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ギターの天才エディ・ヴァンヘイレンが、ギターの天才レス・ポールのショーで演奏する奇跡の一曲


近ごろ繰り返し聴いているのが、ヴァンヘイレンの天才ギタリスト、エディ・ヴァンヘイレン。同じく天才ギタリスト、レス・ポールのショー「レス・ポールと仲間たち - 彼が音楽を変えた」のゲストとして出演したときの1988年の演奏がすごい。いつものバンドメンバーではなく、名うてのセッションミュージシャンたちと演っている。

もう、めちゃくちゃカッコいいし、信じられない演奏スキルだし、バンドの一体感も超絶。元気を出したいときに聴いている。

ショー全編↓

今や、まったく楽器を演奏しなくても、ノートパソコンだけで曲を作れてしまう時代。センス一発でイイ感じの楽曲はそこらじゅうにある。

録音技術やAIの進歩もあって、よはや人間が作っているのかどうかも怪しくなる。そうなってくると、生身の人間が楽器を演奏する、手触りや手ごたえを感じられるような音楽を聴きたくなる。

そうして、偉人たちが作ってきた古い音源に関心が向かう。昔はテクノロジーがあまり無かったのだから、加工や録り直しも簡単でなく、必然的に修練に修練を重ねた職人技が求められた。だから、昔のミュージシャンはスキルが凄い人が多い。

エディ・ヴァンヘイレンが、タッピング奏法や速弾きの革新的なテクニックでデビューしたのが1978年。ハードロックのギタースタイルを発展させたイノベーターだと思う。

このショーでのパフォーマンスは、ゲストとして一曲だけ演っている特別版で、起伏に富んだ密度の濃い演奏になっている。

バンドメンバーは、超一流のセッションミュージシャンたち。

ベースは、トニー・レヴィン
(キングクリムゾンのメンバー。スタジオ・ミュージシャンとしては、ポール・サイモン、ジョン・レノン「(Just Like) Starting Over」!、ルー・リード、トム・ウェイツ、ジェームス・テイラー、デヴィッド・ボウイ、ピーター・ガブリエルなど)

ドラムは、リック・マロッタ
(スタジオミュージシャンとして、アレサ・フランクリン、スティーリー・ダン「Peg」!、ジェームス・テイラー、ジョン・レノン、ホール&オーツ、ロイ・オービソン、トッド・ラングレン、ロバータ・フラック、アル・クーパー、ランディ・ニューマンなど)

キーボードは、ヤン・ハマー
(ジョン・マクラフリン、ジェフ・ベック「Come Dancing」!、ミック・ジャガー、カルロス・サンタナ、スタンリー・クラーク、スティーヴ・ルカサー、エルヴィン・ジョーンズなど)

リハーサルを繰り返したであろう、見事に息の合ったタイトな演奏で、凄まじいグルーヴ感。曲が終わったときにパチンッと手のひらタッチしているのも納得する。

曲が終わったときに、レス・ポールが「素晴らしかった!素晴らしかった!どうもありがとう。エディ・ヴァンヘイレンでした。キラー、キラー!」と言っているのも納得する。

レス・ポールはこのとき御年73才。これまた超絶テクニックの天才ギタリスト。まだまだバリバリの現役で、独特の速いフレージングはこの番組でも健在。

Wikiを見ると、まあスゴイ。

レス・ポールは、1915年生まれのアメリカのジャズ、カントリー、ブルースのギタリスト、ソングライター、弦楽器製作者、発明家。
空洞のないボディのエレキギターの先駆者であり、ログと呼ばれる彼のプロトタイプはギブソン レスポールの原型となった。
多くの録音技術に革新をもたらした。オーバーダビング、テープディレイなどのエフェクト、マルチトラックレコーディングなどの初期の実験は広く注目を集めた。
数多くの栄誉の中で、ロックの殿堂に常設展示されている数少ないアーティストの 1 人であり、また、ロックの殿堂と全米発明家の殿堂の両方に殿堂入りした唯一の人物でもある。

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Les_Paul

13歳の頃には歌手、ギタリスト、ハーモニカ奏者のセミプロとして活動し、音作りの実験を始めた。自分のアコースティックギターを地元の会場で多くの人に聴いてもらいたいと思い、蓄音機の針をギターに配線し、ラジオのスピーカーに接続した。とあり、まあ、エレキギターの始祖とも言えるのではないだろうか?

レスポールと多重録音機

エディ・ヴァンヘイレンがステージに登場して、演奏前にレス・ポールと会話するシーンが良い。お互いが認めあい、敬愛している感じがする。

レスポール「ここで何やってんだい?」
エディ「ここに来られてめちゃくちゃ光栄ですよ」

エディ「あなたに質問したい。ブラックボックス(多重録音機)は、いつから?」
レスポール「あれは、1944年だから、あれからたくさんの月日が経ったね。今は1988年だ。君はもう年寄りなんだから、ちょっと考えてみてくれよ。笑」

レスポール「今は1988年らしいから、ステージを降りて、最前列に座って、君がやることを見ていようと思う。君はたくさんのことを変えたのだよ。」

エディ「オーケー。ひとつ伝えたいことがあります。もし、あなたが成し遂げてきたことがなかったら、自分は今できることの半分もできないでしょう。エコー技術も含めて。もし、あなたが多重録音技術を発明してなかったら、今やっているようなレコーディングはできないのです。」

レスポール「ありがとう」

レスポール「エディ、やってこい!」

ディレイ、エコーを使ったギターエフェクトのソロから曲が始まる。

そして、熱い演奏が終わると、エディ・ヴァンヘイレンが聴衆に問いかける。

「この男(レス・ポール)が始めたことを理解できた?」

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