2021/12/21:

どうもなんにも調子が乗らないので久々にアニメを一気に観る。『ナイツ&マジック』。異世界転生魔導ロボットもの、とでもいうのか。現代世界ではロボットヲタクで凄腕プログラマーだった主人公が、銀髪の美少年に転生。転生先の異世界は魔導ロボットがある世界。なんと魔法の仕組みがプログラム言語とおんなじようなもので、主人公はみるみる革新的な新型機を発明し、あれよあれよと無双していく。ところどころに勇者パースとか、巨大落下物を押し返しながら「伊達じゃない!」とか、ロボットアニメ好きがニヤつく演出が散りばめられていたり、メカのCGも凝っていて、ウェザリングやダメージ表現のおかけでのっぺりせずにカッコいい。ところで、主人公が理系みたいな理系でその描写は面白いし、困難や危機の要素もあったはあったのだが、なんというか、それでも人間的なものが欠落している……と思ってしまうのはもはや旧い感覚なのだろうか。さっき言ったこの作品における困難や危機は、「ゲームのボスが強い」みたいな方向性で、コレという答えがみえない「問い」みたいなものは特にないのだ。ガンダムで育った身なので物足りなさを覚える。初代ガンダムにおいては主人公アムロは想い人をその手で殺してしまったり、ガンダムSEEDでは主人公キラの出生が人類の業に呪われていたり、Vガンダムでは主人公ウッソの実母の首が巨大バイクによって撥ね飛ばされたりしていた。しかもこれらはそれぞれの作品における葛藤のほんの一部であり、そんな作品を観る心理的負荷はハンパなものではない。なので、トラウマ的に突きつけられる「問い」の周縁部に、現実逃避の避難所としてロボットへの偏愛が生まれるのだ。こうしてひとはロボットヲタクになる。思うに誰が観るアニメなのかが違う。つまり今回観たアニメは、既にロボットが好きな人向けに作られているのであって、ガンダムやエヴァのようにともすれば人々をロボット好き(という病気)にしてしまうようなパワー(力能)を持ってはいないのだ。パターナリスティックな演出に溢れているのも頷ける。まぁ色々言ってもロボットアニメ患者なので、個人的にはそれなりに楽しめた。だが楽しかっただけだった。

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