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[モンハン]アイスボーンとサンブレイクのいいとこ&わるいとこ

 前の記事で書いた通り、いまさらモンスターハンターワールドおよびアイスボーンをプレイしてます。前回はワールド系列の悪いとこを挙げまくりましたが、当然ながら良いところも山ほどあるわけです。
 せっかく『ライズ/サンブレイク→ワールド/アイスボーン』という流れでプレイしているので、本記事では両作品の長所・短所を比較してみましょう。

 長くなるので先に結論だけ書いておくと、

・快適性:ライズ系列
・世界観、効果音:ワールド系列
・ストーリー:互角
・なぜここまで違うのか?:ワールド系は狩猟生活シミュレーションゲーム、ライズ系はアクションゲームだから

 だと思っています。
 じゃあ一つずつ見ていきましょう。


◆快適性
 これはもうライズ系列がダントツの勝利。ワールド系は新世代一作目ということもあってか色々と洗練されてないところがあるのに対し(例:すべて受け取りますか?→いいえ)、ライズはモンハン史上でも最高クラスの快適性を誇る作品。後述した通りライズは世界観描写が弱いため、ここで圧勝してくれないと困る。

 ライズの主な快適要素は
『ブラッシュアップされたUI』
『拠点でのファストトラベル』
『ガルクによる高速移動』
『小さくギュッとまとまった拠点』
『翔蟲ジャンプ/壁登り』
『合流されても不利にならない』
あたりでしょうか。

 拠点が小さいのは人によって好みが分かれるところかもしれないですね。拠点が小さくなる=世界観描写が乏しくなる=没入感が削がれる、みたいなところありますし。ただ、だからといってカムラとアステラどっちが便利?って言われたらもうこれは絶対にカムラなので、非常に難しい。超絶不便だったアステラを見ても分かる通り、拠点を大きくしてオブジェクトを増やせばそれだけ利便性が失われる可能性が高まるわけです。
 集会場的なところに必須施設を全部まとめて、外はアステラみたいな大きな拠点+時々訪れるサブクエスト用NPC……みたいな感じならバランスが取れるかもしれないですね。

 ガルクに関しても賛否が分かれそうですが、いや、これはやっぱりあった方がいいと思います。アイスボーンは敵が瀕死逃走してから1分以上走って追いかける虚無の時間とかあるもん。
 最近のモンハンは非戦闘時のダッシュでスタミナが全然減らないので徒歩でもそれなりに快適ではあるんですが、これはワールドでマップが広くなったことで帳消しにされてる感じがあります。今後もシームレスマップ形式を貫くなら、ガルクにしてもモンスターライドにしても横方向への快適な移動要素は必須でしょう。

 翔蟲も個人的にはアリ。というか『乗りのために段差を増やしてジャンプ攻撃させる』という設計がもともと好きではなかったので(段差によるデメリットのほうが多い)(特に弓)、今後もライズ系列のように自前ジャンプのほうが良いと思います。
 ただワガママなことを言うと、戦場が平坦すぎるとそれはそれで見た目が寂しいんですよね。ワールド古代樹で戦ったあとにライズをやると『地形が平べったい……』って感じになるし。でも段差のせいで回避失敗することとか何度もあるからバリアフリー化はしてほしいし。難しい。

 操竜はライズ/サンブレイク時点だとまだ不自然さがあります。乱入&合流してきたラージャンを操ってビーム撃ったらそそくさと帰っていくのとか絶対におかしいし。
 ただそもそもの問題として、モンスターの合流って(初期モンハンの頃から)基本的にプレイヤーが不利になることばかりだったんですよね。ワールドからは縄張り争いでダメージを狙えるようになったとはいえ、ワールド/アイスボーンをプレイした人なら合流→こやし玉→合流……みたいな流れを味わってストレス溜まったことがあるはず。
 操竜のおかげで合流されてもストレスがたまらない、ただプレイヤーが不利になるだけではない、というのは大いに良いことだと思います。不自然ささえなんとかしてくれればいい感じなので次回作に期待しましょう。

 なお断っておくと、サンブレイクにもストレス要素はちらほらあります。怪異研究レベルにマイナス補正がかかるせいで低レベルの怪異クエストが死ぬほどマズいとか、城塞高地のサブキャンプが不便すぎるとか、そもそもサブキャンプが少ないよねとか、拠点BGMを上書きしてくるセールBGMとか(※アプデでOFFにできるようになりました)……。
 ただそれらを考慮しても、やっぱり快適さを第一にゲームデザインを描いてる感じはありますね。

◆世界観
 これはワールド系の圧勝。もう文句なしに圧勝。
 そもそもワールドは世界観描写に力を入れまくっている作品ですし、当たり前といえば当たり前ですね。後述しますが、ライズの方は容量的な問題からかフィールドの環境生物などがかなり寂しいです。

 ワールドの世界観描写の良さをいちいち挙げていくとキリがないんですが、特に印象的なのは
『生活感のある拠点』
『リアルな挙動の環境生物』
『臨場感のある効果音』
『美麗なグラフィック』
あたりですね。

 グラフィックについてですが、僕は『グラフィックが綺麗じゃない=ダメ』というグラフィック至上主義には賛同できません。スーパーファミコンのFF5とか今プレイしても多分面白いし、ライズのレベルでもそこそこ綺麗だからいいんじゃないかなあと思う。
 ただ、グラフィック面に余力があると世界観描写を入れやすいんですよね。アイスボーンの渡りの凍て地で雪をかき分けて歩いていたら、いきなりブラントドスのでっかい這いずり跡が坂の向こうに伸びていたときは『ああ、これはライズ系は絶対に勝てないな』と思いました。

 拠点の生活感や環境生物の挙動もワールドは凄いです。敵を倒せば鳥などのスカベンジャーがおこぼれを貰いにたかってくるのがすごくリアルだし、非モンスターの環境生物がとにかくあちこちにいるので探索しているだけでも楽しい。
 逆にライズの方は(スイッチの容量的な問題なのか、単純にゲーム性に注力したのかは不明ですが)、フィールド上のオブジェクトがかなり寂しい。そのぶん先人の手記などで世界観を補強しているものの、やっぱりワールドをプレイした後だと物足りないと思います。
 リメイクされた密林や水没林を歩くのは割と楽しかったですが、ワールドと比較すると『世界観を味わうためにライズのフィールドを探索しよう!』という気持ちはどうしても薄れがちですね。

 あと、ワールドの世界観描写に一役買ってるのが効果音。BGMじゃなくてSEの方です。
 ワールドの効果音、凄くリアルなんですよね。『リアルな効果音』の中でもだいぶリアル方面に振り切っていてある種の地味さはあるんですが、これがまたリアルな世界観とマッチしている(リアル連呼しすぎ)。
 正直、ワールドの重く響くガンランスの砲撃音を聴いたあとにライズの方を聞くと寂しくなります。音が……音が軽い……。

 こうして比較すると、ライズ系列はビジュアル・効果音ともにリアルとコミカルの中間地点って感じがしますね。ワールドほどリアルではないし、かといって昔のモンハンほどデフォルメもされていない。これを中途半端と取るか丁度いい塩梅と取るかは人によると思いますが、一度ワールドの重厚さを味わってしまうとやっぱり効果音はリアルな方が良いと思います。そっちのほうがやっぱり没入感がある。

◆ストーリー
 これは互角。モンハンに限らず、ストーリーって個人によって評価が大きく分かれるところだから『これが正解!』みたいなものはありませんしね。
 強いて言えばワールドの方はリアル路線なのに変なところが強引で(足手まといなのに前線に出てくる受付嬢、一緒に戦ってくれないNPC……)若干浮いてる気がしますが、これはどっちかというとシステムの都合なところが大きいんじゃないかなと思ってます。たとえば、ライズ→ワールドの流れでリリースされていたらソードマスター先生が盟勇としてテオのクエストについてきてくれたり、百竜夜行のシステムを流用してNPC総動員でマグダラオスを撃退したりできてたでしょう。多分。

 まあ受付嬢に関してはワールドが後リリースでも絶対ダメだったと思いますが、受付嬢のダメなところについて話すと記事一本分くらいのボリュームになってしまうので割愛しましょう。
 あっ、声優さんは好きです。結城晴ちゃんの人だから。

 あとBGMについても互角ですね。ワールドはリアルなオーケストラ路線、ライズはゲーム音楽路線という差はありますが、ここに優劣はないと思います。陸珊瑚と寒冷群島のBGMはどちらもかっこいいし、セリエナとエルガドのBGMはどっちも落ち着く。

◆ライズとワールド、なぜここまで違うのか
 分かっていたことですが、比較してみるとライズとワールドの長所は完全に真逆でした。
 モンハン最新作として直近で発売されたシリーズなのに何故ここまでゲーム性に差があるのか。答えはシンプルで、ワールドとライズはそもそもジャンルが違うからだと思います。

 ワールド系列は、初代~MH2あたりのモンハンのような『リアルな狩猟生活シミュレーション』。
 導蟲や徒歩移動といったある種の不便さがあるのも当然と言えば当然です。ライズを見ても分かる通り、全部快適にしてしまうとリアルな狩猟っぽさはどうしても薄れてしまいますから。フクズクは設定とペイントボールをうまく両立してると思いますが、没入感があるのは間違いなく導蟲だと思います。

 一方で、ライズ系列はいかに楽しく・いかに快適にハンティングアクションできるかに重きをおいた『令和のアクションゲーム』。
 令和の若者はコスパよりもタイパ(タイムパフォーマンス)を重視するというのは良く聞く話ですが、まさにライズ系は令和の若者向けにチューンされてますね。じっくり腰を据えて『狩猟生活』をするワールド系に対し、ライズは短時間で『ゲームする』ことに重点を置いている。

 というかワールドは半分くらいネトゲに足を突っ込んでますよね。クエストに行くたびに人数設定が必要なとことか、マムやムフェトがマルチ前提で体力調整されていた(らしい)とことか。ネトゲとオフゲを比較したらそりゃあ性質もぜんぜん違うよなあ。


 そもそもの話をしますが、モンハンシリーズは初代~ドスあたりの狩猟生活シミュレーション時代と、P2Gあたりからのアクションゲーム時代に二分されると思ってます(フロンティアは特殊なので除外)。
 Youtubeなどでモンハン動画などを見ていると『昔のモンハンは不便だけどリアルさがあってよかった』『いや不便さなんて要らないよ今のほうがいい』という論争を目にしますが、これも『狩猟生活シミュレーションを求めるか、アクションゲームを求めるか』の違いでしょう。
 僕は後者なのでホットドリンク/クーラードリンクは廃止して正解だったと思います。アイテム欄が一つ潰れるだけだし、飲む作業が増えるだけだし、そもそも溶岩地帯のすぐ横でクーラードリンクが採取できたりとワールドの時点でも殆ど形骸化していたし。
 ただ世界観設定的を考えると、ホット/クーラーがあることで深みは出ますよね。なくなってしまって寂しいという気持ちはわかる。

 ホット/クーラードリンクひとつとってもこの有様なので、ワールドとライズ、二作品の良い要素を両立させるのは大変難しい作業だと思います。無理ではないにしてもさじ加減が非常に難しい。それこそ一歩間違えればアイスボーンのクラッチクローのような『やらないと話にならない、やることを強制される』ようなゲームになりかねません。
 シリーズダントツのリアルさを誇るワールド系と、令和のアクションゲームとして快適すぎるライズ系。今後どうなるんでしょうね。二つの路線を交互に発売していくんでも全然いいんですが、やっぱり両方の良いとこ取りをしたやつを遊んでみたい。

 カプコンさん、モンハン次回作はぜひライズとワールドの長所をどちらも生かした作品でお願いします。


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