中国動画市場を牽引しているのは総合動画サイト、その中でも三大巨頭が「爱奇艺(iqiyi)」「优酷(youku)」「腾讯视频（Tencent Video）」

どれもが5,6億級のMAUユーザーを持つ巨大サービス。下記の表のとおり、三大巨頭の背後にはBATがそれぞれについている。

iResearchのAPPランキングを見ても、この三大巨頭は全APPランキングにおいても上位にあり、全部トップ10入りをしている。そのうち、「iqiyi」と「tencent video」はWechatとQQに続いてもっとも利用されているAPPとなっている。

■「爱奇艺(iqiyi)」でみる総合動画サービスの構造

・総合動画サイト展開端末
　中国ではマルチパネルが数年前から進み始め、総合動画サイトは基本PC、pad、スマホ、OTTの4端末でサービスを展開している。

・ユーザープロフィール
　APPで見ると、MAUは6億前後のiqiyi、女性ユーザーが6割近くの57.16%、さらに年齢的にも20代に集中している。

・徐々にサブスクリプション型モデルに変換する中国総合動画サイト
実際トップ画面↓を見ると、美男美女が出演する少女マンガ風のドラマが多く並べられていて、若い女性ユーザーが好きそうなコンテンツが沢山あり、最近とくに女性中心に話題となっている「延禧攻略」も「iqiyi」の独自放送コンテンツである。

さらに各コンテンツの右上にVIPマークが多く見られるが、これまで、中国の動画サイトは全部無料だった、しかし、ここ1,2年で著作権問題も重視されるようになり、各動画プラットフォームも世界中からIPを購入し、サービス構造もサブスクリプション型に転換している。

iqiyi価格で見ると、VIPユーザーになるには最初の3ヶ月はサービス価格の6元/月（100円前後）、年間178元（3000円弱）。

VIP会員になれば、いろんな特典が受けら、広告スキップとコンテンツが今までどおりに無料で見れることが目玉。

　ただ、ここ1,2年ではコンテンツ出演者がショートコント形式でドラマの一部に見せかけて、いわゆるスポンサーCMタイムに商品宣伝をするので、実際広告が全部ないのは不可能。
　最近ホットなドラマ「延禧攻略」を例でいうと、下記のとおり「延禧攻略小劇場」と名乗ったCMタイムがある、これが割りと視聴者にうけている。なぜなら、中国では昔から純広告があまり好まれなく、最近ではこういうドラマ出演者によるショートコント的なcmが、オンライン動画サイトのスポンサー広告枠の売りとして定着し始めている。

一方で、海外からも加入可能だが、価格が違う。

実際著作権問題があるので、多くのコンテンツは中国国内では見れるが、海外ではほぼ見れないので、この課金形式はちょっと謎。↓（VPNを使えば見れるのだが、通常では見れない。）

・総合動画サイトにもSNS機能＆短尺動画機能
　ユーザーにもっと来てもらうために、iqiyiはユーザーをサービス内のSNSでロイヤリティを高める戦略をとった。実際、いままでの人気コンテンツは、見て終わりではなく、ユーザーによる二次創作、ユーザー同士のコンテンツへの共感や出演者への応援など、ソーシャル要素がコンテンツを盛り上げるキーなのである。動画サイトのSNS機能は、ユーザーに新たなトレンドを作らせやすい環境を提供しているのだ。

　一方で、最近流行りの短尺動画もいち早く取り入れ、ユーザーの離脱を防いでいる。
　APPを開くと一番下に５つのタブが並んでいる。「推荐」（トップページ）、「热点」（短尺動画）、「会员」（VIP会員用コンテンツ）、「我的」（プロフィール）「泡泡」（自社SNS）

・ほかの2社ピックアップべきポイント
　実際、ほかの２社「Tencent Video」と「Youku」もほぼ「iqiyi」と同じ展開をしているが、それぞれの特徴も持っている。

　「Tencent Video」のピックアップポイント
　　テンセント社というバックグランドを持っているので、Wechatオフィシャルアカウント（公众号）記事内の動画は「tencent video」からのみ、さらに記事内動画専用のプレロール広告まで出稿できる。

「Youku」のピックアップポイント
　Alibabaグループの1員であるため、AlipayやTaobaoからの誘導がしばしあり、さらにポイントで会員資格交換もできてしまう。

つづく