見出し画像

暖色の光には寒色の影を...って本当か?

はじめに

色の勉強をしています。安川です。
塗りが上手くなりたいな〜と思い、CLIP STUDIO TIPSのリアルな肖像画をいう記事を読んでいたところこんな文言をみつけました。

一般的に、被写体が冷たい光源で照らされている場合、影は暖かい温度になります。逆もまた真であるため、光が暖かければ、影は通常より冷たくなります。

へ〜、そうなんだと思いつつ。いやおかしくないか?と。影は光が遮断されるからできるはず...。なぜ冷たい光源のときに暖かい色味の影になるんだ?それも逆もあり得るらしい、なぜだ?

あるあるなセオリーなのか調べてみる

色々調べていたら、光と影は補色関係にあたるという記事もでてきました。「デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則」という本ではGiles Beloeil『光源が暖色系の場合は影を寒色系に。光源が寒色系の場合は影を暖色系にする。』とも語っているらしいです。(実際に本を持っていなかったので確かめてはいないですが....)

他にも印象派は光と影を補色対比として使っていたという情報を踏まえた論文もみつけました。この論文では予備実験に影が色光の補色になるのかも試しており、実際にそれを確認しているところからすると、ただ絵にまとまりを持たせるためのセオリーでもなさそう。

そもそも光とは何か?色とは何か?影とは何か?

この疑問を解決するにはそもそも光、色、影の理論を知らなければならなさそうです。

画像3

結論からいうと「光」は波です。電磁波の一種です。そして、私たちが見ている「色」は反射された光の一部です。例えばりんごをみているとき、私たちの目には赤に写ります。これは赤以外の光をりんごが吸収し、赤の光を反射してその光が目に届くため赤色に見えます。暗い部屋でりんごの色が見えないのはそもそも光がないため光の反射が起こらないことが原因と考えられます。

じゃあ「影」はどうしてできるのか?光が遮られると考えれば当たり前じゃんってなってしまうのですが。先ほどの話を元に考えると、物体によって光が遮られることで、光の反射が起こらない。目に色の光が届かない、その結果暗くみえて、私たちが影と呼ぶものができると考えられます。

影が光と逆の色味になるのはやっぱりおかしくない?

で、ここからが本題なのですが、影が光が遮断された結果できていると考えると、光と逆の色味が影に入ってくるのはおかしいのでは?と改めて思います。光が遮断されていることを踏まえると、その色味を出しているのは別の光源...?

で、根気強く英語でも調べていた結果たどり着いたのがこの動画。

この動画から分かったことは、暖色の光に寒色の影ができるは間違いであるということ。その逆もしかり。ただ環境光がある場合はこれが発生することもある。つまり色光の補色の影が落ちる。

画像1

動画内で赤のライティングに対して緑の影が落ちている様子。(動画よりスクリーンショット)

なぜかは動画で明かされていませんでしたが、コメント欄やこちらの記事もみる限り、物体によって光源が遮断され、影の部分にあたるのは環境光のみになるため、その色味が出る。その色が補色になる理由はちゃんとわかりませんが、全体が光源の色味になっている中、色相対比の効果で影が補色に見えるのではと思っています。

色相対比
隣接した色同士が影響を与え、本来の色相に、背景の補色の色が混色されたように見える現象。

UX DAYS TOKYO 色彩対比 より

画像2

UX DAYS TOKYO 色彩対比 より

結論

色々調べた結果、光源と逆の色味が影になるのは環境光の有無で変わる。という結論が正しいのではないかと思います。

影に逆の色味(補色)が入る理由は色相対比なのかなと考えています。他の原因があるなら知りたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?