ニューロンはバグるのか(傾向と対策)3. はじめてのMRI

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一般的にこの慣用句が用いられる時に使われる尺度で考えるとするならば「無事に年を越した」ということになるのでしょうが、自分のそれで考えるならば全く無事ではない年末年始をどうにか乗り切り、病院のお正月休みが終わった直後に再び駆け込みました。
薬も合わず、正直かなり辛いという旨を先生に説明したところ、
「うーん、ないとは思うけど、念のため頭のMRI撮ってみる?」
「えっ、MRI、ですか?」
「ちょうど今日の午後に空きがあるけど。おねえさん午後から仕事?」
「いえ、今日はお休みです」
「それだけのためにまた来るのも面倒だろうし、せっかくだから撮っていけば?」
「そうですね、お願いします」
「じゃあ受付の人から説明があるから、それ聞いてから受けに行ってね」
とんとん拍子に話が進み、頭部のMRI撮影をすることになりました。

診察室を出るとすぐに受付のお姉さんに声をかけられたので、その場でMRIの注意事項を確認し同意書にサインをしました。あとは時間通りに所定の場所に行くだけです。
「……あの、MRIってお幾らくらいかかるんでしょうか?」
「健康保険は入っていらっしゃいますか?」
「はい、3割負担です」
「でしたら頭部だけですと6〜7千円くらいだと思います」
3割負担で6,000円だとして、無保険10割負担だと20,000円。こういう時には健康保険の大切さが身に沁みます。

頭部MRI撮影。つまり脳味噌とかそのあたりにあってはいけないものがないかどうかを調べる検査。
まだそうと決まったわけではないのに、まだ撮ってすらいないのに、「そうかー、そっちかー……」とか「入院特約付きの生命保険に入っていてよかった」とか思ってしまったりしていました。たしかに心構えも大切ではありますが。

ところで、MRIは一部のミュージシャンの皆様から非常に評価が高い検査でもあります。その騒音がノイズミュージックのように感じられるとのこと。私もそういった音楽は好きなので、いつかMRIを受けてみたいという思いはありましたが、まさかこのタイミングで受けられるとは思いませんでした。

時間が来たので、不安半分期待半分の気分のまま、検査室に向かいました。
まず係員さんともう一度注意事項の確認をします。MRIは磁力を使うのでアクセサリーなどの金属類は全部外す、体に金属が埋め込まれてると受けられない、タトゥーがある人も受けられない(金属成分が入っていると火傷するそうです)、などなど。
それらがオールクリアになったら検査着に着替えて検査室内に入ります。
使い捨ての耳栓を渡されるので装着します。
MRIマシン内にスライドする寝台に頭置き場があるので、そこに位置を合わせて仰向けに寝ます。
すると係員さんが耳の横に遮音用のスポンジ的なものを詰めてくれます。
そして寝た体勢のままマシンに吸い込まれて検査スタート。

感想と致しましては、最高のノイズミュージック体験でした。ビー、ガガガガガ、ビービー。たしかにやかましいですが、それがまた良いのです。景色はよろしくないので、終始目を閉じたまま受けるのをおすすめします。
そして不思議なことに肌に磁力が当たっている感覚があります。今はここをこういう感じで輪切りにして撮っているんだな、というのがわかります。現代の医学は本当にすごいですね。

夢のような数十分間を過ごしていましたが、撮り終わってしまい強制射出され、はじめてのMRI体験は終了しました。
また受けたいですが、しかしMRIを受けるということは何らかの病気の疑いがあるということで、それは避けたいけどでもまた受けたい、という複雑な気分になりながら帰路に着いたのでした。結果は一週間後とのこと。
のんびり待……てればよかったのですが、そういうわけにもいきませんでした。

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