あなたはゆるすことができますか?
自分を許さない
最近ある女性の告発によって話題の長渕剛氏が語っていたYoutube動画。
https://youtu.be/arcYBqJcY8w?si=1OLrjFwOZgLtRiPU
ここで長渕氏は「人を許せない自分が許せない」と話してます。
(人を許せないからといって、女性への性暴力が許されるわけではないし、薬物を常用している自分のことは一体どうしたら許せるのか、と思ってしまうわけですが…)
長渕氏が語る「人を許せない」というのは、自分では制御できないとっさに出てしまう「反応」なのだと思います。
反応なので、コントロールできないし論理的な説明もできない、どうしようもできない衝動です。
それは無意識的に湧き上がるエネルギーといっても良いでしょう。
こういった内側で湧き上がる衝動は、理屈ではどうしようもできないものです。
それを論理的にわかるように説明しろと言われても、なかなかできないでしょう。
でも社会の土俵に立つと、その理由を説明すること、やった行為と整合性がある理屈を求められます。
しかし、その理由はほとんど非合理なものです。
なので、反応で人を殴ったり、欲望で性的な暴力を振るったとしたら社会的に刑罰などで制裁されます。
ひるがえってそれが、本人の内側では「自分を許さない」という制裁になるのではないでしょうか。
許すことと赦すことの違い
「自分を許さない」というのは、自分の誤った行為や判断を認められないということです。
許すことは論理的に過ちや行為を正当なものとして認める、受け入れる、許可するという意味です。
いわば、頭で考えて下す判断です。
部下の仕事のミスを許す
というように。
でも、自己の内側で勝手に生まれる反応、現れる思い、感情は、いわばエネルギーのようなものです。
つまり、論理とは全く違うもの。
だから、エネルギーは頭で許すことができないものなのです。
父親の期待に応えられない自分自身を赦す
というのは、頭で父の期待に応えていない自分のことを許可するということではありません。
そういった自分の生き方を社会的な観点から判断せず、まるごと良しと受容する、自分の存在を愛するというような力をもった意味です。
自分は父の期待に一つも応えられていないからダメだ、生きる価値もないと、いった感情と湧き上がるエネルギーを解放できるのは、赦すことができるようになってからなのです。
許すこととの微妙な違いは、論理的に理性で受けいられるものと、論理的に理解できる範疇を超えているものというように説明できるでしょう。
頭で許すことができたとしても、変われない感情や救われない立場はたくさんあります。
彼の浮気を許すことができたとしても、心の内側では受け容れることはとてもできないので、苦しみはずっと続きます。
でももし赦すことができれば、赦す境地に達したとしたら、内側の怒りや悲しみや苦しみは解放されて、全く違うエネルギーになるのです。
だから苦しみは自然と止まるのです。
赦せると幸せになる
十字架に張りつけの拷問の中、自分を虐めている人をどうして赦すと言えるでしょうか。
しかし、イエスは「お赦しください」と宣言しました。
まるで、その言葉を言うことで自分自身が耐え難い苦しみから解放されるようにー。
「許してください」では、とてもそのような力はないでしょう。
赦しは過去から継続してわだかまっている、感情やエネルギーを解放できる境地を意味するものなのでしょう。
しかし社会的には、赦すなんて損するばかりだ、人を赦すなんで馬鹿がやることだと、損得勘定で考える傾向です。
そんな世の中で赦すことを推奨する人はいないでしょう。
現代人は1円でも1秒でも無駄にすることを避ける、合理的な考えを持っている人ばかりです。
だから毎日は許せないことばかりです。
電車が遅れることが許せない
ミスを報告して謝らない部下が許せない
待ち合わせに遅れる彼を許せない
コンビニでお礼を言えない店員を許せない
そんな許せないことばかりの毎日では、不幸になること間違いなしです。
損をするから許せない!というの思考は、いつも損をしているという不満ばかりですから、結局大きく損をしているのです。
本当に損をしない方法は、損得勘定から解放されて思考できることです。
赦すことは損得でものごとを考えませんから、いろいろなことを赦せるようになると、損をしているという感情が出てきませんので、幸せになります。
幸せで満たされているという感情は、損得勘定から解放されている状態です。
赦すことができると、そのような状態になります。
だから、1円も損しない賢い生き方を追求しないで、損しても笑ってゆるゆる赦せる自分になった方が楽しいですよ。
そんな個人が増えると、自殺率も低くなることでしょう。
もちろん、長渕剛氏は社会的な制裁が必要だと思っていますが。
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