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声優時代-part2-ユーリ・イヴァーノフとわたし

前回の投稿をまだご覧になってない方はこちらから。

アニメ「爆転シュートベイブレード」のユーリ・イヴァーノフのCV(キャラボイス)だったことを#1と#2でお話しましたが、今回、このキャラにまつわることをお話したいと思います。

ユーリ・イヴァーノフがどういう役で、どうしてこの役をやることになったかなどは、「#1はじめまして。森田樹優と申します。」「#2 声優時代」をお読みいただくとして…

赤い髪のかっこいい少年

簡単に、申し上げますと、ロシアチームのベイブレーダーで、リーダーであり、冷酷非情な性格、最終回では主人公のタカオと戦い、友情に目覚める…

赤い髪のかっこいい少年です。

放送されていた当時は、かっこいいキャラということより、冷酷さを声に出すことが難しかったです。

「もっと冷酷に!まだ優しい!」と音響監督の本田保則さんから、最初の頃、何回か指摘されました。

どうしたら冷たい音が出せるのか、さらに冷酷に…

収録初回の休憩時間、少し悩んでいると、カイ役の高乃麗さんが、隣でユーリのキャラ表を見ながら「森田、これ、めっちゃいい役だよ。頑張って」と、少し声を落としてヒソヒソ声で話しかけてきました。

大切なことを話すように。
そっと私に耳打ちしてくれたような雰囲気。

それがぐっと、私の背中を押してくれました。

高乃さんとはアニメ「ノンタンといっしょ」でご一緒して、この番組は、メンバーがとても仲が良かったこともあり、みんなでカラオケやお花見など
したり、よく遊んだ経緯があり、とても尊敬していた高乃さんからの一言で......

「よし!やったるわい!」みたいなスイッチが急に入りました。

単純な私。笑

ユーリはとても孤独だったにちがいない。

私も子どもの頃、両親の離婚から引っ越しも多く、学校や親戚の家などで、とてもアウェーな思いをしていた寂しい子どもでしたから。


私がもしユーリと同じ環境でロシアに生まれていたら、きっと憎々しいものの言い方や、鼻にかけて笑うところ、人を信じないところ…見下すところ…
そうなっちゃうだろう…

そう、ユーリは私自身なのかもしれない!

私の中の眠っているものを出してみよう。

そして、技名を1カットいっぱい叫ぶ時、
ユーリのメラメラした狂気的な感じが画面に現れていて、それを見ながらヌオーーッとなりましたが......

息切れNGもありました笑

「フッ」と鼻にかけてバカにしたように笑う

「臆したか…フフフフフ」「愚かなっ!フッ」

など、いちいち上から目線で言う台詞も多く......

でも、だんだんそれが楽しくなってきました。

スタジオでは、タカオ役のくまいもとこさんが「カンチョー!」と言ってふざけてくるので、とても楽しかったです笑

いつも元気なくまいさんに、休憩の時に「娘の幼稚園のハムスターが死んじゃって…」と話すと、たまたまタイムリーなことに、くまいさんの知り合いの漫画家さんのハムスターに赤ちゃんが産まれたということで、くまいさんと赤ちゃんを見に行ったことがあります。

そして、かわいいハムスターの赤ちゃんを、娘の幼稚園で飼うことになりました。

この時の車の中で、くまいさんから私の演るユーリについて「ユーリ、かっこいいと思うよ〜」と褒められたことが嬉しかったです。

運転しながらくまいさんが、タカオの声で「ユーリ!」と言うので、「キノミヤー!」と返して笑ったり、我が家で娘と三人でハンバーグを食べたことも良い思い出です。

そして、第3期Gレボリューションが2003年に最終回を迎え、一つの役目を終えた。

そう思っていましたが…

ファンの皆さんの心の中で生き続けているユーリ

それから15年以上経っても、飽きられることなくずっと好きでいてくださるファンの方々がいることを知ることになるのです。

私が座長を務めたコント演劇「Q商会」で。


その時の感動は、この役を演ったこと以上のものでした。

詳しくは、前回お話しました#5をご覧いただければと思います。

時を経ても尚、ファンの皆さんの心の中で生き続けているユーリ。

このことを、原作者の青木たかお先生にお伝えしたいと思い、手紙を書きました。

青木たかお先生は、お忙しいにも関わらずお返事の手紙をくださいました。

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お手紙に添えられた絵には、ユーリの前に演らせて頂いた蛭田と奥がユーリ。

私の拙い文章にとても感動してくださり、先生のお人柄が感じられる内容でした。
その中に、
「森田さんの舞台の事は観劇したファンの方からのお便りで知りました。
それぞれの心の中でユーリが生きて成長し続けているのだと感じとても嬉しくなりました。
それにしても女性ファンが非常に多いのには驚きました。」

と記されてありました。

もうすでにQ商会のことはご存知だったことがわかり、原作者、中の人、ファンの皆さんという三角形の点と点が結ばれ、とても素敵なトライアングルの音色が響いたかのようでした。

皮肉にも演じていた当時は、聴こえていなかった音色…

今更ながら、この作品とユーリにご縁があったことはとても幸せなことと思います。

そんな風に思わせてくれるイベントがもう一つありました。

2017年1月7日〜29日までと、2018年3月15日から一ヶ月間、2019年4月からの期間限定で、全てタカラトミー主催「爆転シュートベイブレードバー」が池袋パルコでオープンしました。

私は、Q商会で共演した元教え子であり後輩の2人と行ってきました。

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2017年1月 ベイブレードバー 池袋パルコ Q商会で絆の深まった元教え子で後輩2人と。右から原田萌さん、私、二階堂結さん。

ベイブレードバトルができる大人向けバーで、店内では、親子2世代でバトルしている人達や、カフェスペースもあり、ベイとコラボした飲み物やデザート、ハンバーガーが食べられたり、歴代のベイの展示やポスター、青木先生直筆のイラスト色紙などなど盛りだくさんでした。

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2018年3月のベイブレードバー 池袋パルコ ユーリ・イヴァーノフが使用していたウルボーグのパフェ。美味しかったです。

あちこち見ていますと、、なんと言いましょうか、まるでユーリが主役なの?と思わせるようなディスプレイになっていたりする箇所も多々あり、
この作品の中でとても重要な位置であったことを改めて痛感しました。

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店内のディスプレイ。ユーリとウルボーグの展示。

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2019年4月のベイブレードバー 池袋パルコ 青木先生直筆サイン入り色紙。ユーリが大きくセンターにそびえています。

店内のスクリーンには、最終回が流れていて
私はとても感動しました。

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歴代のベイの展示もディスプレイされていました。

大好きな後輩たちと世代を超えて観られたことも嬉しかった一つです。

「みんなのユーリ」

訪れているファンの皆さんの書き込みノートを見ました。

Q商会以来、Twitter上で数人のファンの方との交流がありましたので、
後輩と「あ、〇〇ちゃんだ!」と見つけながら見たのも楽しかったです。

いつもユーリや、私のツイートとのコラボの絵や、素敵なカードを送ってくださる皆さん。

皆さんの絵は大切に保存しています。
ファイル名は「みんなのユーリ」。

ユーリから始まり、ロシア語やロシア料理にまで発展して興味を持たれている皆さんの熱量に、いつも驚かされています。

この世の中が落ち着いたら、ぜひロシア料理の会に呼んでほしいものです。

皆さんのTwitterを拝見して、逆にこちらがファンになるくらいの画力や文章力をお持ちの素敵な方たちばかりなので、自分が中の人でなければ、話に入れるのになぁと羨ましく思うこともあります。

この場を借りてこっそり言っちゃいました笑

ユーリは世界の果てまでイッテQ⁈

そしてもう一つ、ユーリ・イヴァーノフにまつわるエピソードがあります。

それは、「ユーリは世界の果てまでイッテQ⁈」的なことでした。

メキシコにお住まいのメキシコ人の方から、Twitterにある日突然、絵が送られてきました!

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私のやったキャラクターと私の似顔絵が日本語で描かれていました!! @NekoDarkkitten

私の声がお好きと......

ベイブレード以外の「時空探偵ゲンシくん」も見てくださっていた!

ユーリの前の蛭田役も私の声と認識されていた!!

すご〜い!メキシコ!!
ラテン好きの私はとても嬉しいのと不思議なのと…

とても遠い国で、日本のアニメを見て、字幕で?ご覧になって、原音の私の声(日本語)を聞いて、良い声と思ってくださったのですよね。

あまり感覚的にわかりにくいのですが......
私の子どもの頃の外国のアニメは、トムとジェリー、チキチキマシン猛レース…古い話ですみません笑

こちらは、日本の声優がアテていて、私は外国のアニメも日本語で育ってしまっている。

むしろ原音を知らない。

外国の声優さんの声を聞くという感覚、そして、その声を好きになる!

そのこと自体に驚きました。

そしてそれが、私の声だったなんて!!

ありがとう!Muchas gracias!!!
この言葉では言い表すことのできない嬉しさでした。

そして、もう1人。
今度はチリの女性。

2021年春、私のTwitterに贈られたツイート。

チリの女性が子どもの頃からお兄さんと、ベイブレードを見て、ユーリの声を好きと言ってくださっている…!!

カトさんの初めて送ってくださった絵。

メキシコの次はチリ!

確かに私はペルー人やコロンビア人の友達がいて、ラテンが大好きなのですが......笑

こんな引き寄せってあるの⁈と可笑しくなりました。

そして、この絵をよく見て、涙が溢れてぼろぼろ泣いてしまいました。

ユーリの横に私の愛犬のロビとべべが描かれてあったからです。


遠い異国で、フォロワー数の少ない私のたわいのない犬の散歩のツイートをご覧になって、私の演ったキャラの横に甘えてる2匹を描いてくださった。


私の人生全てが肯定されたような気持ちになりました。

このチリの女性、カトさんはイラストレーターをされているそうです。

それから、私のTwitterを見てたくさん絵を送ってくれています。

ピーマンの苗の油虫を水鉄砲で退治しているとツイートをすると、その数日後には、ユーリがピーマンに水鉄砲を向けていて、隣に私がいる絵や、散歩中に鴨の数を数えている動画のツイートには、今度はロシア語で数えて!と、鴨とユーリと私の絵。笑

ベランダのバジルでカプレーゼを作ったツイートにも、
ユーリとカプレーゼと2匹の愛犬。笑

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国際交流をしたいなぁと思ったことがありましたが、まさかこのような形で実現できるとは!

SNSの力とGoogle翻訳とユーリ・イヴァーノフとその声と。

時を経て喜びはさらに円熟されて、もっと美しく私の心に響きました。

全てに感謝です。

2016年から新たに連載された「爆転SHOOTベイブレードRISING」一年後のストーリー、続編です。もちろん、ユーリも登場。

また、この声をできることを切に願って。

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おしまい。

#爆転シュートベイブレード #ユーリイヴァーノフ #声優 #青木たかお #絵本作り #森田樹優


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