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0329「メディアの高齢化」

ずっとやっているニューヨークの新しい美術館用のサイネージの仕事用のハードウェアが組み上がったということで、朝から、子供を学校に送って、車借りてニュージャージーの倉庫に向かう。私の方の機材を乗せるために自宅前に車を駐めて荷物を取りに行ったら、駐めていた車がレッカー移動されかかっていて、必死に弁解して止めてもらったが、罰金を$60も取られた。そしてなんかすごい怒られた。まじでつらい。

倉庫に行って、ディスプレイのリフレッシュレートの件でひとしきりもめるという、いつもの儀式を終えて、初めて本番用のでかい4Kディスプレイに映してみたが、ものすごくでかくて感動した。設営ものはこういう瞬間が一番いい。6月には美術館がオープンするが、ニューヨークの美術館に自分のつくった何かが常設される(もちろん作品としてではないけど)というのは、なかなか嬉しいことだし、がんばろうと思った。あと、ofFbo最強だ。

昨日、「合理的な金科玉条なんて簡単に思いつくぜ。明日書いてやるぜ」みたいなことを書いたが、じゃあ書くかと思っていろいろ考えていたら体調が悪くなってきたのでやめた。

やりたいことがない人は、とにかくやればいい。やってみれば、やりたいことはついてくる。

とか、

実力っていうのは、身体で覚えて初めて実力だ。本を読んだだけじゃ実力になっていない。

とか。昔2ちゃんとかで、「当たり前の事を名言っぽく言う」というのが流行っててすごく好きだった。こういう系の合理的な金科玉条って、合理的なだけにすごく「当たり前の事を名言っぽく言う」とほとんど変わらないような気がする。

人は風呂に入ると、体があたたまる生き物なのだ。

とか。

人間は2種類しかいない。男と女だ。

とか。昨日の繰り返しになるが、昨今の正しさで人をボコボコにする世界では、ほとんどこういうレベルの当たり前のことがありがたく装飾されて店頭に平積みされている状態なので、もしかしたらもう人間の考えることとかって枯渇してきちゃってるのかなとか思う。

日本人だし、タイムラインはわりとそういうタイムラインなので、日本のワイドショーで電気グルーヴを流したDOMMUNEを陰謀論でどうのこうのとか、そういうのが目に入ってくるが、ああいうのはまあそういうことでもあって、しかしある種どっちもどっちで、しかし何らかの正しさを盾にした殴り合いなんだろうと思うし、真の勝ち組は私で、アメリカに住んでいるので子供に民放のワイドショーを見せなくても済むのだ。

これは本当に重要なことだと思っている。民放のワイドショーなりそういう番組というものから得られる学びというのはあって、意外にそういう番組でも面白い特集をやっていることがあって、ためになるかもしれない。が、伝え方は総じて下品ではあるし、良い情報に触れる、好奇心を広げるという意味では、全然ヒカキンの方がクオリティが高い。ヒカキンの影響で親子でアルミ玉をトンカチで叩いたりするけど、そういう無駄なのも含めて、あのへんのYouTuberのコンテンツって、本当に素晴らしいと思う。で、民放のワイドショーは、DOMMUNEの件も含めて、自分と関係ない何かが来たらとりあえず殴る、という、アメリカに住んでいるとそこそこ差別とかへのつながりを想起させる表現が出てきてしまう。

あんなもんしょっちゅう見せられていたら普通に人に丁寧に接することができない嫌な人になってしまう可能性があるので、これは残念ながら、子供に民放を見せなくて済む、というだけでわりと国外に移住する十分な理由になるよなあと本気で思う。自分自身は、たまに日本に帰ったときにサウナでチラ見するくらいでいい。

昨日は、そういう正しさの圧力がみんなを「魂の高齢化」に進ませてしまうというようなことを書いたが、日本の民放のワイドショーなりを制作している世代って、たぶんもう40代とか、自分たちと近い年代で、もともとはそういうことに対する問題意識があってもおかしくない人たちがつくっているのではなかろうかと思うけど、結局高齢化社会の中で、高齢者向けの気持ちよさを追求して番組をつくっているうちに自分たちの脳も高齢化してしまっているのだろうなと思う。

そしてメディアの高齢化は、メディアであるがゆえに、高齢者以外も高齢化させてしまう。日本が他の国以上に危なっかしいのは、このへんがでかいのではないだろうか。

ただ、幼児虐待のニュースとかにロリ声の声優の声で日記とか読ませてお涙を頂戴しようとするようなプロデューサーなりディレクターなりは、高齢化を超えてどう考えても危険なので、早めに蒸発して欲しい。

重ねてではあるが、それがOKな世界に子供を置かずに済むのは家族で移住する大きなメリットだ。アメリカも細い目で見れば問題だらけだが、少なくとも、学校の生徒が差別的な発言をちょっとでもしたら、全校メールに重い警告が出るような環境ではあるし、いろんな意見を持ったいろんな人がいるところで育つことができるのは大きいと思う。

と、ここ数ヶ月のいろいろでアメリカという国の理不尽モードには辟易していたが、ひさびさに移住してて良かった、と思った。

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