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0918「移住Ⅰ」

私はニューヨークに住んで働いている。もう6年だ。というか実は明日で丸6年だ。移住したのが忘れもしない9/19。夏も終わり涼しくなってきた頃だった。さすがに日付的にほぼ同じなので、このニューヨークの短い秋っぽい空気を嗅ぐと思い出す。実際、今朝子供の学校の送迎をやっていて、「あ、これはちょうどここに来たときの空気だな」と思って日付を確認したら、移住記念日の1日前だった。今日は移住記念日晦日だ。なので、ここから数日は、ニューヨークに移住する過程と移住してからの日々を振り返ってみる。記憶も褪せていく気がするから、記録に残しておくと良いかもしれない。続き物だ。

この移住記念日というのはさすがに自分にとって大きな意味を持っている。バックパックとスーツケースを持って、何もないところからここでの生活を始めた。東京でできなかったことをやりに来た、という意義もあったし、いろんなものをリセットする意味もあった。

住む予定の部屋は、夏に一度家族(といっても当時は妻と長男だけだったが)でニューヨークにやってきて街の下見がてら決めていた。今考えると滞在中の3日か4日かで部屋を決めるとか、めちゃくちゃ無謀だったのだが(この街で条件の良い部屋を見つけるのはそんなに簡単なことではないので)、滞在ギリギリでUpper West Sideの古くて窓がでかくて角部屋の悪くない部屋を見つけて、ユダヤ人の超怖い大家さんにその日のうちに面接して、その上で家賃も値切ったりして、移住前から賃貸をしていた。

その滞在中は、当時準備期間にあった会社、PARTY NEW YORK(法人はあった)で借りていたEast Villageというかアルファベットシティの古くて小さくて安い部屋に宿泊した。この部屋はかなり空気が悪くて、暑くて、精神をやられるタイプの部屋ではあった。

アルファベットシティのあたりは、ニューヨークの中でもそんなに雰囲気が良いところではないというか、雑多でいい加減なニューヨークの一側面が投影された地区ではあると思うので、家族で住むことを考えるとなかなかしんどいなあというところで、そこを拠点にしていたものだから妻や長男のニューヨークへの評価は下がっていくばかりだった。

そんな滞在だったので、部屋を探す過程でUpper West Sideを訪れたときは、「なんて雰囲気が良くて気持ち良い街なのだ」と思ったものだ。わりと高級住宅街ではあるし、川沿いの公園とセントラルパークに挟まれていて自然も多い。「このへんだったら家族で住めるな」と思った。長男を行かせる予定だったニュージャージーの日本人学校のスクールバスも、この地域までなら来てくれるようだった。この段階で、長男は小学1年生、私の母校の世田谷の公立小学校に1学期だけ通ったところだった。入って1学期で転校する、ということになる。

ニューヨークの部屋探しサイトというのはいくつかあるが、当時熱かったのはNaked Apartmentだ。このサイトを使って部屋を探した。今だったら断然Street Easyだが、当時はあんまりメジャーじゃなかった。

https://www.nakedapartments.com/

ところが、当時は知らなかったがニューヨークの物件ブローカー(不動産屋)というのは、結構当たり外れがひどくて、どうしようもない人は本当にどうしようもなかったりする。セコくてズルい。どういうことをするのかというと、物件サイトに「釣り物件」を載せるのだ。すごく条件が良くて安い物件を掲載して、内見を申し込むと「あーその部屋はもう空いてないんだよ」なんていって別の条件が違う部屋を紹介されて無駄な時間を使わされる。このパターンはやたら多い。そうやって彼らは「部屋を探している人」をとりあえず捕まえたりするのだ。

3〜4日の短い間だったが前半にそういう系に引っかかってタイムロスをした。最終的にNaked Apartmentから問い合わせしたりするのは諦めて、物件サービスではなくてローカルの不動産屋の物件を当たることにした。

で、最後の最後で見つけたのが前述の部屋だ。いわゆるブロードウェイから一本入ったWest Endというそこそこ大きな通り沿い。車の音はうるさいが、日は当たりそうな部屋だった。ギリギリのところでそこに決めて、前述の通り面接をして、借りれることになった(今ではそんな高速で部屋が決まるなんて考えられない)。

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大家のおじいちゃんの圧がすごかった(後で判明するが、実はこの人はこの地域の「悪徳大家」として有名な人だった)。申し込みのとき、不動産屋のオフィスに行ったが、不動産屋の社長が社員というか担当者に対してめっちゃパワハラしてた。

ニューヨーク怖すぎる。そして部屋を決めると、そそくさと日本に帰り、移住するという実感もあまりないまま2ヶ月あまり、最後の東京の日々を過ごすことになった。

つづく。

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qanta

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