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新説: 最後の審判 (将棋)

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縫田光司氏による詰将棋の傑作「最後の審判」(1997)。将棋のルールの矛盾を突いた問題作です。現在までの議論では、成立するかルール上不定とされています。果たしてそうなのでしょうか… もっと読む
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新説: 最後の審判 2. 将棋ルールの整理

1. ギミックの解説 で述べた通り、最後の審判は「打ち歩詰め」(うちふづめ)と「連続王手の千日手」の2つのルールを組み合わせたところが肝である。したがって、その成否を議論するには、少なくともこの2つのルールを正しく理解する必要がある。ここで理解というのは、一般的な将棋のルールとしての理解では足りず、ルールブックの内容を詳細に読み解く必要がある。 この記事では前段として、将棋のルール全般について整理する。 ゲームの「ルール」とは?そもそも、対戦ゲームのルールとはなんだろうか

新説: 最後の審判 1. ギミックの解説

概要編の続きです。 いきなり打ち歩詰めや千日手の詳細ルールの解説に入ろうかと思ったんですが、よく考えたらそもそも最後の審判の何が面白いのかを説明してなかったので、ざっくりとした説明から入りたいと思います。(buildersconの登壇を見て来てくださった方は、そこで説明した内容と100%重複するので、この章は読み飛ばしていただいてOKです) このエントリは、将棋や詰将棋を知らない人でも最低限分かるレベルに簡略化しています。より詳細に手順を理解したい方は、作者ご本人による解

新説: 最後の審判 (将棋) 概要編

詰将棋界における20世紀最後にして最高の問題作、「最後の審判」。1997年1月、詰将棋パラダイス誌にて発表。作者は縫田光司氏。 この作品が登場したときの衝撃は、きっと将棋ファン以外にも理解してもらえるだろう。将棋は約400年にわたる歴史を持ち、多数の愛好家がいるゲームである。とてつもなく奥が深いゲームだが、それだけ遊び尽くされていれば、まさかそこにルールの矛盾が存在するなどきっと誰も考えもしなかっただろう。そんな将棋の「ルールの矛盾」を発見し、しかもそれを詰将棋という作品の