好きな本

好きな本。5冊しか思いつかない。「好きな」とつけているくらいなので基本的に主観性にもとづく。

ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ『千のプラトー』
村上龍『コインロッカー・ベイビーズ』
夏目漱石『坊っちゃん』
エミール・シオラン『生誕の災厄』
千葉雅也『動きすぎてはいけない』

『千のプラトー』

すべての本の中で一番おもしろい。学部3年生の終わり頃にたまたま手にとった。少し読んだら、ちいさな頃に思ってたこと、忘れかけていた疑問が回帰してきた。この本に限っては、こういう取っかかりはわりと誰が読んでも何かしらみつかると思う。それと彼らの言葉遣いが尖っててカッコよかった。だからこそ食いこむように読んだが、意味わかんなくて投げたりしたこともあった。〈脱領土化〉、〈アレンジメント〉、〈戦争機械〉――。厨二病ワードではない。根気よく読んで思考に実装すると世界が変わる。だから、この本は「読む」というより「使いこなす」イメージ。ここにメッセージはひとつも込められていない(著者ら談)。そのときの読み手とともに独自の力を放つ文字列だ。

『コインロッカー・ベイビーズ』

確か高校のとき初めて読んだ。衝撃ではあったけど、それ以上に心地よかった。グロテスクなのに読後感がすっきりしてる、という感想をどこかで聞いたことがあった気がするが、個人的にはむしろ読中感?からスッキリというか、感覚が馴染んでいた覚えがある。たぶん似たような原風景を知っているんだと思う。

『坊っちゃん』

おそらく小学生のうちに100周近く読み返した。そのうちのほとんどは祖母が寝る前に読み聞かせてくれたものだったが、いつの間にか自分で、やはり寝る前に読むようになった。中学に上がってからは読まなくなったが、あのマインドは自分の人格形成に強い影響を与えたと思う。近いうちに読み返そう。

『生誕の災厄』

この5冊のうち入手から最も日が浅く、なんなら通読はしていない。しかしこの本の著者の性質が自分のそれにものすごく近いということは、書いてある箴言を幾つか読めばすぐにわかる。初めて読んだとき、この本は自分が書いたのではないかと本気で思った。思い上がりではない(シオランと近いことが一体なんのステイタスになるだろう)。仰々しいタイトルだが安直に反出生主義と関連づけるべきではない。また、ツイッタラーの必読書。


『動きすぎてはいけない』

ドゥルーズの研究書。自分自身ペーペーのペーペーだから偉そうなことは何も言わないが、価値のある研究とはこういうものを指すと思う。卒論のときにもドゥルーズ(+ガタリ)読解の大きな助けになったが、修論でも参照する予定。読みすぎてページがポロポロ取れてしまったので新調を検討中。

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