もうひとりのSさん。
その方も何十年も入院されているとのこと。
私が配属になった病棟には
長期入院の方ばかりいらっしゃいました。

この方はいつも国会中継を観ながら、
テレビ📺に映る、故　安倍首相に向かって
大声で文句を言っていた姿が印象的な方でした。

安倍首相の国会答弁を聞いては
安倍さん宛ての手紙を書くので、
私が切手の購入を代行していました。

新聞をよく読んでいらして、
勉強家な様子。

病棟に配属になった日、
「本当は俺のこと馬鹿にしてるんだろう！」
と、
私の顔を見るなり仰ったことを思い出します。

「そんなことありませんよ。」と、
お伝えしてもこのやり取りは
2、3回ありました。

Sさんのシーツ交換の際は
掛け布団カバー、シーツ、枕カバーを
セットにして手渡すことになっていました。

ほとんどの方は4人部屋で
人によっては一緒にシーツ交換をしたり
ご自分で交換されたり
私がやったりとまちまちでした。


いつもは廊下に取りに来てくださるSさん。
ある日、
声をかけてもなかなか取りに見えません。
私が他の患者さんに手渡すのをチラ見。

「ベッドまで持ってきて欲しいのかな？」

そんなことが何度かあった後、
思いきって、こちらから渡してみました。
すると、
「ありがとうございます。」と、
いつも通り丁寧なお礼の言葉。
➕ちょっぴりはにかんで☺️

「持ってきて欲しい。」と、
言いづらかったんだな〜。

このSさんには
定期的に荷物が📦届きました。　
ご本人は届く日をご存知で、
「荷物来てなかった？」と、確認。
「まだですよ。」とか、
「来てましたよ！」
「届いたら直ぐにお伝えしますからね〜。」
というやり取りがありました。

ある時、
せっかく届いた荷物の中の飲み物が
ある理由でご本人には渡せない
ということで揉めていました。

「なんでだよ💢おかしいじゃないか！
これは俺の物なのに💢なんでだよ！」

どうやらそれを楽しみに待っていらした様子。
飲めない理由に納得がいきません。
そんなことが何度か続いたある日、
荷物を前に
何やら嬉しそうな顔☺️

その飲み物をペットボトルに移し替え
病棟で管理の上、
ご本人が飲めることに✨✨

すかさず、
「飲んでもいいことになったんですね〜。
よかったですね〜！」とお伝えしました。
すると、満面の笑み😊

そういえばこの頃、
テレビの前で怒ってない❗️
国会中継も観てない❗️
切手の購入も依頼されない。

気づけばこのSさん、
すっかり穏やかに。

「周りは敵ばかり！」みたいだったけど
ご自分の要望も伝えて、
病院との折衷案を取りつけるまでに。

そのうちに、
「退院したい」と言い出して、
退院請求のお手紙を外部機関に
出してらっしゃいました。

なかなか心を開いてくださらない
どころか、少々攻撃的な方でも
こちらが丁寧に接することが大切だと
教えてくださった方です。

「攻撃的」という仮面に惑わされず、
その裏にどんな気持ちがあるのか？を想像すると
適切な対応ができます。

そこにはきっと誰かに理解されなかった
心の痛みがあったり、
甘えたくても甘えられなかった
寂しさがあったり。

今だから、こんな風に言語化できますが、
当時はなんとな〜く、
「人として尊重されると
その人の心が救われるんだろうなぁ〜。」
なんてことを思いながら働いていました。
たぶん。

病院では
「私、どっちかというと患者さん寄りの人間
なんですよね〜。」って思ってました。
もちろん、権威との葛藤もバリバリありました。「医者は挨拶をしない」って😅





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2024年はもうすぐ🔜メール💌カウンセリングを行う予定でございます。その節はどうぞよろしくお願い致します🙇