フィギュアスケートの魅力はコレオシークエンスにあり
フィギュアスケート(シングル)のプログラム、SPとFPは、ジャンプ・スピン・ステップ・コレオシークエンス(FSのみ)のエレメンツで構成される。
昨今、ロシアっ娘や男子選手の4回転ジャンプやトリプルアクセルなど難易度の高いジャンプが注目を集めることが多い。しかし、私の忘れられないプログラムは、ステップやコレオシークエンスが印象的なものばかりだ。
特にコレオシークエンスは、自由度が高く、選手の個性やプログラムの世界観を他のエレメンツよりも表現することができるのだ。なのに、基礎点は3.0点でGOEが満点でも最大5.5点、ほぼ、トリプルフリップの基礎点分だ。低すぎないか?
高橋大輔➡『白鳥の湖~ヒップホップバージョン』『道』『ブエノスアイレ
スの冬』『エルマンボ・マンボNo.5』
浅田真央➡『仮面舞踏会』『鐘』『愛の夢』
鈴木明子➡『ウエストサイドストーリー』『キル・ビル』
坂本花織➡『マトリックス』
これらは、ステップやコレオシークエンスが印象的な、何度も見返したくなるプログラムだ。他にもたくさんあるけれど。
そして、宮原知子。彼女は、すべての演技がまるでコレオシークエンス精神でできているような選手だと思う。町田樹氏がかつて言っていた「フィギュアスケートは総合芸術だ。」
まさしく、それを体現する稀有な選手である。わがままを言わせてもらうなら、来年も再来年も彼女の滑りを見続けたい。
2021期は断トツ、友野一希の『ラ・ラ・ランド』のコレオシークエンスが素晴らしい。今期の彼の活躍を伝えるスポーツ記事では、最後のコレオシークエンスについて、必ずと言ってよいくらい触れられている。
ビールのCMの曲に変わる瞬間「来る来る……来たー。」ウキウキとワクワクが爆発する。ぐいぐいと伸びていく一歩一歩、爆走しながら生き生きとした笑顔でステップを踏んでいき、最後にバンッと天井に向かって手を広げる。何とも言えない爽快感を感じさせてくれる。
一時は、ミーシャ・ジーの謎プログラムに翻弄されているのではと心配するファンもいたのだが、オリンピック出場のかかる今期に、SPとFPに友野一希の魅力が存分に感じられるこんなプログラムを作るミーシャ・ジー、最高じゃん。多分、四大陸選手権がこのプログラムの見納めになるのだろう。来期のプログラムも楽しみでならない。
今後も、競技を続けてくれるそうで、友野一希よ、ありがとう。
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