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ペンキン

水で薄まる
と 説明書に書いてあった
魂は薄まるのかなとすこし心配になったけど
それについては 書いてあらなかった

きみの命を削りながら、それだけでは足りないと
わかっていながら
わたしはきみを 水で薄めつづけた

最後のひと刷毛が その巨大な無機物の腹をさすったとき
沈黙が悲鳴をあげた

なにもかもがどうでもよくなる青空に
虹がかかった 虹はほんとうに あらゆる場所でみかける
ような虹
で 虹のつくりかたを知っているきみとしては

きっと鼻白んだことだろ う
深さとは 無知の弁護にすぎない

それでもきみは潜る 
言葉に追いつかれる前に 底へ ひたすら底へ

無口な鉱物たちが 言葉少なに輝く楽園にむけて
こんな速度と角度で突き進めば きっと 親しげなワルツ
が……

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