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聖書が明かす「悪霊」の正体と危険

世の中には説明の付かないような事が起り、出所の分からない何かの力が時折話題になることがあります。それがはっきりとせず、わけもわからないので人にとっては恐ろしく感じられるものではあります。科学の解明も及ばないながら、影響力を持つそれら何者かの仕業とされる物事について、やはり科学の限界を超えた著作である聖書が、それらの影響をもたらしている者らの素性と由来を知らせていますので、この科学では解明不能の謎を追って、聖書の記述を以下に辿ってゆきましょう。
そこで話は五千年も前の時代にさかのぼります。つまりノアの大洪水が起こされる原因を作った時代であり、それは単なる洪水説話とはなりません。
それは創世記にも然程明瞭には告げられないながら、聖書各所の記述を突き合わせてゆくと、大洪水の背後にあった「霊界の事情」を知らせるものとなるのです。


ノアの洪水といえば、かつての世界をリセットした大変災として良く知られたところです。これに似た古代神話がギリシアはもとより、メソポタミアからも、インドの神話にも、南米のインカや北米のインディオの説話にも大洪水説話があることが知られるようになってきました。
しかし、ここではそれが本当にあったかどうかという事を論じることではなく、大洪水をもたらした原因と、その後の変化について一つの注目すべき事柄、『自分たちの立場を守ろうとせず、そのいるべき所を捨て去った天使たち』について、しかもそれらの者らが今日までも人に影響を及ばしていることについて取り上げます。

創世記はアダムからの系図を語ってノアが子らを持ったところまでくると、その当時までに人間社会に大きな問題が生じていたことの解説を始めます。
その記述で、信じ難いことではあるのですが、天使のある者たちが地上に来て男の体をまとい、自分の好む人間の女たちを娶っていったというのです。なぜなら、この者らは人間の娘たちが可愛いのを見たからとあります。確かに創世記第六章にはこうあります
『人が地のおもてに増え始めて、娘たちが彼らに生れた時
 神の子らは人の娘らの美しいのを見て、自分の好む者を妻に娶った』。
(創世記6:1-2)

つまりは、人間同士では自然な男女関係が天使からすれば羨望を誘うものであったのでしょう。

この点で悪い影響の元として疑わしいのが、支配欲に駆られて先に不忠節となっていたあの天使ケルブ、つまり悪魔、また「シャイターン」と呼ばれるようになった分裂をもたらす元天使「ディアボロス」の誘惑なのですが、やはりそれらしい記述が黙示録にあります。
『見よ、大きな赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた。龍はその尾で天の星の三分の一を掃き寄せ、それらを地に投げ落した』。(黙示録12:3-4)
これらの句の同じ文脈で『この巨大な龍、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれ、全世界を惑わすあの古くからの蛇』として、エデンの蛇の正体をその大赤龍として暴露しています。(黙示録12:9)
そこで天界の星々とされる者らの、それも『三分の一』にも上る者らが、悪魔の影響を受けて地に落ちたことを黙示録が暗示していると言えます。
やはりこれは、悪魔がアダムばかりか天使たちにまで誘惑の魔の手を伸ばしていたということでしょう。

創世記に振り返って見ると、堕天使らと女たちの間に生まれた子らは普通の人間にはならなかったという驚くべきことまで控えめに淡々と記しているのです。
『そのころ、またその後にも、地にネフィリムがいた。これは神の子たちが人の娘たちのところに入って、娘たちに生ませたものである』。(創世記6:4)

このネフェリムというのが巨人であるということでは聖書中の幾つかの記述が合致するところがあります。(民数記13:32-33)
そして創世記はその巨人らが『大昔の英雄であり、名を成した者らであった』ともしています。つまり洪水前の世界で、その巨体が持つ圧倒的な暴力によって権力者となっていたことでしょう。

洪水説話と共に、神々が人間と交わるという話しはギリシア神話にもかなり多く見られ、その神々と巨人族との争いも描かれているところは人間の想像が似るからでしょうか、それとも歴史の一面の痕跡でしょうか。

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