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0927「足し算を続ける」

日記の日付が遅れているので、無理して書かないといけない。返す返すもこの日記を毎日続けているのはただの病気のようなものなので、ただただ面倒くさい。ちょうど9/26の日記を書いて公開し終わったばかりだが、無理して次のを書き始める。やっとかないと週末気が休まらないので、せめて1日ビハインドくらいに戻しておきたい。

まだ完全には読み終わっていないが、「こち亀」の秋本治先生のこの本を読んでいた。

この本は素晴らしくて、淡々とした筆致で秋本先生が自分の仕事のスタイルを綴っているが、その根底にはわりと、ともすれば結構攻撃的なルサンチマンというか、ある種の怨念が漂っているような気がして、そしてその「怨念」は私自身が感じてきたものに非常に近いのでとても深いところから共感できた。

この本で記述されえいる秋本先生の仕事スタイルは、基本的にものすごく「ちゃんとしている」。締め切りギリギリでバタバタしないように何本もストックしておく、休みを取れるようにスケジュール管理する、絶対に遅刻はしない。

つまり、秋本先生は超真面目だ。40年間休まず週刊連載を続けられたのは、真面目に安定して良いものを生み出すクリエイティブプロセスをつくったからだし、とにかく「正しい」。よく言われることだが、そういう正しいやり方を、当然のことを40年もやり続けるのが本当に大変なことで、人間は正しいことを続けることはそうそうできないのだ。

日本の教育というのはアレな部分もあるが、小学校・中学校・高校と真面目に勉強して、しっかりカリキュラムに沿って学習していき、「学習するクセ」をしっかり身につけて、社会人になっても同じように学習して成長することができれば、たぶん食うに困ることはないはずで、むしろ何者かにはなれるんじゃあいかと思う。

世の中の大半の人は、愚直に何かをやることができないし、極端な言い方だが、世の中の人たちのほとんどはかなり「不真面目」だ。だから、真面目にやり続けるというのは、非常に盤石な勝ちパターンであるよ、という単純な事実をこの本は描写しているように思う。

ただ私なんかもそうだが、不真面目になりたいんだけどなれない、という怨念はわりとあって、たとえば古今亭志ん生的な、放蕩を重ねることで突き抜けた芸を得るような人たちというのは世の中に確実に存在していて、世の中で一流とされる人たちの中には、ある種メチャクチャなやり方を重ねて周囲を振り回してはばからないスタイルでやっている人たちもいる。

「打ち合わせに遅刻してきて、悪びれずに現場をかき回すようなことを言う人」みたいな人はいて、時にそういう人の方が「クリエイター」として目立っていたりすることがある。そういう状態を前にして、そういうことができない真面目な人たちは奥歯を噛み締めて怨念を蓄積したりする。本当はそういうものに憧れてしまう部分もあるが、どうしても同じようにはできない。真面目に努力して戦うしかない。

秋本先生は、「こち亀」を積んで積んで積み上げるそばで、いろんな作品が爆発的にヒットして消えて、というのを横目に見続けてきて、しかし真面目に積み上げ続けて、他の人が到達できないとんでもない実績をつくった。それは常に、刹那的なものづくりに対するカウンターだったのかもしれないし、掛け算で高速で飛び抜けていく他者に対して、愚直に足し算し続けるという戦いだったのではないか。

みんなにも読んでほしいですか?

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