見出し画像

0801「成仏できない私たちの街」

忙しいし暑いし、週末なのに作業たまってるしで、なかなかごつい。何でこの国に来ると何もかもがぱつんぱつんになるのか。この、いる人全てを多忙化してしまう日本という国の謎のエネルギーは、もはや才能ともいえる気がする。実際、効率良くやっていかないと丁寧に対応できないので、無駄な会議というものはほとんど回避できている気がするが、この国でなんやかんややっていると、いつのまにか夜になっている。

普段住んでいるニューヨークだって、そういう意味では相当にバタバタした場所なはずだが、本当に時間の流れが違う。科学的に、地球の磁気とかそういうので体感時間と運動効率が違ってしまっているのではないか。

そんなだから、筋トレをまともにできていないというか、まあまあサボっているので、血流も悪い感じがする。昔と違うのは、そこそこ大胸筋とかを鍛えていたので、ほとんどできなかった腕立て伏せをできるようになった。

仕事が終わらないので、道玄坂上の居候オフィスを出るのが遅くなる。駅に向かって道玄坂を下りていくのは、以前、神泉に勤めていたときと同じルートだ。

ここ数週間日本にいて、夜の道玄坂を歩いて気づいたことがある。

明らかに、治安が悪くなっている。治安というか、そこにいる人たちのガラが悪くなっている。

ああいう場所だから、もともと大声を出している人たちは沢山いたが、昔は勝手に大声を出しているだけだった。しかし、今の夜の渋谷民は、こっちを見て大声を出す。人に絡もうとしている感じがちょっとあって怖い。

いわゆる風俗なのかキャバクラなのかわからないけど、そういうやつの客引きがすごいしつこい。昔は振り払ってもついてこなかったが、今は、ヘタしたら10m以上ついてくる。相当しつこくなっている。

しかも、そういう客引きの女性の格好が明らかにエロくなっているというか、露出が多くなっている。というかたぶん、日本人女性が増えている。昔は中国の女性が多かった。

で、総合的に、なんか、深夜にニューヨークのコリアンタウンらへんを歩いているときのような緊張感が生まれていて、要するに雰囲気が怖い。池袋北口みたいになっている。誤解の無いように言うと、池袋北口は、東京の中でも好きな場所の1つだ。あのへんの立ち飲み屋で飲む酒はうまいとしか言いようがない。しかし、池袋北口というのは、まあ、子供向けの場所ではない。

統計的に犯罪とかが増えているのかどうかは知らないが、よく考えたら、渋谷をホームグラウンドにしていた20年前の若者というか、渋谷系くずれでピチカートファイブとかを好んで聴いていた私たちは、もはや完全におじさんであり、渋谷の外でいろいろな経験をして、池袋北口も新橋も川崎も経験して、しかし、安藤忠雄とかあのへんの人たちによって悪い冗談のような、ダメなUIの見本のような無限迷路になってしまった渋谷駅構内をウロウロした末に、道玄坂に戻ってきて、渋谷を汚染しているのではないか。つまりいまの渋谷をつくりだしているのは、成仏できない渋谷系の若者がバブル後の社会を20年間泳いでヘロヘロになってしまったキメラである私たち自身なのではないか。渋谷駅構内の芸術的なウンザリ感は、私たちの20年の迷走そのものなのではないか。その先にあるのが、今の池袋北口みたいな道玄坂なのではないか。

などと適当に書いてみたが、たぶんそんなことはなくて、単純に日本の治安というか日本国民のガラが悪くなっているだけのような気がする。あと、やはり、イライラしている人は多くなっているように思える。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!