分かれ道

私は選ぶことが苦手である。正確に言うと、もう二度と選ぶことができない選択肢を選ぶことが苦手である。

2023年8月1日、不可逆な選択をした。これまでの人生が静かに崩れるような、何も見えない暗闇に近づくような、そういう感覚がする。
まるでどこか他人事のような、自分で決めたとは言っていないような、それはある意味正しいと思う。私は私のことを自分で決めたくない、決め方がわからないのかもしれない。

でも。ずっとこうするべきだった。何年も前からわかっていた。自分で考えて、自分の足で、この大地に立ち、歩くべきだった。それでも他人の靴で他人の舗装した道を歩くのは楽で、いつしかそれが自分の道だと勘違いするようにさえなっていた。

多分、私はこれからの数年、数十年、ずっとどうして正解を手放したのか自分を責め続けるだろう。辿ることのできない、本当に消えてしまったリンクを何度も辿りかけて、その度に立ち止まるだろう。これまでとは違う苦しさに、自分で選び断ったその道に、幾度もうなされ続けるだろう。




アニメや漫画、時に現実には、よく感動シーンとして親や師匠や仲間の夢を託されて、紆余曲折を経てそれを成し遂げる、という構図がある気がする。
誰かの夢を追いかけるというのはそれだけでとても尊いものなのだろう。

でもその裏には、自分の人生を全部かけても到底成し遂げられないことに気がつき、絶望し、どう生きていけばいいかわからなくなってしまう人が大勢いたのだ。考えてもみてほしい、師匠が成し遂げられなかったことをそう簡単に弟子が成し遂げられるのだろうか。

誰かの夢は、誰かの夢のままであるべきなのだ。それが誰かを不幸にしない唯一の選択だ。

と言ってきかせるしか、今の自分にはできない。ごめんね。

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