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好きなものを詰め込んで

先月映画を観たときの予告編で、心惹かれた映画があった。
「アイネクライネナハトムジーク」
原作が伊坂幸太郎さん、オール仙台ロケ、宮城で先行ロードショー。

伊坂幸太郎さんの本は昔付き合っていた彼の影響で読み始めた。
文体が好きで、相性がいいのかずっと読んでいられそうな気がして、本が読みたいな、買いたいなという気分のときに一冊ずつ買って読んで、ゆっくりとしたペースではあるが集め続けている。

大ファンの人と語り合うことはできないけれど密かに好きな作家さん。
(私は本に限らず、密かに好きだというものが多い。深く語れない、けれど好き、思い返すと好きになったのは相当前、みたいな。)

予告編でも、熱烈に「観たい!絶対観る!」という気持ちになったというよりは「なんか気になるなあ」といった感覚で、予告編を観たあとも数日その気持ちがなんだか忘れられなかった、といったところだ。

平日なら比較的簡単に休みが取れるし、好きな作家さんの本が原作の映画だし、オール仙台ロケだし、これまた密かに好きなサンドウィッチマンも出ているというし、宮城県先行ロードショーだし、せっかくだから初日に観てしまおう、そう思ってこの映画のためだけに休みをいただいた。

自分だけのための予定をつくって、その予定のためだけに休みをいただいたのだ。

映画館は私が働くカフェが入っているショッピングモール内にある。
ショッピングモール内で食事を簡単に済ませることもできたのだけれど、映画まで時間的余裕はあるし、せっかくだからカフェでお昼ごはんを食べようとショッピングモールから20分ほど歩いてカフェに行った。

久しぶりに手の込んだ、他の人が作ってくれたお昼ごはんを食べた気がする。
かっこいい店員さんを眺めたり、素敵なマダムを見てあんな品のあるマダムになりたいと思ったり、厨房の音を聴いたりした。
カフェ好きだなあ、一人カフェ最高、やっぱり歩いてでもカフェに来て良かった、と心から思った。

カフェを出たあとは、ショッピングモールまで戻るのに来たときとは違う道を通ってみたくなったので歩いたことのない道を勘で歩いてみた。
道に迷ってしまったら知っている道に復帰するか、それが無理ならGoogleマップを見ればいい、と。
なんかここで曲がればいい気がする、と感じてそれに従う、ということを3回ほど繰り返したらショッピングモールが見えた。
ちょっぴり探検気分で楽しかった。
(方向音痴じゃなくてよかった)

ショッピングモールに着いてから映画まではまだ時間があったのでショッピングモール内をふらふらと歩いた。
目的もなくふらふらウィンドウショッピングをするのは久しぶりだったので新鮮だった。

映画の時間になり、シアターに向かった。
シアター入口のスタッフさんにチケットを渡し、なんだか普段よりまじまじとチケットを見られている気がする、と思ったらチケットを見せたスタッフさんは研修中の人だった。ああなるほど、と思った。
研修中の札を見ると応援したくなって普段より表情が緩む。
少し微笑んでチケットを受け取った。

映画は登場人物の様々な恋愛模様が描かれていて微笑ましかった。
感動!うるうる!というよりほっこりする映画だった。

登場人物が少しずつ繋がっているのも好きだし、ちょっともどかしくて、だからこそ登場人物たちを応援したくなるようなお話。

出会いがテーマで、「あの時、あの場所で出会ったのが君で本当に良かった」というフレーズがキャッチコピーになっている。
映画を観たあと、自分はどうだろう、そもそも今の彼との出会いはどこまで遡ればいいのだろう、何をもって出会いなのだろうと考えた。
「あれが出会い!」とハッキリ言い切れる人もいればそうでない人もいるなあ、今の彼は後者。
今の彼は出会って(というか話すようになって)から付き合うまではかなり長かったのだけれど、あのとき○○してくれたのが、あのときあの場所にいたのが、彼でよかったなあ、と色々思い出して幸せな気持ちになった。

映画を観てから原作の本を読もうと決めていたので映画を観たあと本屋さんに向かい本を買った。
本屋さんの横のスターバックスで気になっていたフラペチーノを飲んだ。
映画の余韻に浸りながらのんびりして、ショッピングモールを出てバスに乗って好きな音楽を聴きながら帰宅した。

帰宅して夜ごはんを食べ、ミュージックステーションにPerfume(初めて誰かの影響ではなく自分で好きになったアーティスト。こちらもまた密かに好き)が出演するということで珍しくテレビを観た。

テレビを観たあとはアイネクライネナハトムジークを少し読んだ。
映画は原作と違うところがちらほらあったけれど、原作を読みきってもどちらも好きでいられそうな気がした。

立ち仕事なうえ、仕事中かなり動くので日々体力を消耗する。
休みの日くらいは体を休めるべきなのかもしれないけれど、いつも休日に寝てばかりではつまらないし、刺激も必要だと思う。
休日は体力を回復させるためでもあるけれど、心を元気にしてあげるためでもある。

好きな服を着て、好きなように化粧をして、好きなものを持って、好きな靴を履いて、好きな場所に行って、好きなものを食べて、好きなことをして、好きなものを見に行って好きなものに囲まれて、好きなものを買って、好きな本を読んで…。

好きなものを詰め込んだ一日。
自分のためだけに使った一日。
幸せな気分で、明日からまた頑張ろう、と思いながら終えられそうだ。

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