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0609「どこの人なのか」

この週末はとにかくちゃんと休むべき感じがしていたので、土曜の朝に実家に寄った後、いろんな温浴施設を回っていた。最初に入っていたサウナ室でちょうど「デジタルデトックスで脳の血流が良くなる」なんて言っていたのと、たまに発生するプッシュ通知から開放されて、自分が何にモヤモヤしているのかを完全に忘れなくてはならない、と思っていたので、妻のLINE以外の通知を全部切っていた。

そうすると当たり前だが、サウナと水風呂でととのいつつ、ニューヨークが起きている時間帯は妻とLINEで会話するだけになるし、それ以外の時間は本でも読んでいる、ということになる。妻とLINEで会話していると、これは当然のことではあるが、ああ、自分はこんなにも人と接するのが嫌な状態なのにこの人としゃべるのだけは全く苦にならないのだな、と再認識する。

で、休息をとって体力を回復させるつもりで、とにかく温浴施設をハシゴしていたのだが、最終的に恐らく湯冷めして、体調が悪くなった。嫌な汗がたくさん出る。

温浴施設にいるとテレビをよく見ることになる。日本ではいま「マンハッタンロールアイス」というのが流行っているらしい。テレビでそう言っているだけかもしれないが、今年か去年くらいにこの流行が始まっているらしい。冷たい板みたいのにアイスクリームを貼り付けてヘラで剥がしてくるくるしてロール状になったアイスクリームを食うというやつだ。

ニューヨークと日本を行ったり来たりしていると、だんだんそのへんがよくわからなくなってしまうのだが、自分の世界では、この「ロールアイス」というのは随分前からあって、ニューヨークだと、そのへんのお祭りの屋台みたいのでも売られているくらいであんまり新しいものだと思っていなかった。

なので、日本のテレビで「マンハッタンロールアイスが大流行中です!」なんて言われると結構びっくりしてしまう。

何が言いたいのかというと、どこで何が流行っているのかよくわからなくなってしまうのだ。このロールアイスだって、「東京で見たんだっけニューヨークで見たんだっけ」みたいな感じでどこで見たのかよくわからなくなってしまう。

たぶんそういう、「よその土地で流行っていて自分の土地でも流行りそうなもの」みたいのを検知するには、浦島太郎的な感覚というか、観光客的な感覚というか、そういう状態で行かないとダメで、むしろニューヨークに住んでいるような人間は、そのへんが鈍感になっているような気がする。自分は結局どこの人なのか、よくわからなくなる。ニューヨークでも東京でもなく、サウナ室ということなのか。

私がいる間に梅雨入りしたということなのか。ずっと雨が降っている。もう帰る。

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