秘密基地作りとコミュニケーション



世の中のお父さんとお母さんは本当にすごい。

たとえば、教室に来たら元気に挨拶をしてくれることも、自分の持ち物を自分のカバンに入れることも、きちんと椅子に座っていられることも。

おとなになれば当たり前のことだけれど、あらゆることが、お父さんお母さんの教育の賜物だと思う。




先日、親子向けワークショップ「自分たちだけの秘密基地作り」を開いた。

インディアンの伝統的な移動式住居「ティピー」を親子で作るもので、年中〜小学1年生の子どもとその保護者が参加してくれた。

こんな感じ。


このイベントの始まりは、「秘密基地って響きがワクワクする!楽しそう!!」という単純明快なもの。作り方も簡単。

柱を組み立て、

テント布に好きな絵を描く。

そして柱に布をかぶせ、飾りをつける。


実際にやってみると、やっぱりとてもおもしろかった(テント布に絵を描く前に布でかくれんぼ遊びをして、むしろ作る工程よりも盛り上がったのは予想外だったけれど)。




さてこのワークショップ、それぞれの親子のコミュニケーションにちがいが見られた。とても興味深かったので、今回はそれを紹介したい。


パターンA:保護者がリーダータイプ

子どもたちのアイデアを中心に相談し、方針が決まったら保護者がサクサク役割を分担して進めていく。あまり意識していないように見えたが、きちんと各々の作業進捗も見て、保護者が子どもを手伝ったりさらに分担したり。


パターンB:子どもが中心タイプ

保護者は子どもにどんなことがしたいか聞き、子どもがその作業をしているときは子どもが気にしないように、子どもの目線に入らないところで黙々と裏方作業。子どもが戸惑っていたら一声かけて、子どもだけでできそうと判断したらまた裏方作業に。


パターンC:まるで友達タイプ

親子で何かをするとき、基本的に保護者は子どもの希望を優先しがちなのではないだろうか。しかしこちらの親子はそうではなく、保護者も自分のやりたいことをそのまま伝え、合意形成を目指していた。合意形成が難しい場合は、各々したいことを別々で行うスタイル。



どの親子もコミュニケーションの取り方が素敵だと感じた。

ABC全てに共通して言えるのは、保護者が子どもとコミュニケーションを取って、子どものやりたいことを引き出してくれていたこと。そしてそれを一緒に形にしようとしてくれていたこと。

「子育てに正解はない。」という言葉をよく耳にするが、それはこういうことなのだなと実感した。

子どもか楽しそうにしているのをそばで見ている、お父さんやお母さんの表情がとても印象的だった。




以前、小学1年生の子どもを持つ知人と話す機会があり、

「小学校に上がったら生活リズムも変わるだろうし、大変になった?」と聞いてみた。すると、

「うーん、大変は大変だけど、言葉が通じるようになったからね。小さい頃に比べると全然大変じゃないよ。」と返ってきた。

なるほど、と思った。コミュニケーションを取るのはおとなですらうまくいかないときがあるのに、その手段である「言葉」が使えるようになる前は、お互いにもどかしい思いをするのだろうなと。

子どもはおとなと比べて、コミュニケーションを取る経験が浅い。だから、言葉という道具が使えるようになってもなお、伝えたいことがあるのにうまく伝えられなくて黙ってしまったり、怒ったり、泣き出してしまったりする。

それでもお父さんやお母さんは子の幸せを願い、ずっと根気強く向き合い続け、やりたいことを引き出し、一緒に形にしようとしてくれる。



本当に世の中のお父さんお母さんはすごい。






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