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組織は話さないですよ

会社などの組織体というのは、二つの側面があると思う。一つはその中にいる生身の人間そのものであり、もう一つはその人間が複数いることによって起きる人間同士の相互作用だ。

スタートアップの企業のように人数が少ない時期は、単に個々の人の集まりとしての活動だったものが、だんだん大企業になってくるにしたがってその相互作用が大きくなってくる。だから、会社も少し大きくなってくると、良い文化の定着を図ろうとしたり、組織構造をつくりはじめたりする。

この二つのうち「相互作用」の方は、生身の人間自体に比べると、なかなか理解したり制御するのが難しい。

さて話を変えると、なにか問題が起きた時に、人は、よくわからない何かに原因をおしつけて思考停止してしまうということがままある気がする。たとえば、今の給料が低いのは政府の政策に原因がある、のようなものだ。もちろんそこのロジックを精度高く理解して言っているなら別だが、大抵はそうではない。よくわからない"政策"というよりは、身近な何か(自分自身の行動をなど)に原因を求めたほうが、問題の解決につながる。

最近、職場でこんなことがあった。ある施策が推し進められようとしているが、その施策について疑問があるので議論したいから、誰が推進してるのか教えて欲しい。とA氏が言ったところ、B氏が「誰というわけではなくて組織として進めている」との返答。それに対してA氏の返答、「組織は話さないですよ」。

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妙に痛烈で思わず笑ってしまったがこれは本質を突いていると思う。「組織として進めている」のは事実ではあるものの、そう言うとなんだかよくわからない。解像度をあげてみてみれば、誰かが意見を持っていて、誰かが同調して進めているということだ。本当に(トップやステークホルダーを含め)誰もやろうとしていないのに進んでいるなんてことはない。その意見を持っている人と直接議論をしようとするA氏の姿勢は正しい。実際にすぐ議論ができたようで、1週間後にはよりブラッシュアップされた形で全体向けに方針が周知された。

「なんとなく組織として物事が進んでいる」「なんとなく組織に課題がある」。そこには必ず生身の人が存在する。だから、知りたかったり課題を解決したければ、得体のしれない「組織」を相手にするんじゃなくて、まずは生身の人に働きかけることだ。それで解決しないものに対して、より高次のステップとして、組織体としての相互作用に目を向ければよい。

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追記.
ちょっとこの話に近いかもと思ったツイートをみたので紹介する。

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追記. 以下の記事を教えてもらった。耳が痛いしとても考えさせられる。


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