更するより手間かからないでしょ。俺がおかしいのかなぁ……」

事務:
「と・に・か・く! ただでさえウチは全国まわっての興行やってて常にお金がかかってる状況なんですから。ホントは今度の横浜武道館と次の愛知県体育館だってキャンセルしたいくらいなんですよ?」

宮沢社長:
「うーん、もともとそこでやるって決めてたしねぇ。それじゃあどっちも盛岡でやる?」

事務:
「さっきの話聞いてなかったんですか! 今からじゃキャンセル料かかっちゃいますよ! チケット買ってくれてるお客さんにもどう説明するんですか? この間だってチケット払い戻しで相当削ってますからね!」


宮沢社長:
「ファイプロ自団体運営でカネの話するなんて当初は思ってもみなかったなあ」

事務:
「何をアホなこと言ってるんですか……」

宮沢社長:
「まあそんなに心配しなくても、ちゃんと対策は考えてるよ」

事務:
「ホントですか? どうしても不安ですけど……」

宮沢社長:
「実はこの間飲み屋であった人が経営コンサルタントをやってる人でね。色々話をしてみたら是非力になりたいって言ってて、今日来てもらうことになってるんだよ」

事務:
「ええ……飲み屋でウチの会社のことペラペラ話さないでくださいよ」

ピンポーン

宮沢社長:
「ほらほら、いらしたみたいだからコーヒー淹れてちょうだいね」


都:
「どうも社長、経営コンサルタントをやってます、都正則です」

宮沢社長:
「あれっ、キミどこかで見たような気がするが……」

事務:
「何言ってるんですか社長、飲み屋で会ったんでしょう」

宮沢社長:
「あ……ああ、そうだよな。いやあ、それ以外のどっかで見かけたことがあるような気がするんだけど」

都:
「社長、早速ですが私からひとつご提案があります。今月の支払いにも苦労されている現状では、まず資金を集めることを最優先に考えねばなりません。そこで、株式を追加発行しましょう」

宮沢社長:
「株式を発行……? ウチってそんなことできるんだっけ」

事務:
「ウチは上場会社ですから、できますよ。なんで知らないんですか……」

都:
「上場会社であることのメリットは存分に生かさないと、宝の持ち腐れですよ社長。今、社長の持ち株比率はどの程度ですか」

事務:
「ええと……おおよそ80%ですね」

都:
「では、社長の持ち株が30%程度になるくらいまで発行して資金を募りましょう」

宮沢社長:
「ええっ!? 半分くらいは持ってないと経営権が失われるんじゃあ……」

都:
「いえいえ、追加発行される株式を保有するのは無数の投資家たちです。社長が30%も持っていれば筆頭株主であることに変わりはありませんし、ほとんどの投資家たちは総会での議決権を放棄するでしょうから、持ち株比率が多少少なくなったところで第三者に経営を左右されることはありませんよ」

宮沢社長:
「ううん、でもなあ……30%はなあ……」

都:
「……わかりました。では40%程度にしておきましょう。考えてみれば80%から30%になるほどの株式の発行数を考えたら、会社の信用を損なう事にもつながりかねませんからね。さすがは社長、深い洞察力です、おみそれしました!」

宮沢社長:
「おっ、そうかい? いやあ照れますな。それじゃあ都さんのおっしゃる通り、株式の追加発行を行いましょう」



都:
「では今度、その手続きに詳しい者を紹介しますので今日はここで失礼しますね」

宮沢社長:
「いやはや、よいアドバイスをいただきました。これで我がプロレスリングガンジュが救われるのであれば、大助かりですよ」

都:
「……ええ、救いは必ず訪れますよ」

宮沢社長:
「いやあ心強い! どうもありがとうございました!」

都:
「ああそれと、株式の追加発行には既存の株式の価値が下がるデメリットもありますから、これからガンジュさんが急成長する会社であると、素晴らしいプロレス団体であると示すためにも興行規模を縮小することなく、バンバン世間へのアピールを続けていってください。そうすれば、株価も上がって投資家たちへの注目も集めますからね」

宮沢社長:
「ええ、ええ! 肝に銘じますとも!」

都:
「では、失礼します」


宮沢社長:
「いやあこれで一安心だな!! ようし、次回興行『Hungry Camp』が成功するようみんなでがんばろう!」

事務:
「う~~ん……なんか心配ですねぇ」

宮沢社長:
「心配するな! 都さんもおっしゃっていただろう! 私には潜在的な深い洞察力がある。つまり危機を事前に察知する能力があるということだ。経営者としてこれ以上頼もしいことはないぞ?」

事務:
「まあ……社長がいいなら、それでいいですが」

宮沢社長:
「増資して余った分は宣伝にバンバン使うんだ! ガンジュの悪いイメージを払拭して、これからイヌワシのごとく、空高く羽ばたいていくぞー!!」

~つづく~


※このおはなしはフィクションです。株式についての情報は誤りがある場合があります。

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