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「私たちに、何ができるか」#Black Lives Matter

こんにちは、くぅです。

(表示がおかしいですが、私のTwitterです。)

昨月5月25日に発生したミネソタ州での事件以降、日に日に注目を浴びていく黒人差別問題。

一週間以上が経った現在、多くの人が強い関心を寄せていますね。
一方、そういった個々人のSNS上での発信に、同調圧力のような強い違和感を感じている人も出てきているようです。
まあ急にインスタが真っ黒の投稿で埋め尽くされたら、びっくりする人がいて当たり前だと思います。

ただ一方で、今回の騒動の内容を知らないまま終わってしまうのは、かなり勿体ないとも感じます。
これだけ世界中で大きなムーブメントが起きているからには、同調圧力だけではない、何か大きい理由があるのは間違いありません。
そんな中で、海外から1年間発信活動を続けてきた私に出来ることは、やはり発信しか無いと、このnoteを執筆することにしました。

前半は客観的な事実や背景、後半は主観的な意見ですので、忙しい人もうまく掻い摘んで読んでいただければ幸いです。
それでは、お付き合いください。

○事件の流れ

・2020年5月25日
アメリカ・ミネソタ州で、騒動の発端となる首絞め事件勃発。
紙幣の偽造が多発していた地域で黒人男性(ジョージ・フロイド氏)が容疑をかけられる。
酒または薬物使用下にあった彼を白人警察官は路上で地面に首絞め拘束、「息ができない」と訴え、周囲の人間も彼を解放するよう訴えたが、病院到着直後に死亡した。死因は窒息死だった。
後にこの白人警察官は逮捕、起訴されるが、黙認していた他の3人の警察官は免職のみ。

(かなり衝撃的な画像です。苦手な方、すみません。)

ジョージフロイド

・翌日26日以降
抗議活動が暴徒化、パトカーを破壊したり(NYの動画がTwitterで拡散されています)、宝石店を襲い黒人の低所得者に分配するなど過激に。

パトカー破壊

・28日深夜
トランプ大統領はデモ隊を非難し、「暴動デモには銃撃する」とツイート

・翌日29日
この件を取材していたCNNの黒人レポーター3人が逮捕されたが、同行していた白人レポーターは警察官の接触を受けたものの逮捕されず。これにはミネソタ州知事も謝罪。

以降、アメリカ全土のみならず、私が滞在していたカナダ・トロントなど全世界にも抗議活動が広まった。

更にNike、Netflixを始め、多くの個人・団体がSNSで#Blacklivesmatter とともに抗議。現在(6月4日)に至る。


○これまでの歴史

ここまで25日の首絞め事件以降のお話をしたが、実はコロナの外出禁止令等に伴う逮捕も、黒人が多いらしく、、
例えば、ニューヨーク市のブルックリン地区では、3月17日から5月4日の間に40人が逮捕されたが、そのうち35人が黒人、4人がヒスパニックで、白人は1人だった。

歴史を遡れば、実は2014年にニューヨークで同様の事件が起きていた。

その際も今回同様、白人警官が黒人男性を地面に押さえつけ、背後から腕で首を絞める様子が動画で拡散された。男性は「息ができない」と訴えた後、失神し、病院に搬送されたものの、心臓発作で死亡した。警官は不起訴となり、大規模な抗議デモが発生した。

更に遡ると2013年、フロリダ州で黒人少年が白人警官に射殺される事件が発生。このとき、各SNS上で #BlackLivesMatter というハッシュタグが拡散されはじめた。

歴史的に、従うもの(黒人)と従えるもの(白人)だったこの関係は、”憲法上は”1865年の南北戦争終戦で90年間の奴隷制が廃止された。
しかし今回取り上げた事件やキング牧師の公民権運動、オバマの大統領選勝利など、幾度となく人々の関心を集めてきたこの問題は、未だに解決していない。

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○私が注目する4つのポイント

では何故、こんなにも長い間注目され、今もなお争いが終わらないのでしょうか?

今回は私が考える4つのポイントを軸に考えていきます。

まず私が一つ注目したいのは、「デモに乗じて、直接の罪がない宝石店に窃盗に入る人達がいること」です。
ここに、この問題がなぜ解決されないのかを解く鍵があると考えています

さて、これまで歴史的な流れを見てきましたが、これ以降は私の主観になります。
事実のみを知りたかった方は、ここで閲覧を中止しても問題ありません。
そして閲覧を続けてくれる方は、あなた自身の考えと照らし合わせながら共感できるポイント、共感できないポイントを考えてみて頂けたら幸いです。


・1つ目「暴力に頼るしか無い現状」

Twitterで最近話題の動画があります。
見られる方はぜひ見てみてください。

以下、要約して説明します。
45歳の黒人男性(仮にAさんとします)が暴力的なデモを起こし、それを31歳(仮にBさんとします)の同じく黒人男性が止めるという2分弱の動画です。
動画内でAさんが行っているデモに割り込み、Bさんはこう言います。

B「こんな事しても殺されるだけだ、トランプも俺たちのことを撃つって言ってる!」
A「じゃあどうすれば良いって言うんだ!」
B「わからない!これが間違ってるってことしか分からないんだ。」
B「俺達には、何もできないんだ。でも何もしないと、きっとまた10年後にここで同じことをすることになるんだ」

止めに入った男性から出たこの言葉に、悲しさを感じた人は多いと思います。
少数派は、意見が通りづらいのが現代社会です。
黒人というマイノリティに属してしまった以上、その原則には逆らうことができません。
宝石店に窃盗に入った彼らも、決してただの窃盗団ではなく、また本来暴力的な集団でもなく、ただこういった形で表す声以外はずっと「耳を傾けてさえ来られなかった」のだと思います。

事態は、もうその段階まで来ているのだろうということです。


・2つ目「一般化が生む差別意識」

一方で、窃盗に入った人たちを「環境のせいだから仕方ない」と言いたいわけではありません。
私はこれは問題行動であると考えています。何故か。

それは、この窃盗行為自体が「白人への差別」だからです。

一つ質問をします。

先程のTwitterで話題の動画を例に出しても、怒りを表すため、または発言権を手に入れるために力に頼ってしまったAさんがいました。
一方で、力はなんの解決にもならないと冷静に考えることが出来るBさんもいました。
しかし彼らは同じ黒人です。

ではこの時、「黒人は暴力的である」と一般化して良いのでしょうか?


それと同様に、今まで黒人が白人によって差別を受けてきたという事実がある一方、全ての白人が差別を行ってきたかと問われると、それは違います。
事件を起こした白人警察官のような人もいれば、人種差別は良くないと活動を行っている白人だってたくさんいます。

しかし今回窃盗に入った彼らがやったことというのは、

「今まで白人に散々差別を受けてきたから、その報復だ!」

と白人を一括にしているわけです。
これが差別の無くならない原因である

「一般化」

だと私は考えています。そしてこの一般化は、誠実な議論を一瞬にして壊す力を持っています。

(これは差別問題だけではなく例えば国政でも、99%はきちんと行っていても、1%の不祥事を受けて国政全体を「一般化」して全面的に叩いたりする人たちがいますよね。そうなってしまうと、もはや建設的な話し合いにはなり得なかったりします。芸能界でも、または友人など個人に対しても当てはまると思います。
少し話がそれましたが、一般化することがいかに強いパワーを持っているかが伝わりましたでしょうか?)

そしてこの行為は、人種差別の直接的な原因になっているのではないでしょうか?

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・3つ目「#all lives matter」

そしてもう一つ、この問題の根底に眠る原因を、#all lives matter の存在を踏まえて話していきます。
このタグ、見たことありますか?

#black lives matter(黒人の命は大切だ)という2013年にできたタグに対して生まれたタグで、和訳すると#all lives matter(全員の命が大切だ)となります。

これ、一見全人類平等を謳った平和そうなタグに見えますが、実はこれ「大切なのは黒人の命だけじゃないだろ」という意味を込めて作られた白人からの反論なわけです。

私が問題視しているのは、このお互いに一歩も譲ろうとしない状況です。

これに関して、歌手のビリー・アイリッシュがInstagramで良い発言をしています。
全文の和訳を載せますので、気になる方は読んでみてください。

今週ずっとこの繊細な話題についてどう話せばいいのか考えてた。 私のプラットフォーム(ファン層)は巨大だから、何をどのようにして伝えれば、この件について最大限の敬意を払うことができるのかずいぶんと悩んだ。でも、そんなことはどうでもいいから、言いたいことを言うね。
あと1回でも白人たちが『All Lives Matter(すべての命に価値がる)』と言っているのを耳にしたら、頭がおかしくなりそう。マジでお願いだから黙っててくれる???誰もあんたら(白人)の命に価値がないなんて言ってない。誰もあんたらの人生が大変じゃないなんて言ってない。ていうか、そもそも誰もあんたらの話なんかしてない。あんたらはただ自分たちの都合の良いように話をすり替えて、便乗してるだけ。これはあんたらの問題じゃない。だから、何でもかんでも自分たちの話題に持っていこうとするのはやめて。あんたらは助けを必要としていない。だって、何の危険にも晒されていないんだから。(子供に説明するつもりで話すね。だって、そうじゃないとあんたらには理解できないと思うから)
もし、あんたの友達が腕に切り傷を負ったら、あんたは『みんなの腕が大事だから』と言って、すべての友達に絆創膏が配られるまで待つわけ?違うよね。きっとあんたは友達を助ける。だって、その友達は痛がっていて、助けを必要としていて、血を流している。
もし、誰かの家が火事で燃えていて、中にはまだ人がいる状況で、あんたは『すべての家が大事だから』と言って、(火事で燃えている家の近所にある)すべての家に消防署の隊員たちを駆けつけさせるの?答えはノー。だって、ほかの家の人たちは助けを必要としてないから。
それを好きか嫌いかは別として、あんたたちには“特権”がある。この社会では白人というだけで優遇される。貧乏だろうが、苦しんでいようが、肌の色が白いというだけで、あんたたちは自分たちが思っている以上に、他の色の人たちよりもたくさんの特権を与えられている。でも、白人だからといって、あんたたちが他の人たちよりも優れているというわけじゃない。その肌の色のおかげで、生きることへの不安や心配を抱えて生きる必要がないというだけ。それこそがまさにあんたらの特権なの!
『All Lives Matter(すべての命に価値がある)』のなら、なぜただ“黒人”というだけで、黒人の人たちが殺されるの?なぜ移民の人たちが迫害されるの?なぜ白人以外の人種の人たちにはない機会を白人ばかりが得ることができるの?なぜステイホーム期間中に抗議活動を参加した人たちのなかで、白人だけがおとがめなしなの?それも武器のようなものまで持ち歩いているのに。なぜ無実の人が殺害された事件の抗議活動に参加した黒人だけが不良呼ばわりされるの?なぜか知ってる???
それが白人のクソ特権だから。
白人の特権はヒスパニック系の人たちに影響を与えている?ネイティブアメリカンは?アジア系の人たちは?答えは言うまでもないけど、イエス。1000000000000000%、影響ある。
でも今、この瞬間にみんなで話し合うべきことは、何百年と続く黒人の人たちへの制圧について。『Black Live Matter(黒人の命にも価値がる)』というスローガンは、“黒人以外の命に価値がない”と言っているわけじゃない。このスローガンは、今の社会が黒人の命をまるで価値のないもののように扱っているという、まぎれもない事実を訴えているだけ!!!!
その言葉通り、『黒人の命にも価値がある』。
黒人の命にも価値がある。
黒人の命にも価値がある。
黒人の命にも価値がある。
何度でも叫ぼう。

(和訳はこちらのサイトから引用いたしました。)



私はトロントにいた頃、大麻に関して発信を行った際にTwitterでプチ炎上のようになったことがありました。

その内容は、「大麻が良い効能を持っていたとしても、日本で法を犯して使用することは正当化されるべきではない」というツイートでした。
しかしその文言がすこし攻撃的だったあまり、「でも大麻でしか救えない命がある」などと反論を受けてしまいました。

ここで今回取り上げたいのは大麻の良し悪しの話ではなく(この話について詳しく知りたい方は、私が過去に書いたnoteをご参考に。)、「法を犯すことはだめ」と「大麻でしか救えない命がある」というのは決して表裏一体ではなく並存しうるということです。
しかしお互いに自分の言いたいことを押し通そうとするあまり、しばしば的外れな議論になっていました。

そして私が指摘したいのは、この人種差別問題に関しても同じような事が起きているのではないかという事です。

自分がわざわざ不利な立場になったり、損をする役回りになりたいと思う人なんていません。両者とも、自分が優位な立場にいたいと思うのは生物学的にも当然の事です。

しかし一方で、客観的事実として片方が不利な役回りになっているのは、ここまで読んでいただいた方には伝わっていると思います。

我々人間は社会的動物です。
決して全て弱肉強食で動いているわけではありません。それは「みんなでお人好しをしましょう」という話ではなく、そうやって社会を形成する力があったから、人間は自然界でトップの座に君臨できている。
これが人間の強みであるとも言い換えることができます。

だから私達はその強みを生かしていかなければいけない。
協調して社会を形成していかなければいけないはずです。

自分の今ある立場を失いたくない白人と、違うスタートラインからフラットになりたい黒人が、それを主張しあっているだけでは永遠に決着がつかない。というか話し合いにすらならないのは、少し考えれば分かってくることです。

ビリー・アイリッシュもここを指摘していたわけです。

ただ今のように継続的な差別が行われ、黒人が今回のような事件をきっかけに暴動で爆発する、それに対して白人も反発するといった「片方が片方をねじ伏せようとするやり方」では意味がありません。
それはただ対立を助長するだけです。

これは両者にとっての、いや、私達含めた全員にとっての課題です。
もし本当に、長期的に解決をしていきたいのなら、自分の意見を聞いてもらうためにはまず相手の意見を聞くことから始めなければいけないと思います。
理屈の正しさだけでは、協調は成立しないのです。
こんなこと、小学生でも分かるはずなんですけどね。
ただそれが、大麻の件の時は私も忘れてしまっていた。
大人になるにつれて、こんな当たり前のことも忘れてしまうのかも知れません。

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・最後のポイント「サイレントマジョリティな私たち」

人種差別はこうやって黒人と白人の間で起きていることと思いがちですが、私達日本人、またはアジア人(黄色人種)も例外ではありません。
実際にコロナウイルスが流行り始めていた頃、多国籍文化で有名なトロントでさえアジア人差別が起きていました。

さらに、無意識下で自分が加害者になってしまうことも覚えておかなければなりません。

差別意識がなくても、潜在的に人を見た目で判断してしまうものです。
そういった刷り込みは、きっと日本にいても誰しもがされているはずです。
1年間多国籍文化で過ごした私も、外見で人を判断しすぎていないかと問われると、実のところ自信がありません。

しかしグローバル化が進んでいく中で、これからたくさんの人種と付き合っていくことになるでしょう。国内でも、障害を持った方を始めとするたくさんのマイノリティと接する機会があるでしょう。

今回そういった差別を受けやすいマイノリティに対する付き合い方や、自身のマイノリティとしての振る舞い方、今後の人生で必ず直面するこれらの課題を考え直すいいきっかけになっていると思います。
冒頭で「知らないまま終わるのは勿体ない」と言ったのはそのためです。

「差別は良くないからやめましょう!」と言っているだけでは、おそらく永遠に進展しないでしょう。
なぜならそんな事、ほとんどの人が分かっているからです。
でも差別は依然として存在する。生まれた時のスタートラインすら違う世界が今も続いている。


「なぜこんな矛盾が起きるのか?」


スタートラインに不満のない私たちがそれを考えないと、私達はサイレントマジョリティとして被害者にも、そして加害者にもなってしまいます。
こういった人種差別が少ない日本だからこそ、世界の常識に疑問を持つ力があると、私は信じています。


「私たちに、何ができるか。」

それを考える参考になれば幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
さあ本番はここからです。一緒に考えていきましょう。

それでは。

くぅ

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告知の段階で「5000文字になっちゃいましたえへへ」みたいに言いましたが、蓋を開けてみたら7200文字でした。最後まで読んでくれる人なんているのか疑問ではありましたが、読み進めて頂きありがとうございます。

最後に、質問箱を置いておきます。
ここから、Twitterをやっていない人や匿名で意見・質問を投げることができます。ぜひ皆さんの意見を聞かせてください。

文中で取り上げた大麻に関するnoteも置いておきます。
気になる方いたらぜひチェックしてみてください。



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