2022/05/11:

幼いころ《それでもボクはやってない》っていう痴漢冤罪の映画を観て、家族に「こうなったらどうする?」と、つまり自分が冤罪で捕まったらどうするかと訊かれたことがあって、罪を認めると言って怒られた。どうしてそう答えたのかは今となってはくわしく思い出せないが、たしか被告人としての勾留や取り調べの期間、つまり罪人ではないのに不当に自由を奪われている期間がものすごく嫌だと思った覚えがある。痴漢冤罪は絶望的だし、控訴してもどうせ自由は奪われるのだから、いっそ正当に奪われた方がいいと思ったのかもしれない。こういう考え方はよくする。納得のいく理由がないまま制限されるくらいなら勝手に納得してしまった方がかえって心持ちがいい。理不尽と理由はビールと枝豆のようなものだ。理不尽を引き受けるためにとにかく理由が欲しい。なんとなく抑圧されるのがいちばん嫌だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?