1204「近所の角で銃声が聞こえたよ!」

子どもたちが全員ウィルス系の体調不良っぽかったのと、ジョンもデボラもオフィスに来ないらしいので自宅でずっと作業した。連絡とか見積もりとか説明とかそういう系の仕事が多くて、ストレスレベルが上がる。わかってはいることだが、なかなか手を動かせない。

夕方、次男が私が構ってくれないということで怒り出したので、アパートに「一応」ついているスポーツジムの部屋に連れて行ってバランスボールで遊ぼうと思ったら、ジムが完全にリニューアルされていて、最新の機械が入っていた。入居してからずっと、壊れて動かない機材だけが放置された誰も使わない部屋になっていたので、これは素晴らしい。この日記を書いて有料にしようと思っていた理由って、近所のジムに行くお金が欲しいというのが1つあったので、なんか急に解決してしまった。

昨日の日記で言及したアンバーアラート(アメリカで、子供が誘拐された場合に発令される警報)は、無事子供が保護されたらしい。通常、アンバーアラートの後どうなったかなどは、プッシュ通知されないのだが、私は「Citizen」というアプリを利用していて、このアプリがそのへんの情報をプッシュしてくるので、知ることができた。

「Citizen」は、日本では提供されていないので全く馴染みがないと思うが、便利というかなんというか、結構生活の中に入り込んできているアプリだ。少なくとも私はこのアプリを開かない日はない。周囲でも、かなりの数のニューヨーク民が使っている。アメリカでもかなり物議を醸しているアプリなので、日本でこれを運用できるのかどうかは怪しい。

簡単に言うと、「野次馬アプリ」だ。アメリカでは、警察への通報は110番ではなく、911番なのだが、この911の通報や警察無線から情報を取得して、「どこそこで車が衝突して事故があった」とか「どこそこで銃声が聞こえた」みたいな事件の情報がリアルタイムで配信される。自分のいる場所の近くで何かが発生した場合は、それがプッシュ通知される。

内容は様々で、「xxストリートとyyアベニューの角で殴り合いが発生」とか「xx公園で老人が行方不明」とか、いろいろある。で、すごいのが、このアプリは、近くで事件があった場合、その場所に行って実況中継ができるのだ。
近所で殴り合いが発生したら、「見に行こう!」なんて言って、アプリからライブ中継を行える。まさに野次馬だ。下の写真では「地下であらいぐまを発見!」がトップニュースになっている。

ユーザーも多いので、爆発とか、大きな事件だと、複数の実況カメラが立つ。事件ごとにコメントを入れることもできる。

「周りが安全であることを確認して中継してね!」という注意書きは出るが、みんな結構ガンガン中継する。

そしてこれ、実際に中継すると、不謹慎だが、気持ちいいのだ。私が数ヶ月前、夏に遭遇したのは「あなたがいる数10m先で、犬が車に閉じ込められている!」というプッシュ通知で、気になったので現場に向かった。
すぐに警察が来て、車の窓をこじ開けて犬を救出したのだが、私はその一部始終を中継した。

しばらく中継していると、恐らく人力でオペレーションされている事務局側が「注目の中継」みたいな感じですぐに取り上げてくれて、わっしゃーと同時視聴者数が増える。すぐに3000人とかになって、ガーッとコメントがつく。

「このかわいそうな犬の飼い主が車に閉じ込められて死ねばいいのよ!」とか「このアホ警察! 早くこのワンちゃんに水をあげなさいよ!」みたいな野次馬たちのコメントがわっしゃーとつく。
なんというか、一瞬にしてニューヨーク中の注目を浴びるようなカタルシスがある。

このへんは趣味悪い部分もあるのだが、実際問題、近所で起こっている危険な出来事からリアルタイムで身を守ることはできるので、かなり便利だ。安全になったとはいえそこはニューヨークであるから、「近所の角で銃声が聞こえたよ!」とか、たまにあるのだ。そういう場所を避けて歩けるのは、助かる。

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