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神経衰弱で合法パスが有効な局面はあるのか

子供と神経衰弱やってて気になったので考えてみる。

結論

残りが4種8枚で、そのうち2種2枚が一度めくれて何の数字かわかっている時、新しくカードを開けずに数字がわかっている2枚を開ける(実質パス)か、1枚だけ開けて、わかってる2種以外の数字が出たらわかっているカードをめくるか、どちらかが最善。どちらがいいかは点差による。

以下、考察

2人の神経衰弱で、プレイヤーは最強の記憶力を持つと仮定します。

神経衰弱はルール上パスをすることができません。もしパスができるならしたい局面は存在します。一般的に初期局面は後攻有利と言われていますね。簡単のため、1122の4枚が初期局面だとします。すると、簡単な計算により、先攻が全部取れる確率が1/3, 逆に後攻が全部取れる確率が2/3になります。

一方で、プレイヤーとも記憶力が最強という仮定のもとであれば、合法的にパスができる局面というのが存在します。すでに誰かが開けたカードをもう一度あければよいからです。

つまり、場に2枚以上、すでに誰かが開けたカードがあれば、合法的にパスできますね。基本的に、初期局面以外、自分に手番が回ってきたときはこの状態です。

で、神経衰弱で勝ちを目指す上で、「合法的パス」をする方が得になる局面があるのかどうか、考えてみます。すでにめくってあるカードを数字で、まだのカードを-で表すことにします。

残り2種4枚

12-- の状態。

- を空ければ1か2が出るので、すでにわかっている1か2を開ければ+1。続けて残りも取れるので+1。

つまり、確率1で+2を取れます。合法的パスをする意味はありません。

残り3種6枚

12---- の状態を考えます。不明なカードは1233です。

まず、合法パスをせずに、不明なカードをめくることを考えます。
- を開けると、
・(1) 1または2 ... 1/2
・(2) 3 ... 1/2
が出ます。

(1) 1または2のとき。1か2かは同じなので、1だとします。1を取ります(+1)。
続いて、残りは 2--- です。不明なカードは233です。
1/3の確率で2を引きます。この時、全部取れます(+2)。2/3の確率で3を引きます。この時、1/2でもう一枚も3を引き、全部とれます(+2)。1/2で2を引いて外します。この時相手が残り全部とります(-2)。つまり、
+3 の確率 1/3 + 2/3 * 1/2 = 2/3
-1 の確率 2/3 * 1/2 = 1/3
となります。

(2) 3のとき。不明なカードは123です。1/3の確率で3を引けば、全部取れます(+3)。2/3の確率で1か2を引いて、外して、相手に全部取られます(-3)。
+3 の確率 1/3
-3 の確率 2/3

以上を合計すると、( (1) か (2) の分岐は 1/2ずつなので)
+3 の確率 ... 1/2 * 2/3 + 1/2 * 1/3 = 1/2
-1 の確率 ... 1/2 * 1/3 = 1/6
-3 の確率 ... 1/2 * 2/3 = 1/3
となります。

もし合法パスをすると、この状況がそのままそっくり相手にいくわけなので、それを踏まえてこの時に合法パスをしたほうが良いかしないほうが良いかを考えます。すると、上の状態は、良い悪いが対称的な状態である 「+3が1/2, -3が1/2」よりも常に良いので、めくりに行った方がいいことがわかります。

一応注意として、カードの増加分の期待値は答えになりません。最終的に勝ちか負けかしかないので、点差の状況によって戦略は変わります。上のケースはどんな点差だろうとめくったほうが良いということです。

残り4種8枚

12------ の状態を考えます。不明カードは123344。

- を開けると、
・(1) 1または2 ... 1/3
・(2) 3または4 ... 2/3
が出ます。

(1) 1とすると、1を取ります(+1)。残りは 2----- です。ここからの計算はちょっと書くのめんどくさいんですが頑張って手計算したところ、常に新しく空けるとして
+4 ...1/5
+2 ... 1/15
+0 ... 1/5
-2 ... 8/15
になりました。

(2) 3とします。123----- の状態で不明カードは12344。ここで更に開けに行くと
+4 ... 1/10
+2 ... 1/15
+0 ... 1/15
-2 ... 1/15
-4 ... 7/10
になりました。割と破滅的ですね。

結果を合算すると
+4 ... 1/3 * 1/5 + 2/3 * 1/10 = 2/15
+2 ... 1/3 * 1/15 + 2/3 * 1/15 = 1/15
+0 ... 1/3 * 1/5 + 2/3 * 1/15 = 1/9
-2 ... 1/3 * 8/15 + 2/3 * 1/15 = 2/9
-4 ... 2/3 * 7/10 = 7/15
となります。これは、+4よりも-4のが確率が高く、+2よりも-2のが確率が高いので、完全に対称的に悪いことがわかります。つまり、この局面では新しくめくりに行くと完全に不利なので、合法パスをすべき、ということが言えそうです。

ただ正確なことを言うと、1枚開けて 12[3]----- (3が開いている) の局面で新しいのをめくりに行かないという手があって、この場合だと点数の期待値はトントンになるっぽいです(2/5で+4, 1/10で+0, 1/5で-2, 3/10で-4)。これが有利かどうかは点差によるんですが、現在の点差が+4, +3, -3, -4のときはお得感があります。あと、1種取れて2----- から1枚開けて 2[3]---- (3が開いている) になった時も、新しいのをめくらずにすでにわかっている2を開けておいた方がマシ。この時は相手側からみて3種6枚の、上で説明したパターンに帰着するが、すでにこちら側が+1になっているので、(1/3で+4, 1/6で+0, 1/2で-2)という結果になります。新しいのをめくりにいくと (1/5で+4, 1/15で+2, 1/5で+0, 8/15で-2) なので、最初の点差が-4, -3, -2, +0, +1のときはめくらない方がいいということになる。(-1のときだけめくったほうが勝率高い)

多分結論としては 4種8枚で2種2枚めくれ (12------) の局面は、

a) 点差が +4, +3, -3, -4 のとき、新しくめくるのが正解。ただしそこで知らないカード出たら既知のカードめくってお茶をにごす。
b) 点差が +2, +1, 0, -1, -2 のとき、すでにめくれてる1と2を空ける(合法パス)のが正解。

ということになりそうな気がするんだけどちゃんと計算ができてない。期待値じゃなくて勝率を計算するのが結構大変だった、、、

というわけで、神経衰弱において上のような局面(4種8枚で2種2枚めくれ)に出くわしたら、そしらぬ顔で既知のカードを2枚めくって、アチャーまた同じのをめくってしまった、というフリでもしておきましょう。それが最善のようです。

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追記: ぐぐったら普通に研究ありました。


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